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「唐辛子」
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2004.11.13 |
自宅裏畑にて |
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2005.1.6(木)
今日から仕事始めです。少しのんびり出来るかなと思いましたけど、とんでもない。会議はまったく無かったのですがEメール・電話・Faxがバンバン入って、定時で帰ることもできませんでした。でも、18時には終ったから良しとしましょう。明日もこの調子だといいんですけどね、長い会議が入ってる…。明後日からの3連休を楽しみに働きます(^^;
○詩誌『饗宴』42号 |
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2005.1.1 |
札幌市中央区 |
林檎屋 発行 |
500円 |
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職探し チャールズ・ブコウスキー(カナダ)
松田寿一訳
フィラデルフィアでのことだった、注文は、
とバーテンが訊く、生ビールを頼むぜ、ジム、
緊張を解こうと思ってな、職探しに行くからよ、
とおれは言う。職だって、
とジムが聞き返す。
そうなんだ、ジム、新聞で見つけたんだ、
経験不問ってやつを、
たまげたな、働きたかはないんだろ、とジムは訊く
もちろんだ、だがな、金が入り用なんだとおれは答える。
で、ビールを空けて
バスに乗る、窓越しに通りの番号を見つめていると
じきに番号が近くなり
その場所あたりに着いていた
バスが止まって
おれは降りる。
そこはでかい建物でブリキ板でできていた
入り口の引き戸はほこりが詰まって動かない
何とか引き開け、中に入ると
床は見えずに、地面がそのまま続いていた
起伏だらけの湿った土がいやな匂いを放っていた
何かが鋸で裁断されて
ドリルをかける音がした、そしてあたりは暗かった
男たちが梁の上を歩いていた
男たちが奥の方へ手押し車を押していた
男たちが機械に向い何かを動かしていた
そのとき火花が散って烈しい音が轟いた
突然炎の詰まったバケットがぐるりと回っておれの頭に
向かってきた、轟音を立て、燃えたぎり、たるんだ鎖に
取り付けられて、おれを目がけて飛んできた
おい、危ねえ!と誰かが叫ぶ
バケットの下に体をかがめると
熱いものがおれの頭上をよぎっていった
何の用だ?と誰かが訊いた
便所をかしてほしんだが?とおれは答える
言われた場所で
用を足して外へ出ると
火焔と音を透いて動く
影絵のような男たちの姿が見えた
おれはドアに向かい、外へ出て、
バスに乗って酒場に戻る、坐ってビールを注文する、
どうだった、とジムが訊く、不採用さ、とおれは答える。
そのとき、娼婦がひとり店に入ってきて坐る、みんなが
女の方を見る、いい女だった、おれは生まれて初めて、
おれがぶら下げているものじゃなく、ヴァギナとクリト
リスを持っていれば、と祈りたいような気分になった。
しかし、二、三日で気を取り直し、おれはまた新聞の募
集広告を読んでいる。
海外詩特集の中の1編です。「チャールズ・ブコウスキー」についての解説もあって、中上哲夫さんが一部を翻訳していると書かれていました。そういえば聞いたことのある名だなと思ったら中上さんが紹介していたんですね。すっかり忘れていました。翻訳された作品も読んでいるはずですが、それも忘れています。上に紹介した作品を通して、こんな感じだったかなと改めて思い出している次第です。
ビート派とは違うようですが、判りやすい作品だと思います。「バスに乗る」「バスが止まって/おれは降りる」、「バスに乗って酒場に戻る」という時間処理が単純ですが効果的と云えましょう。「娼婦」の扱いも巧い。計算したものではなく体臭のように染み出してしまう詩という印象をうけました。原文は知りませんが翻訳の成果だと思います。
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