きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり

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「クモガクレ」
Calumia godeffroyi
カワアナゴ科
 

2004.6.18(金)

 金曜日ですから、ちょっと残業をしたあと呑みに行きました。先々週に初めて行った店にもう一度寄ってみました。お酒は「八海山」ぐらいしか置いてないんですが、オバチャンがいい。気さくで、気兼ねなく呑めます。名物にニンニクのまる蒸しというのがあって、大玉2個が1セットで出てきます。先々週は、翌日に詩人クラブの研究会があったので1個で止めときましたけど、明日は他人と逢う予定がありません。まるまる食ってしまいました。明日会う人がいたら嫌な顔をするだろうなあ(^^; 週末に明日のことを考えずに呑むというのは、本当に至福です。



  秦恒平氏著湖(うみ)の本48 「お父さん、繪を描いてください」
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2004.6.7
東京都西東京市
「湖(うみ)の本」版元 発行
1900円
 

 上下2巻で送られてきました。現在はイラストレーターとして生活している山名武史と作家・幸田康之は戦後の一時期、京都市立祇園中学で同級生だった。中学2年の山名は、小学生の頃から富山県の県展で入賞するほどの天才的な絵描き。山名は祇園中学の先生方が「まっさお」になるほどの絵を見せ、その帰りに初めて幸田と口を交わす。それから40年ほど二人の交流は無いが、幸田がある画廊で山名の絵を見たことから二人の交流が始まる…。

 小説は、山名が幸田に送った手紙を中心に進んでいきますが、山名と幸田の芸術論が語られるというのが眼目でしょう。創作に携わる者なら一度は、いや何度でも訪れる芸術とは何か≠ニいう命題がテーマになっています。それも堅苦しい芸術論ではなく、ミステリー仕立てと謂えば大仰でしょうが、そんな興味でも読み進められます。

 山名の手紙の中でおもしろい箇所がありましたので紹介しておきましょう。
                                 
・・
    あなたはいつかのお便りで、「紳士の証明」だけのような作品はいやと書いていました。全く適切な
   譬えと思います。私の恐れるのも、そのことです。「誠実ではあるが、堪えがたき凡庸」というもの
   があって、藝術にとっては最も無用の要素です。私はしばしばそこへ落ち込む危険を感じ、身を避けた
   いと願う。その積もりは無いけれども、気がつくとそこにいる、そういうことは是非避けたい。それが
   一番怖ろしい。

 この一文を紹介しただけでも、この小説の凄さがお判りいただけるのではないかと思います。まだ上巻を読んだだけですが、この先も何の苦もなく読み進められそうです。



  秦恒平氏著湖(うみ)の本49 「お父さん、繪を描いてください」
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2004.6.19
東京都西東京市
「湖(うみ)の本」版元 発行
1900円
 

 上下2巻の長い小説を読み終えました。この小説は秦さんのHPで「寂しくても」と題して連載されていたようですから、そっちでお読みになった方がいるかもしれませんね。
 絵を描かずに幸田に長い手紙ばかりを送って考え¢アけていた山名は、妻が死んだあと神奈川の自宅を引き払って、生まれ故郷の富山に帰ります。考えてばかりいないで一枚の絵を描け、と憤っていた幸田は、二人だけの送別会で自分の顔を描いてくれと山名に頼みます。山名は持っていたノートにボールペンでさらさらと、ものの15分ほどで3枚の絵を描いて幸田に渡しました。その見事な出来映えに幸田は感心するのですが…。

 あとは原作をお読みになるか、秦さんのHPでご覧になるのが良いでしょう。たぶんHPでの削除はしていないと思います。
 驚いたことに、その3枚の絵のうちの1枚が載っていました。秦さんにそっくりで、今にも話し掛けてきそうです。秦さん自身は絵は描けない≠ニ書いていますから、言葉通りに信じれば実在の他者が描いたことになります。
 山名が実在かどうかは小説の上では関係ありませんが、実にリアルな小説であることは付け加えておきましょう。映画やTVドラマの原作になってもおかしくない作品だとも付け加えておきます。




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