きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

  kumogakure  
 
 
「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科

2003.2.1()

 日本詩人クラブの作品研究会が神楽坂エミールでありました。出席は12名、作品提出者は8名と、ちょっと淋しかったのですが、その分じっくりとやれたのではないかと思います。会員ではないけれど毎回宇都宮からおいでになる方、千葉県の若い女性の作品などは特に良かったと思いますね。私は講師ではなく担当理事という立場の出席ですから、作品についてとやかく言うのはどうかと思いますが、段々レベルが上がってきているようでうれしいです。

  030201

 中には滋賀県から出席している人もいます。新幹線を使ってでも来ようという気持もすごいと思いますけど、それに応えるだけのものを用意しないといけないですね。主催者側としては身が引締る思いです。



  西山壽氏詩集『眺望』
  chobou    
 
 
 
 
2003.2.1
東京都福生市
竜骨の会刊
非売品
 

     潜むもの

     地球儀をながめている

   わたしたちの国の
   自称 右代表たちの
   視線は
   東方洋上 はるかかなたへ そそがれている
   そこには
   誇り高きデモクラシーの
   広大な国がある
   そこの代表たちの
   視線は
   太平洋上の
   基地の島に 釘づけにされている

   右代表たちの
   背に
   基地の島からの 熱い視線が刻み込まれている

   デモクラシーの国の
   代表たちの 発言は
   あの 基地は 何がなんでも必要 と力がこもる

   右代表たちは 笑顔で応対
   「イエス」と 素直に
   ところが
   基地 土着の住民たちは
   叫ぶ
   五十年におよぶ 不条理 の日常に裏打ちされた
   叫びは
   根深く切実な響きをもち
   行き場を失い
   宙を舞っている

   右代表たちは 代表としての
   自身の言葉を持っていないらしい

 もちろん「誇り高きデモクラシーの/広大な国」は米国、「太平洋上の/基地の島」は沖縄でしょう。「右代表」がたびたび出てきて、正直なところはちょっと多いなと思っていたのですが、最終連で納得しました。「代表としての/自身の言葉を持っていない」から何度も出てきたのですね。本当に代表≠ネんだろうかと考えさせてくれる役割をしていました。

 「
地球儀をながめている」という1行が冒頭にあるのも奏効していると思います。紹介した作品は社会問題を扱った「U」に収録されています。「T」は自然を扱った作品が多く、タイトルの「眺望」や「気流」「仕事場」などが秀作で、著者の真摯な態度が清々しい詩集だと思いました。




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