きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科
 

2004.5.29(土)

 神奈川県秦野市の紙芝居喫茶「アリキアの街」に行ってきました。夕方から阿蘇豊さんと二人で朗読会をやれ、と言われていたものですが、午後すぐに電話が来て、早めに来いとのこと。15時にNHKラジオが取材に来るので同席せよ、とのことでした。マスコミはあまり好きではないんですけど、NHKは別です。日本ペンクラブの委員会でNHK職員と同席していること、TVはほとんどNHKしか見ないことが理由です、、、って、理由になってないな(^^;

 取材は紙芝居喫茶というのが受けたようで、実際の紙芝居公演を録音して、私に求められたのは観客としての感想。紙芝居の魅力は、動かない絵を見て自分の頭の中で動かすという自由・創造性があること、なんて思いつきをしゃべりまくりました。
 JEEPやキャンピングカーに乗っていた頃はTV、雑誌の取材というのは何度か受けたことがありますけど、ラジオは初めて。けっこうおもしろかったですよ。昔はデンスケみたいな大きな録音機で取材したんでしょうが、今はB5ほどの小さなレコーダーでマイクの方が大きいぐらいでした。マイクが口元に近づいて来て、のけぞるとさらに近づいてきて、さらにのけぞってと、思わず笑っちゃいましたけどね。取材していた女性がすごい美人だったんで、ラジオのアナウンサーじゃもったいないゾと思いましたけど、NHKって人材が豊富なんでしょうね。たった15分ほどの番組のために3時間も取材して、お疲れさまでした。

 それが終って19時からは阿蘇さんと二人の朗読会。朗読会とは言うけど、二人のトークショーみたいなものでした。それにしても阿蘇さんの詩はおもしろかったなぁ。阿蘇さんの朗読が始まると笑い声が絶えませんでした。それに比べて私の方はまるでお通夜。内容が暗いですからね、シーンとさせてしまいました。ちょっと反省。会場からは、阿蘇さんの作品にはパンツが多く出てくるのでパンツの詩人、私は社会問題ばっかりだから社会派詩人、なんて声がありましたけど、喜んでいいのやら悲しんでいいのやら…。

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 二人の朗読会が終ると、何人かが出てきて自作詩や他の詩人の作品の朗読を始めました。上の写真はその一部です。感激したのは真ん中の写真の女性で、いま くしげこさんと云う方です。先週お会いしたときに彼女のノートに詩を書くよう求められたのですが、それを朗読してくれました。たいした詩ではないんですけど、彼女が読むと別物になったようで、私も思わず身を乗り出してしまいました。

 結局、この日は阿蘇さんが帰れないのが判っていましたから、私も付き合って泊ることにして、午前2時頃まで呑んでいたかなぁ。もうひとり帰れなくなった女性と3人で呑み続けました。喫茶店の床に座布団を敷いてのゴロ寝でしたけど、まったく疲れませんでした。いい夜というにはそんなものかもしれません。



  阿蘇豊氏詩集『ア』
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2004.5.31
東京都渋谷区
開扇堂刊
500円
 

    

   回っている洗濯機の
   泡立つ中に
   汗でドロドロの
   パンツを投げ入れた

   ア

   回り始めたばかりなのか
   終わる寸前か
   確かめるということをしないで

   まばたき三つ
   もうみえない

   チェックの
   おれの今日一日を
   印したパンツよ

 発売は5月31日なのですが、今日のために数10冊を先に入手して会場で配布して私も1冊いただきました。紹介した作品はタイトルポエムで会場でも朗読しました。「パンツの詩人」と謂われる所以(ゆえん)をご理解いただけると思います。
 作品に描かれた情景というのは意外にあるもんですよね。私もときどきやってしまって嫁さんに怒られています。もっとひどいのは高校生の娘が洗濯しているところへ放り投げたときですが、その情景を書くのは憚られます(^^;

 作品の表面を見ると、書かれている情景だけのことですが、私には自分を狂言回しにしている作者の姿が浮かんできます。「確かめるということをしないで」行動してしまった、いわば、おっちょこちょいな自分を笑っているのですが、その底には「チェックの/おれの今日一日を/印したパンツよ」という、謂わば下積みなものへの愛着を感じます。それが作者の持ち味で、そういう作品がいっぱい詰まった詩集で好感が持てます。ご一読をお薦めします。




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