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「モンガラ カワハギ」 |
新井克彦画 |
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2004.11.18(木)
今日は何の日かご存知ですか? そう、ボージョレ・ヌーボーの解禁日なんです。行きつけの呑み屋さんに先月のうちから宣伝が出ていて、予約の客にはオードブルのツマミがサービスとありましたから初めて予約をしてみました。もちろん万難を排して出席しましたよ(^^;
実はそれほどワインに詳しくないのですが、750mlで2300円は安いと思いましたね。いろいろ種類もあるようで中には5000円を越えるものもあるそうですが、私が呑んだのはコーディアというもの。旨かったです。750mlはとても呑めないだろうと思っていましたが、呑んでしまいました。これは癖になりそうです。毎年予約しようと内心、ほくそえんでいます。
○詩と評論・季刊誌『新・現代詩』15号 |
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2004.12.1 |
横浜市港南区 |
知加書房 発行 |
850円 |
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現代暴力考 直原弘道
遠くの国の学校で
何百人という子どもたちと親たちが殺されて
遺された人々の嘆きが
連日のように夕食後の居間に届いてくる
一瞬カメラがとらえていた
まだ生きている子どもたちの顔
不気味に覆面した女ゲリラの眼
終りのない
日々積重ねられていく新たな火種を
夕食後の居間で見ている
チェチェンで煮えたぎりパレスチナの生理となりアフガンの山
地に生き残りイラクで日々炸裂しつづける潮騒のようにたかま
るにくしみの連鎖
二百年も前から侵され追われ殺戮されてきた抗争の果てに
自らの死を賭けて殺すために爆薬を身に巻きつけて暗黒の中に
踏み込んでいくチェチェンの息子や娘たちの救いのない抵抗を
困惑しながらも私には本心から憎めない
ベスチンでは百人を越える子どもたちの遺体さえ確認できな
かった
ニューヨークでは二千七百四十九人のうち千百八十一人の遺体
が瓦礫の下で飛散したままだ
テロヘの戦争をはじめたのは彼らではなかった
明日突然殺されるかもしれないとは夢にも思わず
普通に暮していること自体が罪だったのだ
ワシントンよモスクワよテルアビブよそして東京よ
これから先の数世紀にわたる憎悪の種を蒔いている
私たちの政府の傲慢さを私は思う
勝者も敗者もありえないこの連鎖をどう断ち切るか
「民族自決」も「非武装」の願いも
無意味な郷愁にしてしまおうとする時代に
傍観者として時折ながす涙など
何の意味も持たないのだと
私は日々おののいている
「現代」の「暴力」に対する鋭い視点だと思います。「自らの死を賭けて殺すために爆薬を身に巻きつけて暗黒の中に/踏み込んでいくチェチェンの息子や娘たちの救いのない抵抗を/困惑しながらも私には本心から憎めない」という作者の思いにも共感します。「明日突然殺されるかもしれないとは夢にも思わず/普通に暮していること自体が罪だったのだ」というフレーズには抵抗のある人もいるでしょうが、それが歴史の必然なんだと私は納得しています。
重要なのは「夕食後の居間で見ている」「にくしみの連鎖」に「傍観者として時折ながす涙」があったとしても「何の意味も持たない」、そのことを「私は日々おののいている」という感覚でしょう。詩的にも世界史的にも考えさせられる作品だと思いました。
○八潮煉氏詩集『ラ フランコフィリ』 |
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2004.11.30 |
東京都新宿区 |
土曜美術社出版販売刊 |
1800円+税 |
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フ ラ ン ス
か ぶ れ
Francophilie
夢にかられゴブラン鈍りの庭園で
レザン・ノワール*lの目をしたgarconに魅せられて
わたしはFrancophilieになった '
かれはひかりの甘皮にまもられ
舞いつづける美形のモルフォ蝶だった
Francophilieは朝なきのすずめを
宿命の大白鳥に見立て
おおぎょうに眠りの世界へはいっていく
そのようにして自己を維持した
ひすい色の羽を迫っていくと
かれはついに振り返って 気高く
トリスクンとイズーの物語を語った
中世の音節にのっとり
媚薬酒から生まれは精美なロマンスは
荒々しい死で結末をむかえた
ところであなたにはそれは叶わぬ夢
わたしは聞こえないふりをし
隙を見てすばやく蝶をつかまえた
ありふれた触角や鱗粉をおおげさにたたえて
情人の足元に広がる汚泥を無視した
(しかたがない
わたしは恋におちたのだ)
白鳥はガリア*2の上空を巨大な翼でなぞり
もっと狂えとわたしの頭蓋をしめつけた
*l 黒っぽいレーズン色
*2 古代ヨーロッパの地域
著者の第一詩集です。ご出版おめでとうございます。
詩集タイトルの『ラ フランコフィリ』とは、紹介した作品でも判るとおり「フランスかぶれ」という意味だそうです。自虐的な意味にもとれますが、内容は決してそうではありませんね。新しい感性を感じます。第5連2行目の「生まれは」は生まれた≠フ誤植かもしれませんが原文通りとしてあります。今後のご活躍を祈念しています。
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