きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2005.5.7
「榛名まほろば」にて
 

2005.5.30(月)

 小雨降る中、排水事故訓練を行いました。6月1日から鮎釣りが解禁されて、酒匂川の支流・狩川が工場の側を流れています。毎年この時期に合せて排水事故訓練を行いますが、私の職場は独自にはやっていませんでした。私が異動した2年前からやるようになり、その担当者も私が命ぜられています。

 そんなわけで今回が2回目の訓練になりますけど、まだまだですね。1回目はまあしょうがない、問題点抽出だと思ってやって、今回はその成果が出るかと思ったら、成果は成果で良かったけど、新たな課題が出てきました。2回目だから細かいところまで目が行くようになった、とも解釈できますけど……。まあ、そういう課題を抽出するための訓練だと言えばその通りです。さっそく出てきた課題の解決策を考えます。




詩誌『路』14号
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2005.6.1
東京都小平市
石渡あおい氏方・路の会 発行
500円
 

  <目次>
   詩
   引佐細江          鈴木  亨 4
   青いマフラー        牧野 淑子 6
   明日は立春         小林 憲子 8
   いちにち          伊藤 順子 10
   この夜           辰巳 信子 12
   さくらの頃         小倉 和代 14
   桜 花びら咲くころは    市川紀久子 16
   車窓            小島 仁美 18
   シャンソン         石渡あおい 20
   その日           石井真智子 22
   たより           鈴木千枝子 24
   夏の日           芳田 玲好 26
   母と子           本間 雪衣 28
   ひざしの中で        植木百合子 30
   冬物語           森田 勝世 32
   メグスリの木        根本 資子 34
   燃える           市村 博子 36

   随想
   東風            伊藤 順子 38
   兄             牧野 淑子
   裏腹な心          石井真智子 39
   暗闇の住人         小島 仁美
   来る春に          辰巳 信子 40
   詩を作るということ     小倉 和代
   軸             本間 雪衣 41
   十一歳           市村 博子
   白足袋           根本 資子 42
   戦火を共に、くぐりぬけた猫 市川紀久子
   歳の差           森田 勝世 43
   日本語をうたう       小林 憲子
   母の友だち         鈴木千枝子 44
   便・不便          植木百合子
   呼び止められて       芳田 玲好 45
   ロボット新時代       石渡あおい
   <編集後記>



    シャンソン    石渡あおい

   音楽会の帰り道
   屋敷森の裏をぬけると
   闇の中に残る
   枯葉をたくにおい

   月の光で影ふみをした
   幼いころ たき火の
   炎を飛び越えようとして
   髪をこがしたことがあった

   そのときと同じ
   すこし苦いにおい
   影をたくにおい

   わたしに積もる
   思い出と後悔
   アンコールで歌われた
   「枯葉」の一節のように

 「枯葉をたくにおい」が効果的な作品だと思います。その匂いが時空を越えていて、詩として成立しています。匂い・臭いの詩というものは意外に少ないのではないでしょうか。「影をたくにおい」という詩句も佳いですね。「枯葉」でタイトルの「シャンソン」と結びつきましたけど、これはやはり「シャンソン」でなければダメでしょう。クラシックでもポップスでもダメ。実生活に少し寄り添った「シャンソン」だからこそ読者へのイメージもすんなりと入るのだと思います。詩で表現しなければいけないものを表現した、そんなふうに感じた作品です。




随筆誌『月刊ずいひつ』378号
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2005.6.1
東京都中央区
日本随筆家協会 発行
720円
 

  <目次>
   ずいひつ
    試験の監督員 ………………………菅野 正人………6
    ふる巣 ………………………………角  千鶴………8
    春の妖精たち ………………………神尾 久義………10
    温室育ち ……………………………渋沢 秀雄………12
    結婚式 ………………………………浪越徳治郎………16
    日野原先生から学ぶ ………………福谷美那子………20
    趣 味 ………………………………柏木 亜希………22

