きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】
モンガラカワハギ | ||
新井克彦画 | ||
2004.2.5(木)
化学物質の構造式・化学式調査も今日で3日目。終日それに携わっているわけではありませんが、それでも1日に3時間ほどは費やしています。文献にあたったりインターネットで調べたりしていますけど、なかなか捗りません。公的なHPもかなり覘いて、米国・英国を始め中国のHPまで見ていますけど、いまいちパッとしません。化学物質があまりにも多いということなんですけど、やはりインターネットでは本当に欲しいデータは入手できないものなんですね。久しぶりに会社の図書室に出向こうかと思っています。
○隔月刊詩誌『叢生』130号 |
2004.2.1 | ||||
大阪府豊中市 | ||||
叢生詩社・島田陽子氏 発行 | ||||
400円 | ||||
帯 島田陽子
帯紐解く仲ではない
だが 二人は帯を解いた
正確にいうなら
女が男の帯をぐるぐる引っ解いて
夜の庭に投げ捨てたのだ
代りに自らの帯を解いて男に与え
男は女帯など無用とばかり庭に投げた
それがすべての発端だった
闇の中にひそむ悪意
黒い手がぬかりなく帯を拾った
肌のぬくもり残しながら二匹の蛇のようにからむ帯
高々と声が止めを刺した
「不義密通の証拠を得たり!」
帯は確かに解いた
娘に添わす恋聲が
言い交わした女からもらったその帯
見とうない! 姑の悋気が燃えさかるとき
帯にこめた女の思いが負けじと魔を呼んだ
おさゐと権三*
妻敵(めがたき)討ちの刃を待つばかり
新年の街に花があふれる
さんざめく振袖姿の娘たち
その帯解きたいと狙う男はさすがにいまい
手に負えない完全装備
いつもなら帯紐解く仲でさえ
娘たちのガードは固い
解いたら二度とは結べない
今日一日 あっけらかんと明るいものだ
*「鑓の権三重帷」二〇〇三年・国立文楽劇場
歌舞伎の話から最終連は一転、現代の「娘たち」へ移って、その展開が見事な作品だと思いました。「今日一日 あっけらかんと明るいものだ」という最終行には、作者の今の「娘たち」を見ている基本的な視点が描かれていて、本質的に優しい人なのだなと思います。女性と男の違いかもしれませんが、私などはもっと意地悪く見ているように思いますからね。
観劇の印象を描いた作品は、そう多くないものの、あるにはあります。しかし、それだけで終わっている場合がほとんどで、最終連のような展開が出来ていません。紀行詩も同じだと思うのですが、詩として成立させるにはこの作品のような最終連が必要だと感じた作品です。
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