きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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この花、なに?
2005.1.11
自宅裏畑にて
 

2005.2.5(土)

 まったく、忙しい日でした。土曜日なんですが、年に数度ある出勤日。当然、休暇にしました。でも、会社から呼び出されて、いつも通り出勤。担当する測定器が不調だというので、それを直して、製品に問題があるというので、その判断をして、結局12時半まで仕事をしてしまいました。今日は神楽坂で日本詩人クラブの現代詩研究会が予定されていましたけど、14時の開催には間に合わないので欠席しようかとも考えました。その旨を担当の川中子さんに電話すると、相談したいこともあるので来てくれとのこと。昼メシも食わないで会社を飛び出しました。

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 研究会は盛会でしたね。20名近くの人が集まっていました。作品も良かった。思わず褒めてしまったのが3編ほどありました。特に青木ミドリさんという方の「表面張力」、堀井裕子さんの「ジ ゴ ロ のごとく・・」が佳品でした。研究会講師の北畑光男さんのところで勉強している方たちのようです。無理をして出席した甲斐があったというものです。それにしても、日本の詩人の拡がりというものは捨てたものではないなと思います。知らないところで佳い詩を書いている人がたくさん居る!

 懇親会も楽しかったけど、途中で抜け出しました。今日はもうひとつの楽しみがあって、四谷コタンに向かいました。奥野祐子さんのライヴがあったのです。いつもは19時の開始に間に合うように行って、トリの奥野さんの前に唄う人たち3〜4人の曲も全部聴くんですが、さすがにそれは無理でしたね。奥野さんに「珍しく遅い」と言われてしまいました。

     備忘録で、唄った曲を載せておきます。
1.きみのともだち
2.ポテトチップス
3.ゆめみるように
4.空がおちてくる
5.freeze
6.なみだの唄
7.ふたりですごす夜
8.スナップショット
9.smile
 今日は「ポテトチップス」が意外に良かったなと思います。聴き慣れてきたからかもしれません。大好きな「smile」も勿論Good! 風邪気味とのことでしたが、ハスキーな声がより磨きをかけられたように聴こえたから不思議です。

 結局、帰宅したのは0時過ぎ。忙しかったけど、仕事はうまくいったし、好い作品に出逢えたし、佳い唄も聴けました。充実した一日でしたね。



隔月刊詩誌ONL77号
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2005.1.30
高知県中村市
山本 衞氏 発行
350円
 

    人魚になりかけている若者    柳原省三

   晩秋の夜の磯海へ
   若者は潜る
   飲んべえの親父に
   うまいサザエを食わせてやると

   たった一人で夜の海を
   怖くはないかとおれは聞く
   水死体が沈んでいたり
   亡霊になって漂っていたり

   人間の想像力は
   どんどん恐怖を増大させる
   暗い海の底へ
   小さな防水ライトを頼りに
   一人で潜って
   怖くはないかとおれは聞く

   生きていたくないから
   怖くはないよと若者は
   ふざけて答え笑っている

   おれもやっぱり若いころ
   生きていくのが切なくて
   死にたいと思ったことはある
   誰にでも経験があるものだ

   けれども夜の林の奥に
   一人で分け入ると怖かった
   まして夜の海なんて……

   人の海にいる方が
   ずっと怖いと若者はいう

 最終連がよく効いていると思います。意外と遣われている言葉なんですが、対比が「夜の海」ですから、そこに新鮮味を感じます。「若者」と「おれ」の「生きていたくないから」という共通認識も巧く作用していますね。「飲んべえの親父に/うまいサザエを食わせてやる」という優しさを持った若者でも、一度は「生きていたくない」と思う人間の性を考えさせる作品だと思いました。



詩誌『スポリア』16号
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2005.1.30
愛知県知多郡武豊町
スポリアの会・坂口優子氏 発行
非売品
 

    挽歌    坂口優子

   空から
   微かな音が
   私の中に墜ちてくる

   それは
   雪のように
   融けてはくれず
   長い年月をかけて
   ふりつもっていた

   もしその音が
   星の燃え尽きる
   最後の叫び声だとしたら
   ふりつもったものは
   死の哀しみ

   その哀しみは ときには
   やさしくもあり
   なつかしくもあり
   この世を去っていった
   あのひとたちを
   思い出させてくれるもの

   幻の時のなか
   葬ったはずの古い歌が
   突然 聞こえてくるような
   鈍色の風景のなかに
   溺れてしまいたい

   拒んでも拒みきれない
   生の重さと
   ふりつもった
   哀しい孤独

   ふたつの均衡が崩れたとき
   手から放れるのはどちら?
   神の不在はどちら?

 美しい詩だと思います。人間の根源的な「哀しみ」を感じます。その哀しみを「音」として捉えているところに新鮮味があると思います。最終連の「神の不在はどちら?」は生と死に対して謂っていると思いますが、この視点も新しいですね。美しさの中に今までとは違う視点を見せてくれた佳品と云えましょう。




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