   受賞作家特集
    半眼の裁き …………………………西村 虎治………24
    少子化と少年非行 …………………菊池 興安………26
    「でもしか栄養士」の誕生 ………海老原英子………28
    車が通る ……………………………菊池 きみ………32
    駄作でも書くことにしました ……葦乃原光晴………34
    聖 域 ………………………………平野 芳子………36
    新聞配達 ……………………………羽田 竹美………38
    平成十六年 …………………………豊丘 時竹………40

    Eさん ………………………………高橋 弘子………58
    飛べない飛行機 ……………………花島 寿郎………70
    出雲街道・新庄宿 …………………難波 明子………72
    筝(こと) …………………………背山 悦子………74

   特別エッセイ
    ふたりの旅 …………………………河村  透………62
    『愛のかたち』を読んで(7) ………柏木 亜希………66
    フオートナム&メイスンのお店 …竹本 秀子………68

   珠玉ずいひつ
    箱根徒然草 …………………………中原茶津菜………42
    三味線の音 …………………………竹田 朋子………44
    交通事故 ……………………………石井 良武………45
    金は天下の回りもの ………………加藤みると………47
    女房の入院 …………………………酒井 治信………48
    死はすべてを平等に ………………佐々木悟郎………50
    熊 ……………………………………須藤  正………52
    襟足を染めて ………………………玉沢 正春………54
    春 霖 ………………………………小形れい子………56

   連載小説
    感傷旅行(十四)……………………神尾 久義………78

   私の書評 『絆』を読む 大津七郎……64
   詩 『純真』 月下千穂……51
   読者と編集者のページ……82



 この本は書店でも見かけますし、気にはなっていたのですが手にとる機会もなく、今回初めて拝見しました。最近、私が入会させていただいた「西さがみ文芸愛好会」の菅野正人氏より頂戴しました。当り前ですけど、随筆ばっかり(^^; 400字詰原稿用紙5枚ほどの作品が多いので、肩肘張らずに気楽に読めますけど、洞察力のある作品が多いのはさすがです。
 菅野氏は目次でご覧のように巻頭を飾っています。「理容・美容師国家試験」の「監督員」をなさった経験を書いていまので、核心となる部分を紹介してみます。

    補助担当員が、受験者確認のため、写真照合をはじめた。
    一巡したあと、担当員は私を教室の隅に呼んだ。
   「この写真、本人と少しちがうような気がするんですが?
   どうでしょう」
    笑い顔の写真は女性で、ややピンぼけに写っている。髪型
   も少しちがっているようだ。しかし本人はいま、頭を抱えて
   問題と向き合っている。私は担当員をなだめるように、
   「しばらくすると、ふっくらとした写真顔にもどりますよ」
   と言った。すると彼女は、納得したようにうなずいた。

 この後、受験生が本人であったかどうかは書かれていませんが、言わずもがな、というところですね。こういうことをサラリと描いてしまうのが随筆家の随筆家たるところなのでしょうか。散文的と言ってしまえばもちろん散文的なのですけど、詩でこれが書けるかぁ?と思わずつぶやいてしまいました。
 号数は通巻で紹介してしまいましたが6月号です。書店でお求めになって、随筆の凄さを味わってみてはいかがでしょうか。




隔月刊誌『原詩人通信』120号(追悼・終刊号)
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2005.6
東京都多摩市
江原茂雄氏 発行
非売品
 

  <目次>
   原風景としての『下丸子』とともに ――井之川巨へ 浅田石二 1
   原詩人の皆様へ 井之川けい子 1
   井之川巨さんを偲んで 萩ルイ子 2
   井之川さんと「原詩人」の思い出 乱鬼龍 2

   詩のページ
    その胸に今も命が燃えている 墨薇 3
    反文明 江原茂雄 3
    井之川岳 山田塊也 3
    井之川巨へ 長谷川修児 3
    「二項」滅びて戦争立ちぬ 小林忠明 4
    落ちそうな空 まつうら まさお 6

