きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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桜(春めき)
2005.3.25
神奈川県南足柄市・春木径にて
 

2005.4.26(火)

 先週、木曜・金曜と出張しましたので、昨日から出張報告を書くのにフーフーしています。1日分をたかだかA4一枚に書くだけなんですが、事実関係をきちんと書こうと思うと意外と時間が掛かるもんなんです。2時間の会議をまとめるのに半日掛ります。でも、ま、そんなもんだと思いますね。5分のスピーチのために3日も4日も書くなんてことはザラにありますから。表現されることは氷山の一角、とでも言うんでしょうか、それが判っているヤツと判らん奴の差は大きい、、、、なんて大きなことは言えませんけどね(^^;




個人詩誌COAL SACK51号
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2005.4.25
千葉県柏市
コールサック社・鈴木比佐雄氏 発行
500円
 

 [詩]
 落 日・それから        大崎二郎  2   日の庭/引っ越し/酒場「八重」本多 寿 38
 昔日懐古録           浜田知章  4   夕暮れ/恋慕         岩下 夏 40
 陽に向かって          大掛史子  5   青対音            吉沢孝史 42
 風に寄せて           崔 龍源  6   黒衣の女          武藤ゆかり 43
 座敷犬             趙 南哲  7   
Nobody/鳥の形        尾内達也 44
 横になる(カロ ヌッピダ)がいい 李 美子  8   
 紺碧            柳生じゅん子  9   [翻訳詩]
 サスペンス           佐相憲一 10   人は永遠ならず ヴァレリー・アファナシエフ
 暗視スコープ          山本聖子 11                  尾内達也 45
 その話             松尾静明 12   棺              鳴海英吉
 コンポジション         崎村久邦 13                水崎野里子訳 46
 月の光          たかぎたかよし 14   [葛原りょう・小詩集十三篇]       48
 目刺しとビルの谷間の月     小島禄琅 15   [連載翻訳詩]
 エンジェルガーデン       淺山泰美 16    リトルボーイ          高炯烈 56
 天使は二十二歳に        岡崎 葉 17                  韓成禮訳
 サクラという町         石川敬大 18
 散歩             真田かずこ 19   [エッセイ、詩論]
 ほりぬき            山本泰生 20   乙姫様の声          淺山泰美 62
 視線             宮田登美子 21   瑞々しい人生の機微と批評眼の鋭さ
 空の群             溝口 章 22   玉川佑香詩集評        大掛史子 64
 松              星野由美子 23   木島始編・野村修訳『ブレヒト詩集』書評
 擦れ合い           海埜今日子 24                 水崎野里子 67
 壱己録に残らなかったりする 辻元よしふみ 25   [批評]
 祈り              青柳晶子 26   『春と修羅』の誕生(2)    鈴木比佐雄 70
 小さな誓い           下村和子 27
 同行二人           岡田恵美子 28
 <子どものためのおばさんの詩>           [韓国・釜山特集]      鈴木比佐雄 76
  クローバー         水崎野里子 29   追悼詩「黒ダイヤを燃やす原故郷の人」
 鳥たちは見た          加藤 礁 30   エッセイ「星畑の釜山から」
 骨牌              倉田良成 32   釜山・詩六篇
 私的災い考・変る景色      山本倫子 34   エッセイ「走れモーツァルト」


    その話    松尾静明

   丘の上のポプラの樹が監視塔のように見える
   ぼくの残り時間の

   空の一角に澄みすぎているところがあって
   あそこが
   出口のようにも
   入口のようにも見える

   誰か
   もう その話をしてくれ
   こんなにも何人もの者が ぼくをのぞき込んで
   すでに何も聴こえなくなってきたぼくの耳の傍らで
   ぼくの過去を誇らしげに言い合ってくれているのに
   誰も その話をしたがらない
   ぼくが 殺す こともできる言葉と
   ぼくが 殺される こともできる言葉は
   一つの言葉なのだ と
   誰か
   もう その話をしてくれ

 「その話」というのは二つあって、ひとつは「ぼくの残り時間」、もうひとつは「一つの言葉」だろうと思います。あるいは前者は含まれないかもしれません。含まれたとしても前者は判りやすいのですが、後者は難しいですね。後者を「ぼくの残り時間」と採ることもできますが、それだけではないだろうと思います。やはり「一つの言葉」はそれだけで独立させた方がよいでしょう。と、すると「一つの言葉」って何でしょう?
 それは読者に任されているのかもしれません。「ぼくが 殺す こともできる言葉と/ぼくが 殺される こともできる言葉」を私なら何を上げようかな。「ぼくの残り時間」と関連させれば死≠ナすが、俗には愛≠熄繧ーられましょう。でも、ちょっと違いますね。もう2日も考えているんですけど、結論が出ません。もうしばらく考えてみます。



詩誌『展』63号
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2004.11
東京都杉並区
菊池敏子氏 発行
非売品
 

