きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科
 

2004.6.12(土)

 昨夜、というか今朝ですね、午前3時半に帰宅しました(^^; 昨夜は18時半頃から呑み出して、気が付いたら午前2時頃になっていました。三次会の店でタクシーを呼んでもらおうと思ったのですが、マスターが「送って行く」と言ってくれて、結局、店が終る3時まで呑んでいたという次第です。

 珍しく呑み会の予定が入っていない金曜日でしたので、早めに帰っていただいた本を読んで、と考えていましたけど、昔の職場の連中に捕まってしまいました。私がその職場を出たあとで異動してきた若い連中も2〜3人来る、というので、つい釣られてしまいました。若い連中というのは顔は知っているんですが、呑んだことはありません。いい機会だから懇親しておこうと思いましたけど、本音は呑み会なら何でもいいゾというところですかね(^^;

 若い男が3人、若い女性が3人。そのうち4人は2時まで付き合ってくれて、楽しかったです。酒の話、職場の話と話題は他愛ないものばかりでしたけど、気持のいい連中でしたからまた呑んでもいいと思いましたね。最近の若い連中は気持のいい人が多くて、時代の差を感じます。それがオトナたちには気骨がない≠ニか主張がない≠ニいうことになるのかもしれませんが、彼らと呑んでいるとそれはちょっと違うなと思います。気配りが出来ているのだと思います。えっ! トシヨリはお前ひとりだから気を遣っているにすぎない、って? 反論できませんね(^^;



  詩誌『叢生』132号
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2004.6.1
大阪府豊中市
叢生詩社・島田陽子氏 発行
400円
 

    目覚時計    姨嶋とし子

   目覚時計が
   けたたましく喚きたてている
   仕掛けた者の依頼心を
   詰っているのではない
   目ばたくような一瞬さえ
   時の流れから逸脱することのできない
   自分自身に腹を立てているのだ

 巻頭作品ですが主語を考えるとおもしろい作品だと思います。「自分自身に腹を立てている」のは誰か? 「目覚時計」か? 「仕掛けた者」か? 「仕掛けた者の依頼心を/詰っている」というフレーズから考えると「目覚時計」が正解でしょう。「目ばたくような一瞬さえ/時の流れから逸脱することのできない」のも「目覚時計」と考えて良いと思います。

 文の構成上からはそうなりますが、ここはやはりその裏に「仕掛けた者」も考えたいですね。主語の二重構造とでも云いましょうか、詩の構造を考える上でもおもしろい作品です。雑誌を開いて第一番目に飛び込んでくる詩として強烈な印象を持ちました。



  菅野眞砂氏詩集『浜木綿の咲く浜辺』
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2004.6.10
東京都千代田区
花神社刊
1800円+税
 

    わかれ

      一

   夜来の雨が止む
   どこかで土鳩が鳴いている
    ぐるる ぐるる
   ありけり をりけり はべりけり
   言葉はみな過去の形に
   いる筈の人はもう居ない
   居ないという存在
   あなたは居ないという世界が
   私の世界

   朝早く黒い車があなたを運んできた
   白い箱にきゅうくつそうにして
   検死料一万円也の請求書付で
   雛祭りの膳の前でコトリと倒れ
   それっきり
   警察に一晩泊められたあなた
   頬にそっと手を当てる
   固く冷たいあなたは私を拒んだ
   あなたはもう ここには居ない

   あの時から ずっと探している

      二

   ひらひら
   ひらひら
   右 左と傾きながら
   あなたが形よく平泳ぎした海
   薄く透けるあなたの骨は白い貝になって
   海の底に沈んでいった

   少し肩のところがだぶついた紺のブレザー
   写真の中
   ちょっと威張って
   こちらを見ている

   ずっと抱いていた一ひらの骨片
   毎年遊んだ西伊豆の海に放ちました
   ずっと抱いてきた喪失の思いもともに
   コバルト色の小さな魚が遊ぶ海

   浜木綿の咲く浜辺で

 詩集巻頭の詩です。この詩集にはタイトルの「浜木綿の咲く浜辺」という作品はありません。この作品の最終行から採ったと思われます。それだけこの作品への思い入れが強いということでしょうが、その気持は良く判りますね。「あなたは居ないという世界が/私の世界」から「ずっと抱いてきた喪失の思いもともに」「西伊豆の海に放」った心境までが淡々と語られていて、その姿勢に読者は惹かれていくと云えましょう。

 ご主人だから当然かもしれませんが「形よく平泳ぎした」「少し肩のところがだぶついた紺のブレザー」「ちょっと威張って」などのフレーズで「あなた」の人間像が見事に浮び上ってきます。鎮魂の詩集であると同時に再出発を決意した詩集と読み取りました。




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