きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

  kumogakure  
 
 
「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科

2003.4.8()

 昼近く、一緒に仕事をしている女性から「荷物がまだ届かないんですけど…」と相談されました。定期的に届くもので、確認したら確かに1週間前に届くべきものが届いていません。すぐに送り主に電話をするように指示して、期日通りに送ったか確認してもらいましたが、先方では送っているとのこと。とすると、荷物が途中で消えたわけですから、次にやるべきことは運送会社の調査です。それは送り主がやるべきことですから、その旨をさらに女性に指示して…。そのうちに段々と不安になってきました。その荷物は製品出荷のための判断材料ですから、それが無いと出荷判断ができません。しかも客先からは今夕までの判断を求められていると言うではありませんか!

 これは困った。とりあえず荷物が紛失したという前提で関係部署に電話を掛け回りました。送り主には代替があるか調査してもらって、客先には判断が遅れても問題ないか回答をもらうように手配して…。なんでこんなことになるんだ!? 今日は花祭りだというのに…(関係ないか^_^;)


 で、そのうち「電話ですよ!」。この忙しいのに誰だ? 急ぎの用でなければ断ってくれ! でも、出る^_^;
 「**の△△という自動車の修理屋なんですが…」

 修理屋? クルマの修理なんか頼んだっけ?
 「あなたの名前の荷物が紛れこんでいるんですが…。本当は運送会社に電話して取りに来てもらうのが筋なんですが、住所を見たら近くだったので、お急ぎだったら困っているだろうと思ってとりあえず電話してみたんです…」

 「それって、※※会社からの○○という荷物ですか?」
 「そうです」
 「それ、探していた物です! すぐに取りに行きます!」

 という訳で、間一髪で荷物は手に入りましたけど、なんで一週間も? 修理屋さんに聞いたら、届いた荷物を一週間開けなかったんだそうです。バンパーを買ったそうなんですけど、それを梱包しているダンボールは両側に穴が開けてあり、そこからバンパーの曲がっている部分が顔を出すという構造だったんですね。その穴から件の荷物が入り込んだというものでした。
 じゃあ、うちの女性はなぜ一週間も騒がなかったの? けっこうギリギリで荷物が届いていたんですね。判断日の前日や当日というのが頻繁にあったようです。それで今回もそうかと思って、ギリギリまで待っていたとのこと。まあ、やむを得ないワな。

 それにしても不思議なのは運送会社。日本で1、2を競う大手なんですけど、一週間も荷物が行方不明なのに一言もない! 受取ったという印が無いんだから、普通なら慌てると思うんですけど…。一応、送り主には抗議をしておくように頼んでおきました、これからも使う運送会社でしょうからね。安心と確実が運送会社の信用だと思いますよ。
(後日談:件の修理屋さんにはお礼として弊社の商品を届けました。本当に助かりましたからね)



  飯嶋武太郎氏訳・成耆兆詩集『息吹く空』
  ikibuku sora    
 
 
 
 
2003.1.25
東京都豊島区
東京文芸館刊
1500円+税
 

    息子に

   わたしの罪業の枝に
   しがみついた一つの果実
   ふとった両頬は豊かな果肉
   両手は地温が恋しくて
   モグラのよう
   窒息する世情の湿地帯は
   呼吸さえ技でなければならぬが
   息子よ おまえの鼻の穴二つ
   実に不思議だね

   おまえの生命が頼り生きる
   大地は異常気温

   銃が荒らし
   剣が荒らし
   金が荒らし
   また 貧しさが荒らす
   その風は ノアの洪水

   か弱い野花
   おまえが開花するときは 暴風警報
   東から吹く風
   西から吹く風が
   純真な生命を捉え
   しぶとく移しておいた
   おまえは風媒花

