きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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「唐辛子」
2004.11.13
自宅裏畑にて
 

2005.1.11(火)

 定時後は職場の新年会。例年通り、構内の食堂の2階を借り切って行われましたけど、弊社で一番儲けている部署ですから活発でしたね。数百名が集まってガヤガヤ。私もしっかり呑ませてもらいました。

  050111.JPG    樽酒は「土佐鶴」でした。好きな銘柄ですし、旨かったなあ。枡で5、6杯は呑んだと思います。
 写真は、私の製品を造ってくれている仲間と。二人とも日本酒が好きなので次々と枡を空けました。写真の右に5杯、真ん中に3杯置いてあるのが判ると思います。まあ、よく呑んだ。
 それにしても酔眼と枡はよく似合うなぁ。当り前か(^^;




個人誌『風都市』12号
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2005冬
岡山県倉敷市
瀬崎 祐氏 発行
非売品
 

    胡椒舞い    瀬崎 祐

   盛り場の片隅のラーメン屋のU字型になったカウンターの端に 俺
   は座る。注文を取りに来た女店員に 俺は迷うこともなくラーメン
   を頼む。日が暮れるまでの炎天下を十時間以上も歩き続けて 俺の
   体は塩分と水分を欲しているのだ。塩分と水分、失ったものはそれ
   だけだったろうか。何を求めての彷復だったのか 果たしてこの店
   はその目的地だったのか。あの苦行の後にたどり着いたのがこのラ
   ーメン屋というのでは あまりにもむなしいのではないか。

   右隣には杖をついて入ってきた老人だ。俺を追いかけるようにして
   入ってきたのだが 天津飯を注文したあとは何事もなかったかのよ
   うにそっぽをむいている。その向こうは 俺を待ちかまえていた若
   い学生風の二人連れだ。俺は理不尽な場に立たされている。俺は誰
   にうち明けることもできないいじめに遭っている。逆襲のために
   俺は老人に乗り移る。俺は何に追いかけられているのか 俺はなん
   のために追いかけられているのか。しかし 乗り移った瞬間に老人
   は俺になってしまった。狭い店内には三拍子のワルツが がんがん
   と響いている。幼い日に 区民広場の片隅でテント興業をしていた
   サーカス小屋から流れていた曲だ。

   女店員は黙ってラーメンを置いていった。そのラーメンに 俺は胡
   椒をふる。いつまでも胡椒をふる。すでにラーメンの汁の表面を胡
   椒が一面に覆っている。それでも、まだ胡椒をふりつづける。たし
   かに 俺は故のない非難をあびて苦境に立たされているし 若い愛
   人との別れ話も進めなければならない。だからといって 俺を追い
   かけるような そんな俺になってしまったのか。これだけはわかっ
   て欲しいところなのだが 地図は大切に扱ってきたのだよ。

   お 何者かが俺を迎えにきたのか 背後で店のドアが開いて激しい
   風が店内に吹き込む。まるで店内の誰かを襲うかのように 風は店
   の中で渦を巻く。その風にあおられて 壁に貼られたお品書きがち
   ぎれそうになる。俺が大量にふりかけ続けていた胡椒が 店の中じ
   ゅうに舞いあがる。胡椒のために涙をぼろぼろと流し始めた人々の
   うめき声と叫び声が 店の中に充満する。三拍子のワルツはまだ鳴
   り響いている。十二月の旋風の中で 俺はラーメンを食べ始める。

 各連ごとに面白い表現があって、惹きつけられる作品です。「塩分と水分、失ったものはそれだけだったろうか」「乗り移った瞬間に老人は俺になってしまった」「地図は大切に扱ってきたのだよ」「胡椒のために涙をぼろぼろと流し始めた人々のうめき声と叫び声が 店の中に充満する」などの詩句は、それらだけで1編の作品になりそうです。「三拍子のワルツ」も効果的ですね。タイトルの「胡椒舞い」は作者の造語ですが、これも成功していると云えるでしょう。不思議な魅力に満ちた作品だと思いました。




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