きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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「唐辛子」
2004.11.13
自宅裏畑にて
 

2005.1.14(金)

 恒例の金曜呑み会。山口の「獺祭・3割9分」を2合だけにしておきました。その代り、つまみを多くして…。揚げ物以外は食べないようにしているんですが、今日は中トロ。生ものは怖いから、信用できない店では食べません。この店は2年ほど通って、どうやら信用できそうなので、やっとサシミを注文する気になったのです。
 それからニンニク焼きも。明日は弟と妹に会う予定ですが、身内だから甘えます(^^; 明日のことは気にせず好きな酒を呑んで、食べたいものを食べて…。休日前夜というのはサラリーマンの至福の時間だとつくづく思いますね。



詩誌EOS5号
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2004.12.31
札幌市東区
EOS編集室・安英 晶氏 発行
500円
 

    くせもの    高橋渉二

         アンリ・ミショー「意志の力」パロディー

                     
バッカス
    わかいころから わたしはなによりも酒の神を崇拝していた
   たかい山の神よりもたかく ふところのふかい海の神よりもふかく
   ところが 崇めれば崇めるほどおそろしい病魔に侵されていたのだ
   燃える水の洗礼を受けて満身重い酒檜になってしまったという病気

    やがて耳順だというのに病気はあいかわらずもとのままだった
   わたしは水瓶座だからだ 女にはもてるが無口な水の孤独を持つ
   この星座のもとで生まれたガリレオに似て頑固 水の鋼鉄を張る
   狂信的で耳のわるいわたしには不吉な機能障害が予想されていた

    姿が見えない正体が見えない魔風身体を占領下にして

    ワジワジワジと鳴きわめくクマ蝉が集団で自決する夏のある日
   わたしは衝動的にわたしを病気にした酒の神を再創造しはじめた
   わたしはわたしたちの最初の罪ふかい精神のであいのはじめから
   わたしたちの手話の最も幸せにぬれたひと時で酒の神をつくった

    そして水瓶座の特徴であるあふれるほどの熱情の発音器によって
   わたしは神を肉体のまじわりがおこなわれる寸前にまでつれてきた
   そしてそうしてそこで まさしく至福の合体にきわまる約三秒前に
   わたしは酒の神をわたしのゴムサンダルで完膚なきまでひっぱたき
   ベッドから叩きだし 外へ放りだし 仕返しをしたのだった

    バイバイ バイバイ 失神バッカス バイバイ

    だが歴史上の真実には再現されるという自然な蛍光があるように
   世の神は闇に点滅する逢引を求めてやってきた熟成した女に化けて
   わたしは抑え難い欲情に駆られてとうとう合体をしてしまったのだ
   翌朝 ぬけ殻となったわたしのなかから神はでてゆく 病を残して

    その気になった神はなりふりかまわぬ女になってまたやってきた
   ぬき足さし足密会を重ねたい一心の足は火の粉の菌を運んでちらす
   わたしに放火して燃える水の炎熱の苦しみで焼きつくそうとする
   その手はくわぬ 元ボクサーだったわたしのパンチをくらう神よ

    どうだ ざまあみろ 好色バッカス 黴菌バッカス

    族長ヤコブはヤボクの渡しで一晩神と格闘して勝ったというが
   わたしはわかいころから酒の神と闘いつづけてもう四十年になる
   わたしに言い寄っては侮辱され追いだされる女のふりをした黴菌
   うんざりしてもうこないだろう やがてわたしは回復するだろう

    だが歴史上の不実には再発するという自然な傾向があるように
   また現れる酒の神は呪う神でありねたむ神でありわたしと寝たがる
   発酵した女だがしっこい女だからわたしの病気はもとのままだった
   いやあまったくとんでもないことをしたものだ 再創造だ などと

    ユーターンバッカス 復活バッカス 吹き返し

    ある日ドアをあけるともち肌のいい女がベッドの上で待っていた
   どこからどうやって侵入したのか それこそ神のみぞ知る 神だが
   わたしをわたしたちのであいの初めに縒りを戻そうとしてさし招く
   「いらっしゃい いらっしゃい」と

 要するに酒がやめられない≠ニいうことを言っているだけだと思うのですが、身につまされます(^^; ただし私の場合は「酒の神を崇拝」するのみで、「酒の神と闘いつづけ」るなんてことは一度もありませんでしたが…。作者も結局は「であいの初めに縒りを戻そうとして」いるようで、同慶の至りです。

 それにしても酒と詩は昔から一緒に「寝たがる」ものですが、そこを巧く格調高く描いていると思います。作品の基となっている「
アンリ・ミショー『意志の力』」を画集から探してみたのですけど、残念ながら私の蔵書にはありませんでした。以前、観た覚えがありますから絵を思い出しながら拝読しましたが、ミショーの絵を思い描かなくても通用する作品だと思います。どこかの酒場に掲示しておきたい作品ですね。



詩誌『銀猫』13号
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2004.12.25
群馬県前橋市
飯島 章氏 発行
200円
 

    万華鏡の夢    中里諒子 ryoko nakazato

   鋭利な光が形を砕き
   やわらかいシルクの光がそれを包む
   くりかえされる光の饗宴

   まぶしさに瞳をとじる
   不意に
   内からの熱を意識する
   光をあびた躰は闇の中

   交わることなく浮遊する

 第1連は巧いけど、まあ、詩人ならこのくらいは表現できるだろうな、と思ったのが正直なところです。しかし2連目はびっくりしましたね。「内からの熱」と「闇の中」の対比が見事だと思います。「光の饗宴」から「躰」へと移行するのは難しい転換だと思いますが、それを見事にやってのけています。最終連のただ1行というのも佳いですね。しかもそれらが「交わることなく浮遊する」。小品ですが身体感覚を言語に昇華させた佳品だと思いました。




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