きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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モンガラカワハギ
新井克彦画
 

2004.2.12(木)

 午後から都内に出張してきました。それにしても新幹線はずいぶんと便利になったものですね。いつもの調子で30分の時間の余裕を見て行ったのですが、小田原には「ひかり」も止まるようになって、1時間も速く着いてしまいました(^^; 昼メシもそこそに行く、なんてことをしなくて良かったんだなぁ。
 関連会社で2時間半ほどの会議だったのですが、会議の席に若い女性技術者が出てきて驚きました。そこの会社では初めてのことです。いつもはムサイおじさんたちとの会議ですから、今までの雰囲気と違ってちょっと緊張しましたけどね。でも、彼女の話は技術者らしくて、変な気を遣う必要がなく、その分は楽でした。
 終って懇親会に誘われて、おいしい中華料理と紹興酒をいただきました。うちの会社の接待費で支払うように営業担当者には言ったのですが、どうもあちら持ちだったようです。ま、次の機会にはこちらで接待するようにしてもらいましょう。仕事上での酒のつき合いはあまり好きじゃないけど、今日は気分が良かったです。議題がだいぶ片付いたからだと思います。仕事はどんどん片付けるのが精神衛生上はやはり良いようです。



  詩誌『思い川』15号
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2004.4.1
埼玉県鳩ヶ谷市
思川舎・桜庭英子氏 発行
非売品
 

    涼しい魚    桜庭英子

   高級魚と書かれたお中元の包みを開く
   まずはトロ火でじっくりと網焼きに
   箸で捌いてもどこにも骨が見あたらない
   すっかり骨を抜かれて柔らかくなっていた
   中国の女工さんが
   毛抜きで一本づつ引き抜いて仕上げるのだとか
   至れり尽くせりの病人食のような魚は
   和紙の上から透明のセロファンに装われて
   涼しげな姿態もなにやら妖しい

   スーパーマーケットの魚たちは
   凍ったキオツケをさせられて並んでいる
   それぞれに揚った港の名称か
   清水港のマリーがいたり
   ハマの真砂尾もいたりする
   粋な背びれと由緒正しい氏素姓は
   一皿幾らの雑魚とは違うというけれど
   食してみないと分からない
   漁れた産地で美味と決めつけるな
   ただそれだけで不味と侮るなかれ
   優劣は気骨ある味の良さで決まる

   明け方帰ってきた男と
   久しぶりに夕餉の盃を交わす
   正体不明の涼しい魚をなかよく突つく
   めっきりやさしくなってしまって
   争えぬ育ちの骨太の返しさがなつかしい
   今となっては小骨の刺さった痛みもいとおしい
   夜更けて
   夢路の奥へこっそりと
   骨抜きにされてきた男を捨てにゆく

 「すっかり骨を抜かれて柔らかくなっていた」「高級魚」と「骨抜きにされてきた男」の対比がおもしろい作品だと思います。「清水港のマリー」も「ハマの真砂尾」もおもしろいネーミングですね。その通りに書かれていたのか作者の創作なのか判りませんが、それを詩句として成立させているところは見事だと思います。それにしても「骨抜きにされてきた男を捨てにゆく」というフレーズは頼もしい。男である私自身を振り返っても骨抜きにされている自覚はあります。女性の鋭い視線が冴えている作品だと思います。




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