きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科
 

2004.5.9(日)

 明日は日本ペンクラブの委員会に出席するため休暇をとります。休暇をとるためには仕事を片付けておかなくてはいけない、ということで午前中出勤しました。休暇のために休日出勤するというのは何かヘンなんですけど、まあ、これが現実。でも、思ったより早く片付いて2時間ほどで退社することができました。休日出勤というのは、邪魔が入らなくて好きなんです。平日だったら4時間ぐらい掛かったかもしれませんね。休暇をいっぱいとって、その分休日出勤もいっぱいやると、仕事は速く進むかな?(^^;



  竹村啓氏詩集『宇宙音』
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2004.5.5
東京都新宿区
土曜美術社出版販売刊
1800円
 

    いのち

   NASAの地球外生命探査は
   重大な誤りを犯している
   ぶよよ……

   生命とは何か
   五感でしか確認できないものなのか?
   匂いだけの火星人だっているかもしれないじゃないか
   第六感は? 第七感は?
   ぶよよ……

   地球外生命を
   視聴覚でのみ見つけようとしている
   アストロバイオロジーも根本的に間違っている
   ぶよん……

   いのちはあらゆるところに息づいている
   アニミズムなんて言葉を使わなくても
   生命は死んだり生きたりしている
   死んだままの奴だけでなく
   永遠に死なない いのちもある
   アチョーッ!

   二十三世紀
   NASAは滅びる
   地球外生命体は超人でなければ発見できないだろう
   ほら そこのあなただって超人ですよ
   何もわざわざ遠くへ行かなくても
   ほら そこにも
   あそこにも
   地球外知的生命体のメッセージが
   届いているんですよ

   生命だが生命でない
   生物ごときもの
   第三種特殊生命体に
   気づかないだけなんですよ
   このままで
   いいんですよ

 「匂いだけの火星人だっているかもしれないじゃないか」というフレーズに驚きました。「生命とは何か/五感でしか確認できないものなのか?」という問いかけに明確に反論することができません。
 私は仕事上では科学の徒ですから「地球外生命を/視聴覚でのみ見つけようとしている」立場の側でしょう。しかし、その反面では文学の徒(にもなっていませんが…)でもあります。そちらの側からは「いのちはあらゆるところに息づいている」ことを感じているのだと思います。※科学・文学と区別することに特別な意味はありませんけど、便宜上分けています。
 「アニミズム」に陥ることが怖くて避けていましたけど、この作品はそんな矮小な私の見方を見事に打ち砕いてくれました。「生命は死んだり生きたりしている/死んだままの奴だけでなく/永遠に死なない いのちもある」というのは事実でしょう。

 そして作品上で重要だと思うのは、最終連の「このままで/いいんですよ」というフレーズです。著者はご自分の思いは思いとして「気づかないだけ」の者に対しては「このままで/いいんですよ」と認めています。その姿勢が詩集全体に現れていると思いました。いわゆる、現在の現代詩≠フ分野では受け入れられないかもしれませんが「二十三世紀」まで見通している作品・詩集だと思いました。




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