きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
     
 
 
 
「モンガラ カワハギ」
新井克彦画
 
 

2004.9.27(月)

 昨日、あることに気付いて愕然としました。郵便料金が足りない!!
 10日ほど前にある人から切手のプレゼントを受けました。きれいな記念切手で、最近、鳩居堂などの封筒を使うようにしている私にはうれしい贈り物でした。手漉きの封筒に良く合っていて、密かにほくそえんでいたのです、、、80円切手だとばっかり思い込んで……。昨日、原稿を送るのに140円だったので、80円+50円+10円切手を貼ろうして、、、ん!? これって50円切手だったぁぁ!
 その切手で10通ほど送ってしまいました、ごめんなさい。今だに料金不足で戻って来ていないところをみると、受け取った人が差額を払ったのではないかと思います。お心あたりの方はこっそり教えてください。不足分をお返しします。どうもすみませんでした。

 最近、この手のポカが多くなっているように思います。約束したことも忘れているようです。「こういう話になっていたでしょ!」と言われて、まったく記憶にないことが二、三度ありました。今のところ相手の思い違いということで済んでいますが、真実はどうなのか、、、不安です。いつも「脳で制御するんだ!」と言ってましたから、脳の叛乱なのかもしれません(^^; いやいや、単なるトシなんでしょうねぇ(実は呑み過ぎ?)。



  奥田博之氏詩集『顔の移転』
    kao no iten.JPG    
 
 
 
 
2004.10.5
大阪府豊能郡能勢町
詩画工房刊
2100円
 

    顔の移転
       
世間からはもっと距離を置いて生きよう

   或る画家は
   すべての人の顔を描こうとしたが
   実在は限定のないものだし
   不変で不動の無相
   形がないのが本来の私である
   世間の噂が占領してしまっている私の顔は
   無いほうがいい

   部分に分けて他所に移動させよう
   私が本当の意味で自己であるために
   目は 宇宙空間に移すことにしよう

   耳は情報収集のためそのまま
   都会の電線にぶら下げておくが
   口は 禍の根を断つために
   南極の観測船に乗せる

   鼻は 風邪を引かないよう
   菰を幾重にも巻いて棒で支え
   頭は人里離れた山奥に住まわせるが
   延び放題の髪の毛は 他人と
   諍いを起こさぬように切らねばならない
   そして売り物にならない頬の肉と顎は
   砕いて裏の畑の肥料にしよう

   朝から晩まで働いて
   旬の野菜が穫れたら
   それに眉毛をあるがままに描いて
   宇宙の原因である主に
   真の自己を知った感謝の祈りを捧げよう

   首都圏の命令系統の機能移転が完了したら
   現世の顔があった元の場所は立ち入り禁止にして
   世間からは
   距離を置いて生きよう

 詩集のタイトルポエムです。副題と最終連に出て来る「世間からは/距離を置いて生きよう」という詩句が印象的です。「延び放題の髪の毛は 他人と/諍いを起こさぬように切らねばならない」というフレーズからも窺えるように、いつも「世間」に気を遣っているからこそ表出する言葉なのだと思います。そして「宇宙の原因である主に/真の自己を知った感謝の祈りを捧げよう」と思いながらも「目は 宇宙空間に移す」、「口は 禍の根を断つために/南極の観測船に乗せる」という真摯な姿勢に敬服します。
 何もそこまでしなくとも、と実のところは思うのですが、それが著者の生き方なのでしょうね。癌の手術を何度も受けながら、90歳になるという母上と二人で暮らす著者を陰ながら応援しています。詩人になるべくしてなった人だと云えましょう。




   back(9月の部屋へ戻る)

   
home