きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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小田原・御幸が浜にて
1979年
 
 

2004.4.6(火)

 私の勤務先は工場ですから、小集団活動というものがあります。オペレータ層の人たちが目標別のグループを組んで、自分たちで達成目標や達成時期を決めて活動するというものです。その課内の審査会があって出席しました。7名のメンバーで審査したのですが、全員一致であるグループを課の代表として推薦することに決めました。
 今、売れ筋の商品の新しい検査方法を開発したものですけど、理論的にも詰められていて、良く出来ていると私も思いました。技術者が開発することも当然ありますけど、実はこういう底辺(と言ったら失礼かもしれませんが)からの開発というのが意外と多いのです。だから、まだまだ大丈夫かな? この会社(^^;



  詩誌『ひを』創刊号
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2003.9
大阪市北区
三室 翔氏 発行
300円
 

    祝 日    滝 悦子

   カレがね、
   そう言うのよ、カレ。

   今の私に
   そんなふうに呼べるヒトがいない、と突然気づくが
   振り返っては話し続ける彼女に
   うん、うんと
   画面から顔をあげて相槌をうっているのは
   そういう存在が持つ膨らみの部分

   たとえば
   ハーヴェイ・カイテルをそんなふうに呼べるなら
   霧の行方をたずねるよりさきに
   ファンです、などと
   口走ってしまわないように気をつけよう
   エヴァと蛇とのあいだに交わされた古い密約を継承し
   いま ここに こうしているふしぎ

   うんうんと一人で頷きながら押さえたキーは
   
Delete

   深くたばこを吸い込んで
   今日がどのような祝日だったのか思い出そうとするが
   カーソルの明滅
   せりだす空白
   ウエスト・リム*の
   剥き出しの三億年が持つ膨らみのかたち

   私は官能的なシーンに縁がないのだと
   妙にさみしく納得すれば
   彼女の声の左側
   ブラインドはゆるく閉じてゆき
   そうしてはじまる
   エヴァよりもっといぜんの ものがたり

   どこかで布団を叩いているね。

               *グランドキャニオン

 場面の設定がうまい作品だと思います。 タイトルの「祝日」と最終連にただ1行置かれた「どこかで布団を叩いているね。」というフレーズが見事にマッチしていて、詩に「膨らみ」を与えています。書かれている内容は、そうそう明るいわけではないのですが、この構成により柔らかな雰囲気を出していると云えましょう。
 パソコン絡みの作品はもう珍しくはなくなってきましたが、それでも若い女性がパソコンと向き合っているんだなと感じさせます。パソコン用語の選び方も自然なんですね。「うんうんと一人で頷きながら押さえたキーは/
Delete」というようなフレーズにそれを感じます。



  詩誌『ひを』2号
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2004.4
大阪市北区
三室 翔氏 発行
300円

    迂回路    三室 翔

   庭には
   蜜柑の木があった
   それは
   あたまの上に丸いポッチリのついた
   少数派の蜜柑だった
   苗木から大きく育てて
   そのころにはもう
   五〇個くらいの実をつけていた
   皮をむくと
   白いふわふわとしたものに厚ぼったく
   包まれていて
   小さい袋のなかは種がいっぱいで
   実が種にからみついていて
   含むとなつかしい甘さ
   周囲に鮮烈にほとばしった
   蜜柑の内奥。
   あの時わたしたちは澄んだ時間をわけあっていた
   たしかなものに包まれていた・・・
   不在の予感や
   不確かなものへのおそれがあったとしても
   今日は今日

   歩道の向こう側の
   デパ地下にはいる
   すじのようなものに射られて
   果物売り場の一角に
   大きくもならず小さくもならず
   優しい時間を含んだまま。

 「蜜柑」と「迂回路」の組合せがおもしろい作品ですね。「迂回路」の比重は最終連が大きいと思うのですが、「蜜柑の内奥」や「あの時わたしたちは澄んだ時間をわけあっていた/たしかなものに包まれていた・・・」というフレーズにも掛かっていると読むべきでしょう。そんなことを、書斎の窓の外の蜜柑畑を見ながら考えています(^^;



  詩誌『青い階段』74号
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2004.4.1
横浜市西区
浅野章子氏 発行
500円
 

    影ぼうし    坂多瑩子

   隠れたつもりが

   はみだしていた影ぼうしのおかげで
   鬼に見つかって

   あれからずっとどじなことばかり

   今日もまた

   斜うしろからついてきた影ぼうしが
   階段を前にして

   わたしを先導しはじめ
   一段のぼると二段
   二段のぼると四段と

   うすずみ色の影ぼうしは速度をまし
   速度をますたびにうすくなり
   わたしより先に頂上に着いて

   木の梢にひっかかっている

   そんなことして
   あなた
   何がおもしろいの

 最終連で思わず笑ってしまった作品です。それまでが哲学的とも言える雰囲気でしたから、ちょっと身を硬くして拝読していたのですが、フッと緊張が解けました。そうしたら余計に作品に入り込めることにも気付きました。なかなか巧い創り方だと思います。
 「影ぼうし」に対する観察も行き届いていると思います。「速度をますたびにうすくなり」「木の梢にひっかかっている」などのフレーズはそうそう書けるものではありません。作者の観察力と技量に敬服した作品です。




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