きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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モンガラカワハギ
新井克彦画
 

2004.2.16(月)

 思った以上に仕事が進んで、珍しく17時の定時で退社しました。クルマで通勤していますから、17時半には家に着いてしまいました。まだ陽が残っていて、こんなに明るいんだなと思いました。こういう生活が毎日できるといいですね。ま、無理でしょう(^^;
 夕方の時間を楽しんでいます。夜までたっぷりと時間があるというのは、本当にいいもんです。



  詩誌『山形詩人』44号
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2004.2.20
山形県西村山郡河北町
高橋英司氏 編集
500円
 

    置物    高橋英司

   玄関で声がする
   誰かが訪ねてきたようだ
   その声を開いて
   居留守を決断する私は
   偏屈者である
   三和土に靴が出ていても
   お構いなしである
   不在の私は断じて不在なのである

   電話はわがままである
   電話に出なければならない理由はない
   出なければいつまでもベルが鳴り続け
   私を脅かし続けるが
   受話器を取ってからでは遅い
   不在を主張するわけにはいかない
   後悔先に立たずである
   よってモジュラージャックを引き抜くに限る

   私にも都合というものがある
   厠半ばで出ていくわけにもいくまい
   声をかけられても
   虫の居所が悪ければ返事をしない
   うたた寝の最中に訪問されても
   ご機嫌はうるわしかろうはずがない
   留守電が入っても
   再生しなければならない理由はない

   私は無礼な男である
   しかし寝転がって電話をかけてくる方が
   なお無礼千万である
   足を運ぶ労を節約して
   用件を済まそうとする
   礼を欠いたぶんだけ利便ではあるが
   私は断じて不便を選ぶのである
   偏屈なのである

   ドアに錠を掛ける
   何事を為すこともなく
   ただ呆然としていたいのである
   孤独を好むのである
   密室を好むのである
   自らを閉じ込めるのである
   時間を止めるのである
   置物のようなものである

 この作品は良く判ります。私も休日は「居留守を決断」しているのですが、狭い家ですからね、「玄関で声がする」と出ないわけにはいきません。でも電話には出ません。「モジュラージャックを引き抜く」ことまではしませんけど、出ません。「私にも都合というものがある」のです。
 確かに「偏屈者」「無礼な男」かもしれませんけど、自分の生活というものを大事にしたいですね。それを作者は「置物のようなものである」であるとしています。見事な設定と云えるでしょう。同感を持って楽しませてもらった作品です。




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