きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2005.5.7
「榛名まほろば」にて
 

2005.5.17(火)

 今日は少し技術屋らしい仕事をしました。クレームではありませんが、苦情品として市場から回収した製品の分析です。写真を撮って解体して、光学顕微鏡で細部を観察しました。電子顕微鏡を使うほどのレベルではありませんでしたが、それでもウキウキしましたね。原因は私の思ったとおりトラブルではなく、製品の寿命でした。写真付きのA3版1枚の報告書を書いてオシマイ。スッキリした気分で退社しました。いつもこうだといいなぁ。




村尾イミ子氏詩集『海に咲く薔薇』
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2005.6.15
東京都新宿区
文芸社刊
1200円+税
 

  <目次>
                    T
               ニライカナイ 8
                   漂着 12
              うりずんの空に 15
                 蝶の伝言 18
             釣り――海辺にて 20
            さくら――海辺にて 23
               サニツの日に 26
                    星 29
                   御嶽 32
                   家族 35
             八重干瀬(やびじ) 37
             パーントゥが出た 40
                大じゃこ貝 43
                   初日 46
               青いパパイヤ 49
               さとうきび畑 52
            トライアスロン大会 55
                   流星 59
                本当の名前 62
              サラサバテイラ 65

                    U
         海に咲く薔薇――石垣島で 70
          満月の夜に――池間島で 73
            ハブ――渡嘉敷島で 76
            祈り――与那国島で 79
            桑の実――大神島で 82
         ニイルピトゥ――新城島で 85
            水汲み――来間島で 89
            太陽石――久米島で 92
           星砂の浜――竹富島で 95
          ヤツガシラ――池間島で 98
             礎――沖絶本島で 101
       鉄棒――水納島(みんなじま)で 104
   さがり花――西表島(いりおもてじま)で 107

                    V
                    手 112
                カノープス 115
                 泡盛の甕 118
              わたしの青い鳥 121
                 島が沈む 124
                   夕陽 127
                ゆうなの浜 129
    届かなかったポストカプセル二〇〇一 132
                  アーサ 135
                さとうきび 137
                程よい距離 140
                やぶ椿の花 143
                  三回忌 147
                 宮古空港 148



    海に咲く薔薇
           ――石垣島


   薔薇が咲いている
   南の島の海のなか
   大輪の薔薇珊瑚の群落

   海人
(うみんちゅ)のおじさんの小さな漁船(さばに)から
   海中に放り出され
   シュノーケルをつけて潜る

   水面下に美しい世界が展け
   あっと息をのむ
   百年の あるいは千年の
   自然が作り出した銀鼠いろの見事な薔薇

   足がやっと届くところもあるが
   立ってはダメと海人がいう
   花びらに傷がついてしまうから
   白保の海を護ってきた海人の言葉には
   重みがある
   わたしは魚になって花びらの間を泳ぐ
   しなやかに鱗を翻して

   蝶々魚
(ちょうちょううお)やクマノミが
   花びらの間を出入りしている

   陽が射すと薔薇は光り
   波がくると微笑む
   花が吐く白い泡
   薔薇は生きているのだ

   わたしの憩いに咲く薔薇よ
   南の海に思いは戻り
   薔薇の花に抱かれる
   生まれる前の母の海

       *石垣島は東京から南西に二一二八キロメートル。八重山諸島の中心の島。
        沖縄本島、西表島についで大きく、海の碧さとサンゴが美しい。

 作品「届かなかったポストカプセル二〇〇一」他で判ることですが、著者のご主人は「離島といわれる宮古島に赴任して八年/ハンセソ病療養所や/施設のお年寄りの医療に/生き生きと勤しんでいた夫」(「届かなかったポストカプセル二〇〇一」第4連)だったそうですが、2001年に亡くなったようです。この詩集は亡き夫君への鎮魂詩集で、上記のカバー写真も夫君が撮ったものです。
 紹介した作品は詩集のタイトルポエムです。ご主人亡きあとは東京に戻っており、当時を思い出しての作品ですが、「わたしの憩いに咲く薔薇」が情感豊かに描かれていると思います。ご主人のご冥福をお祈りいたします。



詩誌『コウホネ』17号
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2005.5.20
栃木県宇都宮市
コウホネの会・高田太郎氏 発行
500円
 

  <目次>
   作品
    名残りの梅       相馬 梅子…2
    金瘡小草        星野由美子…4
    拘り          片股 喜陽…14
    天界の声        高田 太郎…18

   エッセイ
    ギヤマン        星野由美子…6
    古書への想い      相馬 梅子…8
    青春の一こま      小林 信子…10
    ミャンマー巡拝記    高田 太郎…11

   連載 私の一冊一誌
    高橋昭行詩集『禁猟区』 高田 太郎…16
   話の屑籠         高田 太郎…20
   同人住所録 後記          …表3



    拘り    片股喜陽

   広島生れのカルビーの父は
   瀬戸内のえびの美味しさに
   出会う歓びを拡げることを願い
   眠る時間を惜しんで
   独り早朝の工場に立ち
   えびと小麦粉に思いを込めて
   向い合っていた
   生涯を品質に拘った厳しい
   目と指と舌で感触と味を
   確かめうなずきを繰返していた

   開発の炎を燃やし続け
   息子達へ心を繋ぐ乾杯をして
   四日を過ごした
   二〇〇四年十月二十八日の朝
   人を包み込む笑顔を留め
   秋陽の照るなかを九十一歳で永眠
(ねむ)った
   一年を経た命日に
   現役の想いを連れて
   OBの同志
(とも)宇都宮へ集った

   父は
   今も何処かで
   瀬戸内のえびと向い合っているだろう。

         ※ 現在の製造の本陣は宇都宮市清原工業団地にある

 私が製造部の品質保証課に在籍しているせいか「生涯を品質に拘った厳しい/目と指と舌で感触と味を/確かめうなずきを繰返していた」というフレーズに反応した作品です。あの有名な「カルビー」は、やはり品質本位だったのですね。「息子達へ心を繋ぐ乾杯をして」「人を包み込む笑顔を留め」「九十一歳で永眠った」というのも、創業者の志の高さが感じられて佳いフレーズだと思います。「拘り」というタイトルが「カルビーの父」の人間性を見事に表現した作品だと思いました。




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