きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科
 

2004.6.5(土)

 久しぶりにラジオを引っ張り出して、朝8時頃からNHKを聴いていました。先週の土曜日に秦野市の紙芝居喫茶「アリキアの街」で取材を受けたもので、出るかどうか判らない状態でしたが、ちゃんと出ていましたね。紙芝居の感想を聞かれた一人としての発言で、30秒もあったかな? もちろん名前も出ない一観客でしたから、仮に聞いた人がいても私だとは判らなかったでしょう。まあ、そんなこともありました、というお話です。

 午後は神楽坂に出かけて、日本詩人クラブの現代詩研究会に出席しました。今回もインターネットで会場と沖縄をつなぐという役割でしたが、東大の川中子義勝教授も会場からご自分のパソコンで参加され、出産を終えたばかりの女性が都内から参加と、今までとはちょっと違った形になりました。川中子先生が沖縄の全作品にコメントをつけてくれたので、その分、私はずいぶんと楽になりました。データ通信用のPHSカードも川中子先生が購入してくれていましたので、その面でも楽をさせてもらいました。

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 会場の雰囲気はこんなもんです。スクリーンには詩人クラブのHPを映し出し、川中子先生は右端でパソコン操作。私は左のマイクの前あたりで操作していました。会場へ来た人は13名ですが、その他にインターネットでの参加者が6名いましたから、研究会としてはまあまあの人数ということになるでしょう。

 それにしてもEメールで沖縄と一対一でやるのは、もう限界ですね。今回のように計4台のパソコンが絡むと、メーリングリストの方が良いかもしれません。HPの掲示板を使う方法もありますけど、もう少し閉鎖系でやりたいと思っています。次回は10月ですから、それまでに整備しておく必要がありそうです。



  横山天瑛氏詩集『真実の詩』
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2004.6.10
東京都新宿区
美研インターナショナル刊
1400円+税
 

    隅田川遊覧船

   勝鬨橋の下を往く長閑な声が
   船内に流れている昔も今も変らないと
   油を注ぎ手入れている人達が
   作業状況を伝えている
   岸辺には家を持たない人達の
   青いテントがずらりと並んでいたりして
   大川橋の景観は昔のままとはいかない迄も
   昔がしのばれる程といわれるので
   思い出話を懐しむ人もいる

   語る言葉に深みが増してゆき
   船の中でよき時代の
   玉びらきの話をする人もいて
   暮れかけた空に打ち上げられた
   花火のことなどつきない話の花が
   ひらくように続いていた

 横山天瑛氏は本名・横山せき子氏で、日本詩人クラブの会員です。美しい詩集をいただきました。日本語の詩にフランス語の訳と、美しい絵が添えられています。詩を読む楽しみと絵を観る楽しみが合わさった詩画集です。
 紹介した作品は夏の花火の時期に隅田川遊覧船で遊んだときのものと思われます。「花火のことなどつきない話の花」が咲く中でも「油を注ぎ手入れている人達」のことや「青いテントがずらりと並んで」いる「家を持たない人達」のことをちゃんと見ています。著者のやさしさが滲み出た作品と云えましょう。作品に気取りがなく、素直に読める詩集だと思いました。



  個人詩誌『脱皮』14号
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2004.6.10
神奈川県逗子市
脱皮詩社・桑原啓善氏 発行
300円
 

    こしかた・つれづれ    桑原啓善

   曇りガラスに手を当てて

   空の彼方を思いみぬ

   まだ見ぬ人を思いみぬ

   十六歳は 日めくりを

   一枚 二枚とはがしつつ

   手を伸ばせば恋にふれなん

   十七歳は

   うつつと夢を重ねみし
          きざはし お
   十八歳は 階段を下りて
            い
   うつつの海に入り行きぬ
          はたち
   十九歳 二十歳は

   しあわせは雨が棒となり
    みなも
   水面に音なく輪を画くように

   消えぬ

   二十二 戦いの降る雨の中

   はて 人生は

   かくもきびし、亡くなる
         たま
   友等のみ魂と共にかこちぬ
       あと
   その後は歌に日などを過ごしぬ

 まさに「こしかた」を「つれづれ」に綴った作品ですが、「二十二」を最後に「その後は歌に日などを過ごしぬ」と書くところに作者の「人生」を考えてしまいます。もちろんそれだけの「人生」であるはずはなく、前田鐡之助との交友、リラ・ヴォイスと呼ぶ朗読など、日本の詩界に与えている影響は誰もが知っていることです。それにもかかわらず「友等のみ魂と共にかこちぬ」を精神の拠り所にしている「こしかた」に敬服を覚えます。詩人の在り様の具現と云えましょうか、そんなことを感じた作品です。




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