きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
  mongara kawahagi.jpg    
 
 
 
「モンガラ カワハギ」
新井克彦画
 
 

2004.12.25(土)

 夕方から神奈川県秦野市の「アリキアの街」に行ってきました。忘年会をやると云うのです。望年会≠ニ称していましたけどね(^^;

  041225.JPG    写真はスタッフの女性たち。そうか、そう云えばクリスマスだったんだ! 危うくトナカイの角を被せられそうになりましたけど、断りました。私には似合わないハズ(^^;
 集まったのは10人ほど。いいお酒を持って来てくれた人がいたので遠慮なく戴きました。以前から呑みたいと思っていた神奈川地酒の「てるて姫」。イケましたね。神奈川の日本酒は丹沢山系の水、箱根の水があって意外と美味しいんですよ。

 今年から行き始めた「アリキアの街」ですが、佳い処を紹介してもらったと思っています。不思議に落ち着ける場所なんです。お近くの人は是非どうぞ。HPは拙HPからもリンクしていますから場所もお分かりになると思います。
 スタッフの皆さん、来年もよろしく!




個人誌『むくげ通信』25号
    mukuge tsushin 25.JPG    
 
 
 
 
2005.1.1
千葉県香取郡大栄町
飯嶋武太郎氏 発行
非売品
 

     お ば さ ん            キムヨンナン
    アジュンマという言葉は    金永南

   ちょっと重く太っているように聞こえる。
   どんな服を着ても色あいがよく似合い
   スカートに飯粒が付いていても不自然ではない。

   だから若い女性には親しめない言葉だが
   路地裏で子供たちが −アジュンマ!
   と呼ぶと
   親しみ深い顔が振りかえる そんな顔が
   毎日のように 市場 食堂 美容院で忙しく働き
   暗くなればわが家に帰り夕食をつくる。

   だからその顔をみだりに扱ってはいけない。
   いい加減に扱ったら忽ち家を飛び出てしまう。
   出て行ったらいつ爆発するか分からない爆弾になる。
   誘導弾のように飛び回りはしないが
   穏かな顔をしてはいても 一旦爆発したら
   怖しい破壊力を持っている。
   隣の小父さんは 小母さんを
   ドラム缶のように何度も叩いたら
   家が完全に空中分解したことがある。

   わが家でも父が何度も母を殴ったことがある。
   しかしわが家では一度も爆発しなかった
   いくら殴りつけても 母は
   この世のことは何でも吸収できる
   包容力の大きい不発弾であった。
                  「文学と創作」第一〇二号より

 日本語の「おばさん」という言葉にもある種の親しみがありますけど、韓国語の「アジュンマ」はもっと大きく広いのですね。「若い女性には親しめない言葉」というのは日韓共通のようで、これは笑えます。
 「アジュンマ」のすごいのは「どんな服を着ても色あいがよく似合い/スカートに飯粒が付いていても不自然ではない」ということ。これは「おばさん」には真似ができないでしょう。「いつ爆発するか分からない爆弾」は日韓共通ですかね? 「包容力の大きい不発弾」は「わが家」の「母」への愛情が感じられる言葉です。「アジュンマ」を的確に捉えて、作者の眼差しの優しさが表出した佳品だと思いました。



詩誌『光芒』54号
    koubou 54.JPG    
 
 
 
 
2004.12.18
千葉県茂原市
斎藤正敏氏 発行
800円
 

    台風一過    斎藤正敏

   どれもこれも目出度く曲るごまめかな
                角川照子

   宴席で絡まれたことが 尾を引いている
   質の悪い相手だということは分かっている
   それでも何処かで絡まれる自分の資質を恥じている
   鍛えが足らないのだろうか
   いや 鍛えてどうなるものでもない気がする

   台風見舞いの電話を
   関西で僧職にある友人にする
   受話器の向こうから 友人の明るい声が響く
    家は床下浸水でした
    周囲は やたら床上浸水なのに
    不満を言ったら 罰があたりますって

   そうだ そうだこれなんだ
   問題を とことん追い求めるものではなく
   次々と やってくる出来事を
   ゆったりと受け止める力
   追究力より 受容力だ

   生きていく緊張の糸を
   二本か 三本 緩めておくこと
   そうすれば 質の悪い相手も
   何もかもが 目出度い存在に変わるのではないか

   台風一過の
   秋の空

 「台風一過の/秋の空」のような爽やかな作品です。私も「宴席で絡まれたこと」がたまにありますけど、「絡まれる自分の資質を恥じている」とまでは考えませんでした。「質の悪い相手だ」と相手のせいにしていました。そこが作者の真摯なところだろうと思います。「追究力より 受容力」というのは佳い言葉ですね。「生きていく緊張の糸を/二本か 三本 緩めておくこと」も教えられました。「角川照子」の句を冒頭に持ってきた意味がよく理解できました。人生の名言を得た思いの作品です。




   back(12月の部屋へ戻る)

   
home