   肥えた果肉は
   地に落ち種になり
   また木になり結実するように
   私の干からびた血管の先に吊るされた
   一つの落果

   息子よ。

 著者のお名前はソン キ ジョ≠ニ読み、韓国の著名な詩人・作家で文学博士、現在は国際ペンクラブ韓国本部会長だそうです。訳者は日本詩人クラブの会員で、詩の翻訳を始めたのは4年ほど前から、詩集一冊を訳すのは初めてだそうです。原書を知らないし読めませんから正確には言えませんけど、拝読して翻訳特有の違和感はありませんでした。高度に翻訳された詩集だろうと思います。

 紹介した作品は、かなりお若い頃の詩ではないかと想像しています。「ふとった両頬は豊かな果肉」とありますから、まだ幼児の頃の「息子」描いていると思います。今から
20年も30年も前なら「東から吹く風/西から吹く風が」というフレーズは政治の東西対立を現しているようで、時代も合っていると考えられます。
 「窒息する世情の湿地帯は/呼吸さえ技でなければならぬが」というフレーズは見事ですね。現代韓国の代表的な詩集なのではないかと思いました。



  詩誌『饗宴』35号
  kyouen 35    
 
 
 
 
2003.4.1
札幌市中央区
林檎屋・瀬戸正昭氏 発行
500円
 

    かみすながわ―不思議ふしぎの二条通り  嘉藤師穂子

     5

   ストーブの煙が軽くなって 家々の屋恨
   窓の下 南側から町は乾いていく。
   汚れた残り雪が 宝になったり じゃま
   になったり 行ったり来たりの春待ち。

   背中も軽い 靴も軽い あそびつかれた
   帰り道。黒く短い毛 まるい目 目の上
   に茶の星をかかげ 足元に飛込んできた
   出会いは冒険。未知の不思議と手さぐり。

   「四つ目は飼えないんだよ」
   かあさんは ふり向いてくれない。
   「明日 捨ててきなさい」
   とうさんの声。とうさん?とうさん?

   布団の中はあったかだったね。
   とくんとくんと小さな音が 腕のなかか
   ら 夜へ広がり わたし達小さく泣いた。
   ちいさなよつめ ごめんね。

   四つ目は死に目?
   四つ目は謎解きの暗号。いまならわかる。
   夢の中で 四つ目はしっぽを振ってかけ
   てくる。わたしを 押し倒して舐める。

   いつかおいで。また会えるよ。
   力強く言って 駈けていく。
   夢のなかの夢だったのだろうか。いいえ
   (夢のいたずら)でも 忘れはしない。

                 ( )内 萩原貢 <相ぐむ少女に7> から

 少女時代の「夢のなかの夢」という作品ですが、情景描写が細やかで驚きました。私が北海道で生活したのは、小学3年から4年のたった1年だけだったのですが、その時のことがありありと瞼に浮かんできました。特に第1連がいいですね。雪も降らなくなって「ストーブの煙が軽くなって」いく。「南側から町は乾いていく」というのも実感があります。「汚れた残り雪が 宝になったり じゃま/になったり 行ったり来たりの春待ち」というのも思い出しますね。第2連の「背中も軽い 靴も軽い」は重い防寒服を脱いで、長靴も雪靴も必要なくなって、身軽になった気持を見事に表現していると思います。

 主題の「四つ目」の犬の扱いも存在感があっていいし、「わたし達小さく泣いた」という言葉の重みも感じます。心洗われるような作品です。



  沼津の文化を語る会会報『沼声』合本2002年版
  syousei 2002    
 
 
 
 
2003.2.22
静岡県沼津市
望月良夫氏 発行
非売品
 

 このHPでも度々紹介している会報の、2002年度分の合本です。限定365部番号入りのうち188番をいただきました。内容はすでに紹介したものの二番煎じになりますので、ここでは合本が出来たという紹介のみにとどめます。

 それにしても全
214頁。単純計算で、毎月16頁たての月刊誌を発行しているわけです。2003年からは季刊にしていますから、ちょっと寂しい気もしますが、いろいろご都合もおありでしょうから、部外者がとやかく言うべきことではありませんね。陰ながら応援しています。




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