きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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小田原・御幸が浜にて
1979年
 
 

2004.4.2(金)

 職場の歓送迎会+花見をやりました。花見はちょっとだけ。神奈川県秦野市に日立の工場があります。その前の道が桜並木になっていて、近くの寿司屋がマスクロバスで迎えに来るというので、其処にしました。「銀八鮨」と言います。良い処でしたよ。HPも持っていますから興味があったら検索してみてください。

 店の手前300mほどのところでバスから降り、桜を見ながら店に入りました。まあ、一応、花見ということにしまして、あとは呑めや唄え(これは無かったけど)のドンチャン騒ぎ。私が幹事をやるといつもこうなってしまう…なんでだろ?

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 危なくて見せられない写真が多いんですが、これは大丈夫。注いでもらっているのは、地酒(山北町)の「隆」赤紫というものですで、店からの差し入れです。そんな気遣いもうれしい店ですね。一合740円で、一升だと3000円位で出ているのかもしれません。呑みやすい酒で、女性にも人気がありました。
 それにしても嬉しそうな顔、我ながら恥ずかしくなります(じゃあ、載せるな!)。



  季刊詩と童謡誌『ぎんなん』48号
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2004.4.1
大阪府豊中市
ぎんなんの会・島田陽子氏 発行
400円
 

    ドミノたおし    いたい せいいち

   じかんまえに ゆびをふれたのはだれ?
   とべないことりの はばたくおとさせて
   ドミノが たおれてゆくよ
   もう だれもとめられない
   さいごの しかけは
   くすだまが われて
   かみふぶきが ちるのだけど
   はたして たどりつけるだろうか
   じゅんちょうにたおれてゆく ドミノ
   だが なんということだろう
   あともうすこしのところで ミスがでた
   ひめい いかり ばせいとともに
   さわぎだすひとびと

   しー
   みんな しずかに みてごらん
   かすかに ゆれてる
   たおれなかったドミノの
   あんどの すがたを

 私も時折テレビで「ドミノたおし」を見ますが、おもしろいですね。何日も、時には何ヵ月もかけて組み上げたものを一瞬で破壊する、人間には本質としてそういう性癖があるのかもしれないと思って見ています。
 「とべないことりの はばたくおとさせて」という表現は素晴らしい。パタパタと云うか、カタカタと云うか、「ドミノが たおれてゆく」音はまさにそんな表現がぴったりです。
 最終連は何と言っても秀逸です。「たおれなかったドミノ」に着目した視線は、さすがは詩人だなと思わせました。子供向けの詩として書かれていますが、大人にこそ読ませたい作品だと思います。



  隔月刊詩誌『叢生』131号
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2004.4.1
大阪府豊中市
叢生詩社・島田陽子氏 発行
400円
 

    錯覚    島田陽子

   ぐっすり眠りこんだひとの布団を
   失礼!
   ともいわず剥いだような出会い
   新刊本の中で
   思い思いに身をくねらせて丸くなっている
   色とりどりの細いしおりたち
   恥ずかしげで
   なまめかしくて
   かわゆい

   かくれていたわけではないだろうが
   なんときゅうくつな
   そっと端をつまんでまっすぐ伸び伸びとさせてやる
   ためこんだ時間がふうっと逃げてゆく
   紙の上に過酷な圧力の跡がくっきり残る
   ちょっとした解放?

   彼らはやがてつながれたまま
   日に日にくたびれる
   いずれは書架に並べられ
   ほほけた尻尾となって垂れ下がり
   うす汚れてゆく

 「色とりどりの細いしおりたち」を描いた詩ですが、作者の持ち味がいかんなく発揮された作品だと思います。「ぐっすり眠りこんだひとの布団を/失礼!/ともいわず剥いだような出会い」「ためこんだ時間がふうっと逃げてゆく」などのフレーズは、なかなか書けるものではないと云えましょう。
 タイトルと最終連の相関も素晴らしい。「うす汚れてゆく」のは「彼ら」もそうだが、「つながれたまま」の私たちもそうなのだと「錯覚」してしまいます。どこでもあるものを如何に詩として昇華していくか、そんな見本のような作品だと思います。



  詩誌『黒豹』105号
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2004.3.31
千葉県館山市
黒豹社・諌川正臣氏 発行
非売品
 

    ロンドンの花市    富田和夫

   ロンドンの下町 イーストエンド
   色とりどりの花に埋れた通り路
   朝の陽射しが 百彩色に躍る

   「チューリップ チューリップだよ どんな色でも
   五本で たったの二ポンドだ」
   がっしりとした腕に トレードマークの
   真赤なチューリップの入れ墨をした男が
   「リ」を響かせて 売り声を張り上げる

   老夫婦から 若い親子連れ 独り者まで
   思い思いの花に群がり
   いつもながら おい お前と親しげに 花屋を呼び
   ニックネームさえも飛び交い 花が主役の舞台となる

   「俺のおふくろはスズランが大好きでね」
   「おふくろさんの誕生日のためなら 大まけだ」
   若者は 小銭入れを逆さに振って
   ピカピカの一ポンド金貨を渡すと
   純白のスズランの花束を手にし 微笑む

   「おい ダービーハットのおやじ そこのユリをくれ
   お前さんの花選びは 大した腕だよ
   さしずめ 競馬なら三冠王だね」
   「お世辞とはいえ うれしいね
   でも俺の予想も たまには外れて
   花が開かぬことだってあるのさ」
      
はなし
   どんな対話が飛び出し 実を結ぶか 玉手箱
   花売る人も 買う人も 花はふたりの縁結び
   花は言葉を生み 言葉は花をふくらませ
   やがて 開く蕾に願いを込める

             英国のロンドン、コロンビア通りにて

 しばらくロンドンに滞在していたと作品から窺うことが出来ますが、作者には留学体験などがあるのかもしれません。住み慣れた街という印象を受けます。長い時間滞在したからなのでしょう、「ロンドンの下町 イーストエンド」の人々が生き生きと描かれていると思いました。「真赤なチューリップの入れ墨をした男」に存在感があって、客のひとりひとりの顔までが浮かんできます。人を見る眼の確かさがあるのでしょう。
 「『リ』を響かせて 売り声を張り上げる」という表現も具体的で良いですね。思わずその通りの発音をしてしまいました。最終連もうまくまとめていると思います。花好きなロンドンっ子を見る眼に好感を持った作品です。




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