きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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モンガラカワハギ
新井克彦画
 

2004.2.3(火)

 今週いっぱいで化学物質の構造式を調べるという突発の仕事が入って、恐怖です(^^; 私は化学を専門にやってきたわけではありません。入社以来見よう見真似で覚えたに過ぎません。でも、そんなことは言ってられませんから調べますけど、いわゆる亀の子ベンゼン環ですからね。時間さえ掛ければ解読できると思うのですが、本来の仕事があって、その片手間ですからどうなることやら。まあ、いい機会ですから勉強だと思ってやってみます。それにしても構造式を見て、パッと物質名を言える人ってどういう頭の構造をしているんでしょうかね。その構造式を知りたい(^^;



  詩誌『現代詩図鑑』第2巻2号
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2004.2.1
東京都大田区
ダニエル社 発行
300円
 

     日々の磔刑    真神 博(まがみ ひろし)

   秋は二時間で
   冬は五時間で出来上がる
   そして春によって失われる
   自然の掟に歪みが生じ
   見えるものは全て
   名を持たぬものに照らされていると言えよう

   クリスマス以来 山の麓に
   人間の恐ろしい家並が建ち
   周囲から 氷の様に恨まれている
   この家の人々は
   そこに住まいながらも
   住みつくことには反対の立場を取り
   毎日旅に出ていた

   どんな事実の積み重ねがあって
   夥しい数の家並が出来上がったか
   窺い知ることはできないが
   季節の変わり目にはいつも
   誰かが手に持っている卵が
   指の間から抜け落ちて 割れる
   人間はみずからの行為に手出しができなくなった

   自然の真っ只中で
   選ばれた刃物である人間には
   最後の時に見えるものが見えているのだ
   もう誰にも呼び戻されないところまでやって来た
   人間の 肉体と言う路上に
   どうしても読むことができない
   一通の手紙が届いていた

 非常に魅力的な作品なのですが、うまく解釈≠ナきません。完璧な起承転結になっていて、構造の上からも読みやすいのですけど…。どこが魅力的かと云うと、「秋は二時間で/冬は五時間で出来上がる」という導入部、「人間はみずからの行為に手出しができなくなった」「選ばれた刃物である人間」などのフレーズはこちらの脳を刺激してきます。
 「人間」というキーワード、「日々の磔刑」というタイトルに解釈≠フ鍵はあると思うのですが読み取れません。おそらく一番最初に感じた、「秋は二時間で/冬は五時間で出来上がる/そして春によって失われる」…何が? という点がポイントだろうと思います。それに対する答は「見えるもの」「季節の変わり目」「最後の時に見えるものが見えている」あたりだろうと思うのですが、もう一歩突っ込めないでいます。そういう表層的なところに留まっている限りは、この作品を読み込むことは難しいのだろうと我ながら感じています。しかし、繰り返しますが魅了される作品なのです。




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