きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
     
 
 
 
「モンガラ カワハギ」
新井克彦画
 
 

2004.11.8(月)

 社内には環境問題を専門に扱う委員会があって、私もこの4月からその一員です。今日は10回目の委員会。今週末に部内の環境大会がありますから、その事前準備をしました。私も発表する機会がありますので、ちょっと真剣でしたね。一応、原案は承認されたのですが、もう少し見映えを良くしたら、と言われてしまいました。パソコンで、プロジェクターを使って発表するのですが、いつもは白黒の文字を相手にしていますから急にカラフルにと言われてもね(^^; ま、当日までに改良しましょう。



詩と批評誌キジムナー通信24号
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2004.10.30
沖縄県那覇市
孤松庵・宮城松隆氏 発行
120円
 

    二〇〇四年八月十三日    キュウリユキコ

   午後二時三十五分
    「私は大丈夫です」携帯電話の向こう側彼女はいきなりそう言った

   午後二時五〇分
    字幕スーパーが流れる
     “宜野湾市の沖縄国際大学構内に米軍普天間基地所属のCH53D輸送ヘリ墜落”

   午後五時
    ローカルニュース
    機体を取り巻く

     家家家家家家家ガソリンスタンド家家家家家家家スーパー家家家家家家家美容室家家家家家家家
     家食堂家家家家魚屋家家家家家保育園家家家家家カフェ家家家家交番家家家家本屋家家家家家家
     家家家家整体験家商店家家家家家家雑貨屋家家家絵画教室家家家家家中学校家家家鍵屋家家家家
     家家家家家コンビニ家家居酒屋家家家家家不動産家家家家家病院家家家家家家家ラーメン屋家家
     郵便局家家家中古車店家家家家スポーツショップ家家家家弁当屋家家家家家家家眼鏡屋家家家家
     家家BAR家家家家家タコス屋家家家家家家家家レンタルショップ家家家家家家家家家家家家家
     家家家

   午後十時
    全国放送のニュース
    “巨人軍オーナー辞任”

     渡辺オーナー辞任北朝鮮拉致問題渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺オー
     ナー辞任アテネオリンピック開幕渡辺オーナー辞任首相午後二時五二分六本木ヒルズで映画鑑賞
     渡辺オーナー辞任首相映画鑑賞後六本木ヒルズを散策渡辺オーナー辞任イラク英記者一時拉致渡
     辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任反米デモ渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任サドル師停戦条件
     提示渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任メダル量産期待渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺
     オーナー辞任渡辺オーナー辞任憲法九条の吟味渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺オーナー
     辞任渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡
     辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任渡辺オーナー辞任GDP成長率減速渡辺オーナー辞任

   午後十時半
    午後二時十五分頃 沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学構内に米軍普天同基地所属の
    CH53D輸送へり墜落

   飛び散った機体の破片は窓ガラスを突き破り
   庄子をぶち破り居間の壁に突き刺さった

   
I’m glad to hear that everyone is safe

           
二〇〇四年八月十三日未明
           
 タブンキョウハ
           
 ヘリオチマセン
           
 ブヒンオチマセン
           
 ダレモ死ニマセン
           
 ダレモ犯シマセン

 表題の「二〇〇四年八月十三日」は「宜野湾市の沖縄国際大学構内に米軍普天間基地所属のCH53D輸送ヘリ墜落」した日ですね。「午後十時半」のニュースで知って、驚いた覚えがあります。「沖縄国際大学」の在校生・卒業生とは日本詩人クラブの現代詩研究会でEメールを通じて交流していましたから、身近な出来事として感じました。作者のキュウリさんも研究会に作品を寄せてくれています。

 この作品のおもしろいところは第4連、第6連だと思います。第4連は米軍ヘリが墜落した近辺の街並みを表現しており、いかに「家」が密集しているかが判ります。第6連は「午後十時/全国放送のニュース」が何を伝えたかを告発しています。「午後二時三十五分」に米軍ヘリが住宅密集地にある沖国大の構内に墜落したというのに、ニュースは「渡辺オーナー辞任」に塗り潰され、それ以外は「首相午後二時五二分六本木ヒルズで映画鑑賞」したとか「メダル量産期待」されるとか、愚にも付かないことばっかり…。作者の静かな怒りを感じます。

 日本詩人クラブとの交信は、実は沖国大の「構内」のパソコンで行われていました。一時中断の止む無きに至りましたが、次回、来年2月の研究会では再開できるだろうと思っています。
 作品の“ ”内は斜体になっていましたが、テキスト形式の拙HPでは表現できないので他の文字種と同じにしてあります。ご了承ください。



隔月刊詩誌サロン・デ・ポエート252号
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2004.10.25
名古屋市名東区
中部詩人サロン・滝澤和枝氏 発行
300円
 

    ゴキブリ晩夏    古賀大助

   一畳のキッチンから
   半畳のたたきへ
   追って 白いシューズをつかみ
   ゴム底で叩いた
   二度三度と叩いた
   ひしゃげた身体と
   黄色い体液を
   ティッシュで拭き取り
   何にもない
   何にもみない
   まじないのように呟いたけれど
   びんしょうに走ったものの影が
   つややかなものの名残が
   しびれる指先にうずく夏のおわり

   フライパンに油を引き
   といた卵を落とし
   残ったゴハンを炒め
   チキン・チャーハンの素をふりかけ
   かきまぜる
   まんべんなくかきまぜる
   ほどよい赤みがさした頃
   つややかなものが一瞬
   びんしょうに足元を走った
   何にもないことはない
   何にもみないことにはできない
   汗が額ににじむ夏のおわり

 1連と2連の対比がおもしろい作品です。私にも覚えがありますが、確かに「何にもない/何にもみない」ことにしようと思ったところへ「つややかなものが一瞬/びんしょうに足元を走った」悔しさ。判りますね。結局「何にもないことはない/何にもみないことにはできない」のだと悟らざるを得ないのが人生なのかもしれません。最終行の「汗が額ににじむ夏のおわり」というフレーズが、そんな悔しさ、悟りを象徴していて、巧いなぁと思った作品です。




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