   菊地貞三:盛夏感傷 1
   土井のりか:秋 2
   名木田恵子:フィフテイ/神話につながる小川 3
   山田隆昭:ろっこん 4
   佐野千穂子:川の名 5
   菊池敏子:ガガーリン少佐になりたかった 6
   五十嵐順子:槍ヶ岳に登る(短歌) 7
   河野明子:水かけ不動 8
   名木田恵子:神話につながる小川(エッセイ) 9
   あとがき 10


    水かけ不動    河野明子

   法善寺横丁の
   細い路地の突き当りに
   小さな空間があり
   そこに水かけ不動はあった

   くる日もくる日も
   水をかけられ続け
   目も鼻も口も
   すっかり苔に覆われてしまった

   一方的に水をかけられ続けて
   それでも不動明王は むしろ
   喜んでいるのかもしれない
   参拝の人々があとを絶たないということに

   戦後 日本の建築の多くは
   湿式工法から乾式工法に変り
   壁土や漆喰が消えていった
   社会全体が湿気を失い
   人々のこころも乾き始めている

   忿怒の相を苔の下に隠して
   不動明王は 今日も水をかけられている
   それによって少しでも
   人々のこころが潤うならば――と

 大阪「法善寺横丁の」「水かけ不動」には、私も何度か行ったことがありますが、まさか「日本の建築」まで話が及ぶとは思いもしませんでした。この展開は見事です。そして「壁土や漆喰が消えていっ」て「社会全体が湿気を失」ったから「人々のこころも乾き始めている」と結びつけるところは佳いですね。私事で恐縮ですが、私の自宅は十数年前に新築して、室内は杉板と「漆喰」です。ですから「こころも乾き始めている」というのは私の場合、当っていませんけど(^^;
 「参拝の人々があとを絶たない」「不動明王」にまた逢って、「こころが潤う」ようにしたいものです。



詩誌『展』64号
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2003.3
東京都杉並区
菊池敏子氏 発行
非売品
 

   佐野千穂子:ゆきのよの虹 1
   山田隆昭:夜に交ざる日 2
   菊池敏子:初夏の鬼婆 3
   名木田恵子:二十才
(はたち) 4
   五十嵐順子:癒す 5
   土井のりか:架空の人 6
   河野明子:二冊の詩集に寄せて(書評) 7
   五十嵐順子:比較運転免許証取得事情(エッセイ) 9
   あとがき 10


    夜に交ざる日    山田隆昭

   雨が降れば街はやわらかく膨らむ 月光の名
   残が水溜りに落ちている ひと足ごとに踏み
   砕かれる光の切れ端が空中に紛れてゆく そ
   うして歩きまわるぼくらの夜のために 生垣
   の奥で眠りこけるふりをする善人たち 夢の
   入口に張られた幔幕の前に 血走った眼球が
   群れている どこかで 折れる 闇の芯の妙
   なる音に誘われて どうしても西の方角に差
   し出してしまう腕 なぜなら 体をすっぽり
   と収めてしまう窪みが待っているから

   等身大にくり抜かれた闇が寄りそってついて
   くる 影? とうに脱いで桃の枝に掛けてき
   た もう春は始まっていた 足許から立ち昇
   る光 ぽっと灯る明かりは漆黒の光沢を想わ
   せた 鼻に雨粒が侵入してくる そのたびに
   肺の中では菌類が育ち増殖してゆく かすか
   なラッセル音は心地よい かすかなうちは
   だが成長しすぎた菌類は束になって鼻と耳か
   らはみ出している 毛穴から生えているのも
   体毛ではない 延び続けて電柱に絡み垣根に
   巻きつき ぼくらは黒い二つの塊となって身
   動きできない

   夜の一部となってしまったのに眠れない 生
   垣の奥から寝息が聞こえてくる 夜そのもの
   は眠らない と気づくのが遅すぎた

 最終連が見事だと思います。「夜の一部となってしまったのに眠れない」というフレーズは、その前の2連を受けて上手いですし、「夜に交ざる日」というタイトルの具現化でしょう。それより「夜そのものは眠らない」という詩句が佳い。長く残る名句になるかもしれませんね。 「影? とうに脱いで桃の枝に掛けてきた」も佳いけど、やっぱり「夜そのものは眠らない」ですね。「と気づくのが遅すぎた」けど(^^;



会報文芸西さがみ31号
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2005.4
神奈川県小田原市
西さがみ文芸愛好会 発行
非売品
 

 昨年入会した、地元の文芸愛好会会報です。本年度の予定が載っていましたので転載します。イベントが近づいたら拙HPでも宣伝しますから、小田原にお近い方は是非おいでください。もちろん遠くの方でも大歓迎です(^^;

  2005年8月   文芸を楽しむ会
  2005年10月   文芸の集い(神静民報社共催)
  2006年1月中旬 第10回西さがみ文芸展覧会 於・小田原「アオキ画廊」




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