きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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モンガラカワハギ
新井克彦画
 

2004.3.30(火)

 私が担当している製品のお得意さんが4月1日に工場見学に来ることになって、今日はその準備で追われました。書面を用意したり、PRビデオの準備をしましたが、ビデオはおもしろかったですね。私の会社は写真フィルムの製造・販売が主で、最近はデジタルカメラや液晶用の透明フィルムが主力になっています。PRビデオはそれらを紹介していますけど、しばらくぶりにその分野を観ると驚きの連続でした。15年ほど前は私も写真フィルムを担当していましたので、長足の進歩を遂げているなと思いました。光を感じるハロゲン化銀という写真の心臓部がありますけど、その大きさが1ミクロンだと云うのです。1ミクロンは千分の1ミリです。私が関係していたころは2〜3ミクロンだったと思います。それを半分にするのは技術的にはかなりシンドかっただろうと感心しました。

 光の三原色は赤・青・黄です。それを基に写真乳剤が造られているのですが、説明によると第4の赤があって、人間が無意識に排除している色だそうです。現在の写真フィルムはそれを取り入れているというのですから、これも驚きでした。15年前はそんな考え方すら無かったはずです。確かに15年も経てば変るのは当り前でしょうが、成熟した分野だと思っていましたからね、どこまで進歩するのかと興味津々というところです。デジタルではなかなか追い着けないのかもしれません。

 お出でになるお得意さんは直接その分野とは関係ないんですけど、当社の基本技術で、そこから品質保証の考え方などが発生していますから観ていただこうと思っています。その上で個別の話になればご理解は早いのではないか、そんなことを考えています。



  詩誌『饗宴』39号
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2004.4.1
札幌市中央区
林檎屋・瀬戸正昭氏 発行
500円
 

    櫻 餅 ―深大寺にて    瀬戸正昭

         色よりも香こそあはれと…(読み人知らず)

   やよひのひの
   おだやかなひよりのころ
   武蔵野のあかるい
   竹林で故人にあつた…。
   梅の香をかぎながら
   なつかしい茶店で冷えた
   白と薄いピンクの
   櫻餅を食べた。
   葉が重なる…
   薄絹のスークの
   ソナチネの味がした。
   密葬の日から
   1週間が
   たつてゐた…。

 散文的に解釈すると「密葬の日から/1週間が/たつてゐた」「やよひのひの/おだやかなひよりのころ/武蔵野のあかるい/竹林で故人にあつた…。」ということになって、夢想かと思うのですが、現実にあったとしてもおかしくない気になってきます。なぜかな?と考えると、「
色よりも香こそあはれと…(読み人知らず)」がうまく作用しているように感じられるのです。万葉集の歌でしょうか、そこまで時代が遡ったものが置かれていると、たった「1週間」なんか生死≠越えた、いわば誤差範囲ではないかと錯覚している自分に気付きます。この時間の処理は巧いなと思いました。

 「梅の香をかぎながら」「白と薄いピンクの/櫻餅」も冒頭の歌とマッチしてますけど、そこはあまり考えなくてもよいだろうと思っています。それよりも「薄絹のスークの/ソナチネの味がした。」がこの作品の質的な変化を起こしていて、そこが見事だと思います。隙の無い詩です。でも、乾いてもいないし冷たくもない。かなり辛いものがあって、それを乗り越えたところで書ける、ある意味では、ある種の到達点に達した作品ではないか、そんなことを感じました。




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