きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.6.5 | ||||
「宇都宮美術館」にて | ||||
2005.6.20(月)
午後から工場一斉の火災訓練がありましたが、わが部は伝令が出たのみで他は参加しませんでした。毎年持ち回りで担当の部が決められ、それ以外は静観ということになっています。数千人もいる工場ですから、全員で動くのは大変だというわけなんでしょう。一斉放送で流れてくる情報を聞きながらデスクワーク。おお、みんな頑張ってるかな、と涼しい顔をしていましたけど、自分の部が担当になったら汗ダクだろうな(^^;
ところで今日は生母の命日。もう45年も前のことになります。30代という若さで逝った母は、いつまでも若い。母の年を遙かに過ぎて、それだけのことをやってきたのかな、と、毎年思うことを今年も考えてしまいました。
○詩と評論『日本未来派』211号 | ||||
2005.6.15 | ||||
東京都練馬区 | ||||
西岡光秋氏 発行 | ||||
840円 | ||||
<目次>
<眼> 詩−その底に息づく哲学と宗教 高松 文樹
<特集> 詩と星(1)
現実から空想への架け橋 福田陸太郎 22
銀河半天にかかりて −星と詩をめぐる断想 石原 武 26
「星の王子さま」は何処に 壺阪 輝代 30
詩――――――――――――――――――――――――――――――――――――
遠い国の物語 安岐 英夫 2 夜半の月に 水野ひかる 12
パズル 松山 妙子 3 泥棒に 石井 藤堆 13
おじぎ・閑吟 坂本 明子 4 睡眠はその後だ 島崎 雅夫 14
空中 倉持 三郎 5 花を待つ 青木 洋子 15
すれ違う犬 綾部 清隆 6 花翳 柳田 光紀 16
偶視 林 柚維 7 人差指 平方 秀夫 17
流れ 岩井美佐子 8 渡り蝶 壺阪 輝代 18
夜明け 中村 直子 9 蛇 中原 道夫 19
蛙のジーザース・クライスト
目かくし 井上 嘉明 20
高部 勝衛 10 二〇〇五年 四月 内山登美子 21
<海外持> メキシコ
アンバル・パストの詩 わたしはこの詩から逃げる/通夜 細野豊・訳 52
<持との出会い> 詩と出会う日は晴 坂本 明子 56
<日本未来派の持人たち> 追悼・江間章子讃 内山登美子 58
新緑の季節に・真壁仁さん 建入 登美 60
<旅から生まれた持> 日本未来派への旅 山内 宥厳 62
旅から生まれた詩 松山 妙子 64
<書簡往来> 山梨の戦後詩の系譜 まき の のぶ 66
<私の処女特集> デパートではない『百貨店』 山田 直 68
処女詩集『石の歌』のこと 中原 道夫 69
詩集『雪崩』が示すもの 平方 秀夫 70
<追悼> 遠藤恒吉 <作品> 身辺整理・孫 年譜 92
叔父と私 石堂 薫 94
追悼の言葉 稲葉 嘉和 95
遠藤さんの目 山田 直 96
「Banzai Cliff」 倉持 三郎 98
和の存在 植木肖太郎 99
遠藤恒吉さんの、語りを今一度 原田 道子 100
弔辞 西岡 光秋 101
詩――――――――――――――――――――――――――――――――――――
照る日雲る日−ソネットもどきの独白 抵抗 前川 賢治 42
福田陸太郎 32 五感を開いて 森 ちふく 43
顔−兄に寄せるソネット石原 武 33 枯れた菊を持つ朝 武田 健 44
山とヒト 木津川昭夫 34 たとえば「青い空」小野田 潮 45
大菩薩峠とすずきびんこうの巻 鈴木 敏幸 36 続坂下−孔雀とお菓子 福田 美鈴 46
秋桜 肱岡 哲子 37 同伴者 磯貝景美江 48
春泥 若林 克典 38 樹海の果てに 植木肖太郎 49
重さ 井上 敬二 39 公園をさまようホームレス 金敷 善由 50
金平牛蒡 伊集院昭子 40 心の中の八王子街道 細野 豊 51
食事療法 宮崎八代子 41 陽はまた昇る 山田 直 52
森 イスラム事始 倉持 三郎
103 姉に捧げる詩集 宮崎八代子 106
季節雑感 綾部 清隆 104 詩と共に六十年 川村 慶子 107
突きつめてみれば 杉野 穎二 104 詩の周辺で 高部 勝衛 108
プーケット・スィレー 木のこころ 五喜田正巳 109
島に寄せる 磯貝景美江 105 物の特定 西岡 光秋 110
詩――――――――――――――――――――――――――――――――――――
舌を研く女 天彦 五男 71 海へ 鳥のように 壁 淑子 82
タピスリーの森 川島 完 72 通行を止めた男 水島美津江 83
花のいのち 小倉 勢以 73 死者の町で 五喜田正巳 84
足の裏 青柳 和枝 74 かがみ まき の のぶ 85
真冬の標本 建入 登美 75 クリスマス・イブの夜 他一編
写真 山内 宥厳 76 浅野 明信 86
ディゴスのコテージにて 斎藤 央 77 薔薇 杉野 穎二 87
童話の声 今村 佳枝 78 あふれる 角谷 昌子 88
ある朝のこと 後山 光行 79 母音と子音 新延 拳 89
釘 平野 秀哉 80 記憶 小山 和郎 90
装飾古墳 川村 慶子 81 歯無し 西岡 光秋 91
特集展望
井上 嘉明 106 平野 秀哉 118
書評 柳田光紀エッセイ集『大連好日』 今辻 和典 111
新・日本現代詩文庫24『森ちふく詩集』 森田 進 112
井上嘉明詩集『地軸に向かって』 福田 明 113
石原武詩集『飛蝗記』 高田 昭子 114
細野豊他訳詩集『現代メキシコ詩集』 中上 哲夫 115
短信往来…123 投稿作品
小倉勢以・安岐英夫…120 同人名簿…124 編集後記…126
目かくし 井上嘉明
ほこりっぽい博物館の片隅で
馬の目かくしを見た
にぶく光る 菱形の銀細工
誇り高い中世の騎士に似合うように
家紋さえ彫られている
そっと ほこりを払えば
いっそう輝き
いまにも馬を挑発しそうだ
敵陣につっこむとき
こわがらないように
馬は両目を覆われるのだ
望むも
望まぬもない
何の作為もなく
まっすぐに疾駆すること
ちかごろ
わたしたちの周辺は
滅法明るい
自分の影をつくることが出来ない
真昼の紙芝居のようだ
どうやら わたしたちは
足許が明るいほど
目かくしなしでは
走れなくなってしまったらしい
癪なのは
この目かくしを施した者の見当が
さっぱり つかないことなのだ
「ちかごろ/わたしたちの周辺は/滅法明るい」というのは反語でもあるのかなと思います。「自分の影をつくることが出来ない」ほどの明るさの中に生きているけど、それがあまりにも進んでしまって「足許が明るいほど/目かくしなしでは/走れなくなってしまったらしい」。すなわち、多少の暗さを欲するようになって、そこに付けこまれて「目かくしなしでは/走れなくなってしまった」状態が現在だ、と謂っているように受け止めています。もちろん、これは現在の右傾化まで含めていると解釈しています。
そうやって見てくると最終連の「この目かくしを施した者の見当が/さっぱり つかない」、しかもそれは「癪」だ、と云っているところは重いですね。考えさせられた作品です。
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