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「モンガラ カワハギ」 |
新井克彦画 |
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2004.10.8(金)
2カ月ぶりに休暇を取って、神静民報社・西さがみ文芸愛好会共催による「文芸のつどい」に出席して来ました。このHPでも紹介した『文苑
西さがみ』の刊行祝いも兼ねていて、執筆させてもらった私にも案内状が来たのです。小田原地方の文芸家の間から村山精二という奴は地元を大事にしないで中央ばっかりに行っている≠ニいう声がチラホラ聴こえていました。地元を大事にしない気など毛頭なく(だから神静民報社にも書いている)、たまたま日本詩人クラブや日本ペンクラブの仕事があったから中央≠ノ行っているに過ぎないのですが、言い訳してもしょうがないこと。こういう機会に出席することで汚名≠雪(そそ)ごうという下心もありました(^^;
行ってみて驚いた、というか予想はしていたのですが弊社のOBも数人いました。10数年ぶりにお会いして、昔話に花を咲かせてしまいました。弊社には労働組合の文化部に全国的にも珍しく「詩部」というのがあって、長く活動していました。私の代になってヒモ付きが嫌で潰してしまいました。そんなこともあってか古い部員で文芸から離れた人も多いのですが、やっている人はやっているのだと改めて思いましたね。
神静民報社の社長・編集長、西さがみ文芸愛好会の会長にも紹介してもらいました。西さがみ文芸愛好会にも入会することになって、これで地元への義理も果たせそうです。
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○会報『文芸西さがみ』29号 |
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2004.9 |
神奈川県小田原市 |
岡崎
明氏方・西さがみ文芸愛好会 発行 |
非売品 |
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当日、会場でいただきました。一面は今日の「文芸のつどい」の案内、2頁目からはシンポジュームの報告や会員著書の紹介など。小田原地方の主要なイベントが判る内容です。残念ながら詩は1篇も載っていないので紹介できませんが、俳人・歌人が多いのかなという印象を持ちました。入会したら私のやる仕事はその辺かなと思います。小田原地方に現役詩人の復権を!
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○月刊詩誌『現代詩図鑑』第2巻10号 |
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2004.10.1 |
東京都大田区 |
ダニエル社 発行 |
300円 |
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余白 佐藤真里子(さとう まりこ)
貼る
祖母に預けられていた子供のころ 早く寝てしまう祖母の隣
で 眠られない夜に壁を見つめていると 恐いかたちが浮き
出てくる 無地の壁が恐かった 恐さを埋めるために何かを
貼った 貼る癖が後遺症のように残り 大人になってからは
快いイメージを受けて楽しく過ごすために 最後には汚れ
を隠すために 住んでいる壁のあちこちに 切り抜きやポス
ターをベタベタ貼った 何もないところに何かが見えてくる
余白を恐れつつ 好んで着ていたのは 夏の白いシャツと
冬の白いセーターだった
剥がす
本当はうんざりしていた ゴテゴテしたパッチワークのよう
な壁に でも 重ね貼りまでしていた 住みはじめて二
十五年目に 改装工事を決意した すべてを剥がす こんな
機会に強制されなければ いつまでも剥がせない壁の 重ね
貼りからは 過ぎた歳月の痕跡が見えた 工事のために部屋
を空っぽにすると 大きな家具の裏の貼られなかった余白に
は 黒いカビの島が浮かんでいて 内面の汚れを晒されたみ
たいに 気分が悪くなった 真夜中に カビや貼り跡のシミ
の島々から 昔話をしにやってきた小人たちと 夜明けまで
はしゃいだ もうこれっきりにしようと 心の余白にも貼り
付けていたすべてを 剥がした
「余白を恐れつつ」「貼」り、「ゴテゴテしたパッチワークのよう/な壁に」「本当はうんざりしてい」て「剥が」し、心境の矛盾をうまく捉えた作品だと思います。本質的には「余白を恐れつつ 好んで着ていたのは 夏の白いシャツと/冬の白いセーターだった」のでしょうね。だから「心の余白にも貼り/付けていたすべてを 剥がした」のでしょう。詩でしか書けない部分であり、詩人の繊細な感覚を味わった作品です。
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