きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

  kumogakure  
 
 
「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科

2003.7.3(木)

 特記事項なし。会社に行って真面目に働きました(^^;



  隔月刊詩誌『石の森』116号
  ishi no mori 116    
 
 
 
2003.7.1
大阪府交野市
交野が原ポエムKの会・金堀則夫氏 発行
非売品
 

    HOLL    奥野祐子

   たくさんの人々が
   この地球のどこかで 突然に死んでしまう
   それは
   大地震? 大火災? 大洪水?
   理由はよくわからないけど
   私たちは感じる
   地球は 命は
   まるく 確かにつながっていて
   たくさんの命が喪失すれば
   私たちの命も震えるのだ
   感じるのだ
   分かるのだ
   生きていたものが死んだ時
   呼吸が止まったそのときに
   確かにこの世界に穴があき
   それを埋めようと
   世界中の命たちが 穴に向かって一斉に
   震え おののき 動きだすのが
   失ったかなしみと むなしさに呼応して
   新しい命が 激しく芽生えようとするのが
   地球は 命は 私たちは
   満ちようとする
   どんなにたくさんの喪失があろうとも
   穴にむかって私たちの命は火を噴き
   燃え上がる
   喪失は終わりではない
   終わらない

 「喪失は終わりではない」という感覚は面白いと思います。「まるく 確かにつながっていて」というフレーズは、謂わば輪廻なのかもしれませんがそれともちょっと違うように思います。「それを埋めようと/世界中の命たちが 穴に向かって一斉に/震え おののき 動きだす」という言葉に作者のオリジナリティを感じます。「失ったかなしみと むなしさに呼応して/新しい命が 激しく芽生えようとする」というフレーズには、何か救われる思いをしますね。善良な「命」を信じている、そんな作者の思想が判る作品だと思いました。



  機関誌『関西詩人協会会報』30号
  kansai shijin kyoukai kaihou 30    
 
 
 
 
 
2003.7.1
兵庫県宝塚市
杉山平一氏 発行
非売品
 

 下村和子氏執筆の「国会図書館・関西館見学記」が眼を引きました。東京本館から320万冊の図書・資料を持ってきて開館したんですね。閲覧室350席のうち250席には情報端末設置、希望の本は検索ロボット(ソフトにあらず、ハード!)が専用通路を通って運んで来るというのですから凄いものです。
 関西詩人協会メンバー20名ほどの方が見学したようですが、いい試みだと思います。そんな情報が関東に住む私にも判る、会報の思わぬ効果だと思いました。



  詩誌『飛天』23号
  hiten 23    
 
 
 
 
2003.7.7
東京都調布市
飛天詩社・田上悦子氏 発行
500円
 

    今はときめきの街・吉祥寺    田上悦子

   森の向こうの前進座を母が教えてくれた 戦前の街
   小さな妹と親戚の家を訪ねた バラックの街
   不縁の人と井の頭公園のベンチに掛けた 緑の街
   ボーイフレンドと公園の池でボートに乗った 水辺の街
   夫とショッピングした しゃれた店のある街
   子どもがゴム風船を放した 動物園のある街
   PTAの集いの後でおしゃべりした 喫茶店だらけの街
   お稽古ごとに通った 騒音の街

   わたしの住む街から
   車で10分 バスで15分 自転車で30分
   歩いて1時間余りの隣り街 吉祥寺

   いつも誰かといっしょにいた街を 独り歩けば
   思い出のかけらが過ぎって行くが
   いまでは用事もなくなって
   共に過ごした人びともいなくなり
   いつしか精彩の失せた 過去の街になってしまった
   ある日
   めったに行かなくなった吉祥寺の街の 郊外に
   初恋の人が引越して来たと 風の便りに聞いた
   胸の奥に潜んでいた想いが急に滾り立った
   あふれる喜びを噴上げたくて
   スニーカー履いて家を飛び出した
   乗り物の中でじっとしてなどいられない
   吉祥寺目指し 北へ北へと早足で歩いた

   思い出のかけらは街の片隅に掃き寄せる
    <失礼ですがKさんでしょうか?>
   1秒 2秒 3秒
    <お、えっちゃん? 悦子さん……>
   いつかこの街で ばったり逢ったときに交す
   挨拶のことばを考えている間に
   着いてしまった 夕暮の万助橋
   灯の点る 心ときめく未来の街の 人口

 男と女の違いはあるんでしょうが、この気持は判るような気がします。「吉祥寺」なんてセンスのいい街ではありませんでしたが、米兵であふれた街の青春時代を思い出しました。幸いにして私の初恋の人とは40を過ぎて同窓会で再開。お互いに思わず歩み寄った感動は忘れられません。作品の中ではまだお逢いしていないようですが、果たせるといいですね。「乗り物の中でじっとしてなどいられない」というフレーズには思わず微笑んでしまいました。いくつになってもこういう初々しさは持ち続けていたいものです。それにしても「前進座」があって「喫茶店だらけの街」なんてうらやましいですね。東富士演習場の米兵相手の怪しげなバーばかりの街とは違います。
 ところで「人口」は入口≠フ誤植でしょうか。「万助橋」が「心ときめく未来の街の」入口≠ニ読み取りました。




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