きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
     
 
 
 
「モンガラ カワハギ」
新井克彦画
 
 

2004.11.17(水)

 茨城県の関連会社に出張してきました。ちょっとした問題があって、その解決策が出来たから見に来いというもので、最終品質の責任者としては当然行かなければいけません。結果は、一部実現していないものもありましたけど、まあ、上々で、可としました。

041117.JPG    茨城県とは言っても、東北新幹線を使います。小山まで新幹線、その先は在来線です。写真は行きの新幹線で大宮―小山間の風景です。大宮を過ぎると田園地帯が広がって、好きな風景になります。

 仕事のあとはいつも通りの懇親会。小山駅前の「だるま」だったかな? 馴染みになった大衆割烹の店で、和歌山の「黒牛」を初めて呑んでみました。これはお薦めですね。仕事もお酒も順調で、こういう出張ならいいなぁ。




原田暎子氏詩集『鏡子』
    kagamiko.JPG    
 
 
 
1998.11.19
福岡市中央区
石風社刊
1500円+税
 

    一目散

   顎をつき出して朝がはいってくる
   棚のうえの不眠の瓶にあわてて蓋をする
   夜の捜索灯をにぎりしめたままだったので
   かつかつと不器用な音をたててしまう
   たちまち瓶のなかが汗ばんでくる
   ふりかえりぎわに
   アサヤケは と訊ねると
   返り討ちにあったのだという
   だれに と驚いてかさねて訊ねると
   しらん とさらに顎をつきあげるように
   出してくる
   そのカオが
   陽の光を食いしばって
   いちぞくの修羅の隈取りめがけて
   一目散に明け放っていく

 1998年刊のちょっと古い詩集ですが、おもしろい作品が多かったですね。その代表と思うのが紹介した作品です。擬人化された「朝」というのもおもしろい発想ですが、「アサヤケは」「返り討ちにあった」とか、「そのカオが/陽の光を食いしばって」いるなんて表現は新鮮味を感じますね。「いちぞくの修羅の隈取りめがけて/一目散に明け放っていく」というフレーズも「朝」に対するおもしろい見方だと思います。
 「猫町猫丁目」「しーん」「雨の日のプレゼント」などの作品にも惹かれた詩集です。



詩誌『杭』43号
    kui 43.JPG    
 
 
 
 
2004.11.15
さいたま市大宮区
杭詩文会・廣瀧 光氏 発行
500円
 

    推敲    巴 希多

   せっせと
   わたし
   みどりのポエムを育てていて
   生長する過程を
   書きまくっている
   地下足袋で

   育てていたつもりが
   育てられていたのは
   わたしの方
   せっせ
   せっせと
   意志の疎通を
   足の筆で

   たった今
   書いたばかりの その上を
   往ったり
   消したり
   来たり
   足跡を重ねていく

   原稿用紙は
   肥えた土です
   豊かなんです

 最終連が好いですね。「推敲」によって「育てていたつもりが/育てられていたのは/わたしの方」と気付いて、「原稿用紙は/肥えた土です/豊かなんです」と言い切るところにこの詩人の前向きな姿勢が出ていると思います。「地下足袋で」「足の筆で」「足跡を重ねていく」と、まさに地に足を着けた書き方というのは意外に忘れているものなのかもしれません。そんな初心を覚醒させてくれた作品です。




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