きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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「モンガラ カワハギ」
新井克彦画
 
 

2004.12.16(木)

 昨日は珍しく郵便物が1通だけ。横浜詩人会からでした。開封して驚きましたね。新年度の委員選挙に当選したから、新年度委員会に出席せよ、というものでした。当選したことも知らなかったし、受諾した覚えもありませんでしたから、すぐに会長に電話しました。どうも手違いのようで、それらの手続きのあとに発送すべきものを先に出してしまったようです。
 電話のついでに委員辞退を伝えました。横浜詩人会の委員を辞退するのはこれで2度目なので心苦しかったのですけど、会社勤めの傍ら平日の委員会に出席できないのは判っていますからね。快く了解してもらえました。

 これで日本詩人クラブの理事も辞退しなければならないことになりました。日本詩人クラブも選挙で理事を決めます。来年2月頃に行われる選挙で私が当選するとは限りませんけど、4年の実績があるので当選の可能性は高いと思っています。仮に当選となって、横浜詩人会の委員は辞退したけど日本詩人クラブの理事は引き受ける、なんてことになったら、横浜詩人会に対して失礼ですからね。
 ですから、日本詩人クラブの会員で、私に投票しようとお考えの人はぜひ止めてください。6年前に理事を引き受けたときは以前の職場でしたので、かなり個人の裁量が効きました。現在の職責は以前と比べものにならなくて、休暇を取って対応できるとは思えないのです。よろしくお願いいたします。

 で、今日はその職責の一端(^^; として東京本社に出張してきました。関連会社との今年最後の会議です。17時半に会議が終ったあとは、近くの中華料理店で懇親会。忘年会との位置付けでもありましたから、少々呑み過ぎたかな。それにしては終電3つ前の新幹線に乗れたから、酔いは深くなかったのかもしれません。会社関係の、しかも会社同士としての忘年会はこなす≠ニいう感覚になっているようです。



菊池敏子氏詩集『ポキポキ』
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2004.12.15
東京都千代田区
花神社刊
2300円+税
 

    

   雨がやんで
   なかぞらに虹が懸かりました
   いましがた この街を容赦なく濯いたて
   通り過ぎていった夕立の
   うつくしい半懸かりの消印のように
   乾いて ささくれたものたちのため
   処方された慰めのように

   虹を仰ぐと
   うしろの空もふり返りたくなります
   この虹の いもうとみたいなもう一つの虹が
   ひとしれず天空で
   あわあわと向かいあってはいないか と

   そのようなことはないのでしたが
   でも……
   括弧は一つでは閉じません
   片方だけでは括れません

   せめて いっとき
   ほんの 数分
   わたしは括られていたかった
   ぜりーびいーんずの色に似た
   水の匂いのするぱーれん≠フなかに

 著者の第7詩集です。紹介した作品は美しい詩ですが、「虹を仰ぐと/うしろの空もふり返りたくなります」というフレーズに違和感を覚えました。「虹」は太陽光の反対側に出現する光の分散ですから、「うしろの空」には決して「そのようなことはないので」す。聡明な著者が知っていながら何故そんなことを書くのか不思議でした。しかしそんな思いは第3連で氷解しましたね。「括弧は一つでは閉じません/片方だけでは括れません」という著者の思いがあったのかと…。
 「水の匂いのするぱーれん≠フなかに」「わたしは括られていたかった」という最終連も佳いフレーズだと思います。詩の持っている本来の美しさを満喫させてくれる作品・詩集だと思いました。



季刊・詩の雑誌『鮫』100号
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2004.12.10
東京都千代田区
鮫の会 発行
500円
 

    くちびるが乾く季節    瓜生幸三郎

   中空にかかる日時計が
   西に傾くと
   風が立ち
   なぜかくちびるが乾いてくる

   無から始まる祝祭のために
   月は思い切り欠けた方がいい
   やがて
   満ちてくる予感にふるえ
   むせび泣く夜のしじま
   匂い立つ花と
   かがり火と
   海鳥の舞
   受胎をめぐる
   晴れやかな寸劇

   いくたび繰り返せば気が済むのか
   カインの末裔よ
   ほとばしり出る血潮が
   赤い雨となって地上に降りそそぐとき
   砂漠の砂は表情を変え
   太陽は
   思いあまって溺死する

   国痩せさらばえて山河なし
   強きを労わり弱きを嬲る
   これぞ神なき時代の国是である
   いずこかの国の統領の言葉に
   むせび泣く貧者の群れ

   神はいまもなお
   惰眠をむさぼっている

 表紙も一新した100号記念号です。創刊以来25年、同人の皆さまの喜びが伝わって来る号です。おめでとうございます。
 紹介した作品は「『鮫』は、自由であること、現実重視の上に詩的主題を組み上げることを大筋で同人間の認識とした」(編集後記・芳賀章内氏)とあるような『鮫』の性格を具現化したものと云えるでしょう。「強きを労わり弱きを嬲る」「神なき時代」を見据え、「神はいまもなお/惰眠をむさぼっている」と厳しく問う秀作だと思います。
 今後も『鮫』のご発展が続きますよう祈念しています。




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