きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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1990.5.6
長野・五竜とおみ上空

2004.1.28(水)

 昨日、今日と連日実験室に籠っていました。同じ作業の繰り返しで、肉体的にはちょっと疲れましたけど気分は爽快です。一日中机に向って書面作りをするのは、肉体的には楽なんですけど精神的にはあまり良いとは言えませんね。適当に体を動かして、適当に机に向うのが最高なんでしょう。どちらかに偏るのはマズイ。あまり選択肢はないんですが、そんな会社生活が出来るようにしたいものです。



  詩誌『木偶』56号
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2004.1.27
東京都小金井市
木偶の会・増田幸太郎氏 発行
300円
 

    男の進化論(蒸気機関車のDNA)    田中健太郎

   蒸気機関車は少年たちと
   かって少年だった男たちの
   永遠のあこがれだ
   黒くむき出しの肌
   熱を大気に放出させながら
   寒気の中をひた走っていく

   どれもが美しい形をした
   おびただしい数の部品が
   自分の役割を果たしながら
   その動きを隣へ隣へと
   連結させていく そして
   それがすべて目に見えている

   ひとつひとつの動作に
   大仰な音をたて
   ときおり高らかな雄叫びをあげる
   汗を飛ばし肩で息をしながら
   終着駅についたその後は
   酒をあおって喧嘩する

   たとえば新橋の駅前など
   都市のちょっとした広場に
   蒸気機関車が展示されている
   展示された機関車は動かない
   かっての少年たちは
   動かない汽車で動かない旅をする

   だが機関車の生業は
   人々を此処からどこかへ運ぶことではなかったか

   現在の男たちがこしらえる物は
   すべて静かで滑らかで
   美しい色彩に覆われている
   それでいて蒸気機関車よりも
   速くて賢く したたかだ
   そりゃあ女にもてるわけだ

 最終連では思わず笑ってしまいました。確かに製造業に従事する私たちは「すべて静かで滑らかで/美しい色彩に覆われている」ものを目指しています。「速くて賢く したたか」なものを考えています。しかし「女にもてる」とは思っていませんけど、この最終行は納得しますね。結果的にはそういうことになるのか!
 「機関車」の動作についての考察も素晴らしいと思います。「自分の役割を果たしながら/その動きを隣へ隣へと/連結させていく」というのはまさに機械です。ちなみに器械は単独の完結した動作で終了し、「隣へ隣へと」は働きかけません。機械という点で「機関車」は最右翼ということになるでしょうね。夢のある作品です。




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