   読者の声 5
   井之川さんを偲ぶ会 6
   事務局より 6



    ●井之川岳    山田塊也

   そこには私と同じ名の山があるのです
   東京の原詩人から手紙をもらったのは
   わたしたちが奄美の徳之島に住みつき
   核再処理工場計画に反対するため
   キビ刈り援農をやっていた頃だ

   できれば私も援農団に加わりたい
   戦中派の原詩人の熱い激励を受けて
   わたしたちが予防闘争をしているうちに
   悪魔の計画は下北半島に決まり
   井之川岳には何事もなかった

   君は反戦詩を知っているか?
   反戦の原詩人は詩魂となって世を去り
   わたしは旅を終えて 孤りたたずむ
   プルトニウム原爆工場の完成もまぢか
   井之川岳は深く悲しむ

 3月に亡くなった主宰・井之川巨氏の追悼号で、かつ終刊号です。2003年6月に102号をいただいて初めて本誌を知るようになり、2年足らずのうちに終刊となってしまい、残念です。なぜ井之川氏が私などにも本誌を送ってくれるようになったのか不明ですし、いずれお会いできるものと思っていただけに、少なからぬ衝撃が今でも残っています。

 そんな薄い関係の私が感慨を述べるより、ここは井之川氏と強いつながりがあったと思われる山田塊也氏の作品を紹介しましょう。「奄美の徳之島」に「井之川岳」があるかどうかは手持ちの小さな地図では確認できませんでしたし、「核再処理工場計画」があったことさえも知らず、不明を恥じるばかりです。しかし「同じ名の山」の麓に「悪魔の計画」があったとすると、憤りは人一倍だったろうと想像できます。「反戦の原詩人は詩魂となって世を去」っことを、「井之川岳は深く悲しむ」という最終連とともに表出させた作品だと思います。




『かわさき詩人会議通信』35号
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2005.6.1
 
 

  <目次>
   小説「誰がために鐘は鳴る」はヘミングウェイが詩からの題名 河津みのる
   詩 春眠 丸山緑子
     涙  さがの真紀
     虹  枕木一平
     「メーデーには躑躅
(つつじ)が良く似合う」 斉藤 薫
     事実 寺尾知紗
     JR運転士・享年23歳 ――福知山線の脱線事故―― 小杉知也
     老犬チャーよ 岩田幸枝
     眠れぬ夜に 山口洋子
     上半期 さわこよし



    春眠    丸山緑子

   今夜もばあさんは
   枕元の座布団の上に
   今日一日着ていた洋服を
   きっちりとたたんで置く

   いつものように
   天井をしっかり見て
   両手を胸の上に組み合わせ
   足は出来る限りまっすぐ伸ばし
   棺桶の中の姿を整える

   このまま
   朝に死んでいても
   誰に見られても恥ずかしくないようにと

   じいさんが死んで六年
   いままで生きてきて
   楽しかった事ばかり思いながら眠る
   だってじいさんが言ってくれたんです
   「笑顔に惚れたんだよ」って

   朝日がカーテンを明るくしはじめる

   ばあさんは
   両手を握って
   両足はマルになって
   今にも笑いだしそうな顔をして
   眠っている

   庭ではヒヨドリが
   大きな声で囀りはじめた

 「春眠」というタイトルが「ばあさん」の人柄までを比喩しているようで、何とも微笑ましい作品です。本当は「棺桶の中の姿を整える」という怖い詩なんですけど、その覚悟は「楽しかった事ばかり思いながら眠る」「今にも笑いだしそうな顔をして/眠っている」というフレーズで潔い方向へ転換されていると思います。最終連はひとまず眠りから覚めて起き出すことを暗示していますが、でも「このまま/朝に死んでいても」という覚悟は必要なんでしょうね。有限の生を上手く捉えた作品だと思いました。




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