きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2004.6.8(火)
日本ペンクラブの電子文藝館委員会に出席してきました。ここでは有料掲載誌「PEN」について報告します。ただしペンクラブとしての決定事項ではなく、委員会ではこんな話が出たというレベルですので、お含みおきください。
趣旨は先月の委員会報告でも書きましたが、現在の電子文藝館の掲載基準である会員の投稿と委員会の認めた会員外の「招待席」に加えて、応募料を取ってその掲載基準にない人からも投稿を受けようというものです。新人を発掘したいという目論見です。
応募料3000円程度というのは、いろいろ意見がありましたけど、それで行きそうです。しかし応募作品の全てを掲載するわけではありません。委員会内の専門委員4名ほどと委員長がまず読んで、そこで3人以上の賛同が得られたらプロの作家2名ほどに読んでもらって掲載可否を判断します。応募料はその事務経費という位置付けになります。
分野は当面、小説、評論、場合によってはエッセイ程度で、400字詰め原稿用紙換算50枚以内(40KB)を考えています。詩歌、戯曲はしばらく除くことになりそうです。評価が難しいですからね。もちろん電子化されたデータをEメールで送信することが条件に入ります。
もう少し具体化が必要ですが、芥川賞・直木賞に並ぶ登竜門になればいいなと考えています。既存の雑誌や単行本では発表していないが、隠れた逸材はいるもので、そんな人たちを世に出せる新システムという位置付けですね。電子文藝館はかなり読まれていて、数100万円で買いたいという業者も現れているようです。もちろん電子文藝館は一業者の独占になるものではなく、日本文学の共有財産ですからお断りしていますけど、それだけの価値があるものと自負しています。その電子文藝館から新人を送り出すという計画ですから、決定したら皆さんも応募を考えてみてください。
○湧太詩誌 No.12『月兎』 |
2003.12.16 | ||||
栃木県茂木町 | ||||
彩工房・湧太氏 発行 | ||||
非売品 | ||||
月兎
黒い布を浮かべた
池の面に
月兎 銀色の影が落ちた
満月 大気は澄み
輪郭は冴えて
墨の雫が穂先から垂れる
月の光りを浴び
銀色に縁取られた
影が
地の底へ滲みていく
腰から尾 背から頭 胸から足
墨で濡れる 筆の先で
月兎をなぞり
影を切り取った
タイトルポエムです。「月兎」という言葉は辞書にはなく作者の造語と思いますが、素直に月の兎≠ニ読んでよさそうです。
感覚と描写は素晴らしいと思います。例えば「黒い布を浮かべた/池の面」という詩句も凄いと思いますが、それに続く「銀色の影が落ちた」という色彩の対比は絵画的で、読者の想像力を刺激します。「墨の雫が穂先から垂れる」というのは実写と捉えてよいでしょうが、これも感覚的で視覚にちゃんと入ってきます。色は「銀色」と「墨」色、または「影」色とモノトーンの世界なんですけど、非常に色彩豊かに感じられます。詩の言葉として屹立しているからと云えましょう。
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