きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.6.5 | ||||
「宇都宮美術館」にて | ||||
2005.6.18(土)
招待されて、夕方から小田原の超高級料亭「澤亭」に行ってきました。伊勢原・平塚地方の同人誌の重鎮が一部上場企業の役員です。その方が近々詩集を出版されることになって、依頼されて私が解説を書きました。そのお礼という形です。詩人同士ですからね、普段は酒の一本でもいただければ原稿料は無し、というのが相場ですけど、相手は一流企業の重役、料亭に招待されるぐらいは甘えてもいいかな、という判断です。
待ち合わせは開店の18時。早めに着きましたので小田原駅の写真を撮って遊んでいました。この店は小田原駅の新幹線口の目の前にあって、小高い丘の上です。高級料亭ですから、私もこの30年で訪れたのは今回が3回目ぐらいです。このあと10年は来れないなと思って(^^;
風景を楽しみました。写真の奥が、見えませんけど相模湾です。 お酒は「刈穂」(新潟だったかな?)と、地元の「丹沢山」。彼が所属するグループが「大山・丹沢詩の会」と云いますので、それに因んだ意味もありますけど、もともと好きな酒なんです。だいぶ酩酊しました。でも、心地好い酔いでした。年も近い男二人の呑み会は、余分な神経を遣わないものだなと感じながら呑んでいました。Fさん、ありがとうございました! で、彼の詩集は9月に出版される予定です。機会のある方は是非お目通しください。ついでに拙文も読んでいただけると有難いですね。 |
○月刊詩誌『柵』223号 | ||||
2005.6.20 | ||||
大阪府箕面市 | ||||
詩画工房・志賀英夫氏 発行 | ||||
600円 | ||||
<目次>
現代詩展望 戦後詩と抒情精神 都市型抒情と田園型抒情 … 中村不二夫 82
<自伝的戦後詩観(7)> 「幻市」「みえ現代詩」など … 津坂 治男 86
吉本隆明論(5) 日本のナショナリズム … 森 徳治 90
流動する世界の中で日本の持とは(9) 短詩の可能性と … 水崎野里子 94
「戦後詩誌の系譜」22 昭和42年51誌追補1誌 … 中村不二夫 志賀 英夫 108
父・邦三の肖像(1) 詩と歌謡・喜志邦三回顧展の講演より … 喜志 房雄 116
中原 道夫 モーニングコーヒー 4
伍東 ちか この道 6
宗 昇 沢の音 8
肌勢とみ子 もう誰も 10
立原 昌保 光の尖端を 12
織田美沙子 地下鉄 14
山崎 森 ずくなしの唄 16
松田 悦子 マイホームの第一歩 18
南 邦和 五月の海峡
川内 久栄 うら括れてゆく村 トランク 22
小島 禄琅 横浜事件再審決定 24
小沢 千恵 さくら 26
大貫 裕司 いしぶみ 28
川端 律子 再び 銃後の妻たち 30
山口 格郎 芽立ち 32
野老比左子 戦争と叡智 地球に 34
平野 秀哉 しきい(閾)値 36
小城江壮智 熔岩樹形 38
木村 利行 帰 京 40
岩本 健 雑詩若干 42
水崎野里子 鹿のいる場所 44
上野 潤 和蘭物語 17 47
進 一男 またも縮む 50
山南 律子 花ごろも 52
檜山 三郎 八〇年回顧録 54
高橋サブロー 袋の中の鼠 56
名古きよえ 流れ星 58
鈴木 一成 某日某時 60
若狭 雅裕 梅雨の晴れ間 62
山尾 管惠 希 望 64
門林 岩雄 春 他 66
小野 肇 図書館の詩人 68
安森ソノ子 母の日に 70
佐藤 勝太 愛の形 72
北村 愛子 神様もう一度 74
前田 孝一 幸せのとき 76
今泉 協子 椿の木 78
徐 柄 鎮 井戸のある家 80
続・遠いうた 50 マイノリティの詩学
死の文化・物の数でない死 大虐殺 … 石原 武 98
インドの詩人・アフターブ・セットの詩 1 水崎野里子・訳 102
何故だかわたしにはわからない
コクトオ覚書198
コクトオ自画像[知られざる男]18 … 三木 英治 104
赤裸の自分史詩集 佐藤勝太『掌の記憶』を読む … 鈴木 一成 126
東日本・三冊の詩集 深雪陽紅『試著室』 … 中原 道夫 128
小山和郎『冬の肖像たち−』 霧林道義『山河』
西日本・三冊の詩集 伊藤眞司『ボルト』 … 佐藤 勝太 132
永窪綾子『現代児童文学詩人文庫』 瑞木よう『まなざしに』
受贈図書 137 受贈詩誌 135 柵通信 136 身辺雑記 138
もう誰も 肌勢とみ子
という書き出しで
一編の詩を書こうとしたが
どんな一行を書いても不機嫌になってしまう
あとに続くことばに
「・・・ない」と否定されてしまうからだ
「もう誰も愛せない」
「もう誰も信じない」
「もう誰も振り向かない」
ちょうどそこへ蛾が飛んできて
紙の上にとまった
「もう誰も」のあとに「が」入ると
途端に未来が明るくなる
「もう誰もが愛せる」
「もう誰もが信じられる
「もう誰もが振り向く」
だがこれでは平和過ぎやしないだろうか
だからこの扱いにくい一行を捨てて
逃げ出すことにした
もう誰もわたしを探せない
言葉遊びとしてもおもしろいが、それだけでなく第4連の「だがこれでは平和過ぎやしないだろうか」というフレーズが示す通り、かなりシニカルな面も持った作品だと云えましょう。ここだけでも巧いと思うのですが、最終連がまたニクイですね。「もう誰もわたしを探せない」というオチは詩として完璧ですし、案外この辺りに作者の本音が隠れているのかな、とも思ったりします。ある意味では作者の思いをギリギリで止めている、と読むのは読みすぎでしょうか。字面の裏の内面にまで惹き込まれた作品です。
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