きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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モンガラカワハギ |
新井克彦画 |
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2004.2.20(金)
週末なので仕事を定時で切り上げて、呑みに行きました。そうは言っても営業担当者から携帯に電話が掛かってきましたけど、彼も恐縮したようで早々に切ってくれました。彼はまだ仕事をしていますからね、こちらも対応しないといけないわけです。
新潟の「麒麟山」というお酒を呑みました。何度か呑んだ気はしていたのですが、辛口のいい酒です。2合ほどで止めましたのでホロ酔い。最近は呑みすぎると記憶していない部分があるようで、気をつけています。自宅や泊りのときならとことん呑めますけど…。抑えながら呑むというのは気分のいいものではないけど、まあ、しょうがないかな。
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2004.2.20 |
東京都西東京市 |
井上賢治氏 発行 |
300円 |
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孫 上原章三
小学校二年生の孫の担任から便りがあって、
5点滴点の漢字テストが
孫は毎回0点、1点、せいぜい2点だと。
そのたびに居残り勉強が課せられるのだと。
女の先生は一生懸命なのだ。
なるほど孫は宿題の漢字はがまんしてやっているが
ただ書くだけで、翌日のテストまで覚えていないのだ。
いっぽう、日記にはわざと漢字で
「お爺さん」「お婆さん」などと、私たちの事をやたらと書く。
「呪われた夜叉」などとビデオで覚えた漢字も使う。
与えられた漢字は覚えないが
生活から出た漢字は覚えて使うのだ。
宿題を嫌い、
いつも段ボール箱を切って穴をあけ、
貼ったりつないだりして
ダンプカーや汽車を作ってあそぶ。
出来の悪い孫、
しかしその勉強に付き合って難渋するとき
彼は、いつも学枚教育の批判者だという気がしてくる。
画一的な「5点滴点の漢字テスト」では駄目だけど「生活から出た漢字は覚えて使う」。「いつも段ボール箱を切って穴をあけ、/貼ったりつないだりして/ダンプカーや汽車を作ってあそぶ」創造力のある「孫」。その孫は「学枚教育の批判者だという気がしてくる」という作者の思いは判りますね。でも最低限の「与えられた漢字」は今後の生活で必要なものだし…。難しいところです。そこは作者も判っていて、だから「その勉強に付き合って難渋する」と言っているのだと思います。「孫」には大人の大きな包容力が必要なのかな、と感じた作品です。
○阿部堅磐氏著『詩歌鑑賞ノート(六) 津坂治男の詩』 |
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2004.2.20 |
愛知県刈谷市 |
私家版 |
非売品 |
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タイトルの通り、詩人・津坂治男氏の作品に関する批評です。津坂氏の略歴に添って、詩集を中心にした批評となっています。稿の最後のところで次の作品が載せられていますから紹介してみます。
定年 津坂治男
揺れる
揺れる南天の葉にそっと乗っかって
しずかに開くところだった
透けたしわのある羽
そばの小人の靴から抜け出たばかりの……
冷夏だから あわてて?
夕方 水やるぼくの目の前
みんなセミです
何十年這いずり回って 暮らしのために
やっと今 自由に飛べます 表現出来ます
これからがほんとの人生です
とカルチャーセンターで励ましてきたばかり
でも 待つ間は長い
背中のよじれがぴくっと震えて
彼はいま 必死なのだと気がつく
地下での定年が終わったばかりのニイニイゼミ
後脚がやっと動いて枝をつかまえた
さすがは阿部さんが選んだだけあって、いい詩ですね。この作品について阿部さんは次のように評しています。
詩集『パラダイス』(一九九八年刊)に収められた詩定年≠ナあ
る。サラリーマン生活の中でサラリーマンが、最後に経験する定年
についての作者の捉え方が表現されていて面白い。作者は夕方、庭
の草木に水をやる折に、 <透けたしわのある羽>
を目撃する。作者
はセミの脱皮を定年と見做す。 <みんなセミです/何十年這いずり
回って 暮らしのために/やっと今 自由に飛べます>
は自己の詐
らざる正直な気持ちであろう。 <地下での定年が終わったばかりの
ニイニイゼミ>を観察したことを、自分が講師をしているカルチャー
センターで話す。受講生の中には、生涯教育ということで、定年退
職者も多々見えたのであろう。その人達に向って
<みんなセミです>
と語る。 <これからがほんとの人生です>
とエールを送る。それは
また、自分自身へのエールでもあろう。そして、ここで大切なこと
は <表現できます>
と自己表現の意味を確認していることである。
詩人津坂治男は定年前も旺盛な文学活動を行っていたが、定年を期
になお一層、旺盛な文学活動を行っているのを見るにつけ、セミよ
ガンバレ!と拍手を送りたい。
この評も素晴らしい。こうやって読んでもらえれば津坂さんも本望でしょう。私もこの拙いHPで感想にもならないことを書いていますが、作品を拝読する上での視点を教わった評です。
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