きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
  050612.JPG    
 
 
 
2005.6.12
宮崎「西都原古墳群」にて
 

2005.7.7(木)

 関連会社の担当者に来てもらって打合せをしました。不都合があって、その後の進度状況を報告してもらいました。13時半から17時までビッシリ。いささか疲れました。でもまあ、多少の進歩があったので、少しは胸を撫で下ろしています。失敗は失敗として、その後のフォローが大事なんですが、そこまで行くにはもう少し時間が必要かもしれません。とりあえずお客さんに迷惑が掛る事態ではないので、生産続行は許可しました。軽い失敗(現実は決して軽くないのですが)のうちに勉強してもらいたいと思います。




中井多賀宏氏詩集繁華街のネズミ
     hankagai no nezumi.JPG     
 
 
 
 
2005.4.15
東京都新宿区
文芸社刊
1200円+税
 

  <目次>
   煤けた街の片隅で
    くたくた  8
    約束手形の夜  10
    ドロップ・アウト  11
    明日を待っていた  12
    アスファルト  15
    煤けた街の片隅で  18
    白状  21
    この衛で  24
    仔猫  26
    どんな暴力よりも  27
    眠りたい夜と眠れない夜の狭間で 28
    がんばれよ  30
    俺はこんな感じです  31
    あぁ、退屈だ  33
    繁華街の横断歩道  35
    街角にブルース  37
    ところで俺はなんでこんなに辛いんだろう 39

   立ちすくんでいた
    立ちすくんでいた  44
    存在  46
    死にたくねぇ  48
    歯抜けの商店街  51
    淀川  52
    猫  53
    飯を喰わなきゃ生きられない  55
    俺を笑ってくれ  58
    四葉のクローバー  61
    今日もあかんわ………  63
    横殴りの雨の日に  65
    勘弁してくれ  68
    心の中の真っ白な部分  69
    十六のガキだった頃  72
    負けるもんか  74
    ごめんな  76
    液化した意識  79

   繁華街のネズミ
    涙が溢れてしょうがない 82
    寂しい時には誰だって  85
    俺はなんて無様なんだろう 88
    路地裏のネズミ  91
    月が満ちた夜  94
    会社勤めのパースン  96
    カラカラいってやがる  98
    この街に捨てられたんだ 100
    ゼロ地点  103
    ハレルヤ 〜ある友人に捧ぐ〜 105
    からっぽ  108
    物乞いの道  111
    強迫性障害で通院中 113
    繁華街のネズミ  115
    繁華街のネズミ その二 118
    眠らない都会で  120
    伝言  122

   失った半分
    ポリスとコソ泥  126
    何よりなんです  129
    音楽の本質  132
    飲酒癖、及び、パニック障害のツケ  134
    人生の道中で  137
    春夏秋冬  139
    ホームレス  142
    ぶっ壊された夜  145
    生きて行けねえ  147
    俺はなんて馬鹿なんだろう  150
    あんただけが  153
    ブルースが泣いていた  156
    失った半分  157
    四面楚歌の夜  165
    繁華街のネズミ その三  169



    繁華街のネズミ その二

   繁華な街のすえた臭いの中で逃げ回っているネズミみたいな俺
   出口無し、なんて、入り口も無し
   いつの間にかはまってしまう恐ろしさ
   その恐怖がネズミに襲いかかる

   繁華な街は依然として繁華な街であり続け
   俺達は逃げるか押し潰されるか
   二つに一つしかないんだ

   だから俺は逃げ回る
   繁華な街を逃げ回る
   情けないほど逃げ回る

   泥だらけのネズミは繁華な街を逃げ回る
   着飾った絶望をすり抜けて、
   泥だらけのネズミは繁華な街を逃げ回る

   どこかで見かけたら、
   酒の一杯でも奢ってくれよな

 詩集タイトルの「繁華街のネズミ」は「その三」まであります。ここでは「その二」を紹介してみました。「出口無し、なんて、入り口も無し」というフレーズが佳いと思います。「どこかで見かけたら、/酒の一杯でも奢って」やりたくなる詩ですね。




中井多賀宏氏著憲法ってなんだい?
      kenpo tte nandai.JPG     
 
 
 
 
2005.6.15
東京都新宿区
文芸社刊
1200円+税
 

  <目次>
   はじめに  3
   本書のスタンス  5
   憲法の目的、そして憲法が有する最高理念とは何か? 11
    1、「憲法を守るべき人リスト」に「国民」は入っていない! 14
    2、憲法とは、国家権力の濫用
(らんよう)を抑制し、国民の権利・自由を守るもの! 18
    3、憲法の最高理念「個人の尊重」  20
    4、「個人の尊重」と「平和主義」「国民主権」「基本的人権の尊重」との関係 22
    5、まとめ  41
    6、ぜひ読んでほしい憲法の条文 43
   終わりに  50
   日本国憲法全文  55



    当のわたし自身もかつては「憲法もそんなもんかな?」くらいに思っていま
   した。せいぜい「法律の親玉かな?」といったくらいにしか憲法に対するイメ
   ージはありませんでした。憲法も他の法律と同様に国民に対して何かを禁止し、
   または何らかの行為を強制する、そんなものだと考えていました。人権規定が
   あるというのは知っていましたが、それ以上に、国民が遵守すべき何らかの義
   務がズラズラと並んでいる、そんな程度のイメージしかありませんでした。
    憲法についてそんな程度のイメージしか持っていなかったわたしは、実際に
   憲法の条文を読んで大変驚きました。
    憲法九十九条という条文があるのですが、それを見てみてください。そこに
   は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この
   憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と書いてあります。
    これは「憲法尊重擁護の義務」という条文です。「憲法を尊重し、しっかり
   と守るべき者はいったい誰なのか?」という、いわば「憲法を守るべき人リス
   ト」です。
    この条文を見て何かに気付かれたでしょうか?
    そうです。この憲法九十九条には「国民」という文字が入っていないのです。
   つまり「憲法を守るべき人リスト」に「国民」は入っていないということなの
   です。
    そうすると、憲法を守るべき者は国民ではなく、憲法九十九条、すなわち
   「憲法を守るべき人リスト」に挙がっている「天皇又は摂政及び国務大臣、国
   会議員、裁判官その他の公務員」という人たち、つまりは「国家権力者たち」
   なのです。
    このように憲法というのは、「国民」の側に向けられた禁止や強制ではなく、
   「国家権力者」の側に向けられたものだったのです。

 著者のプロフィールには「現在、詩人・作家・音楽家・フリーの憲法講師として精力的に活動を行っている」とありました。憲法講師としての立場で書かれたもので、「憲法入門への入門書」という位置付けですから非常に読みやすく判りやすい本です。
 紹介した文は「1、『憲法を守るべき人リスト』に『国民』は入っていない!」の部分です。意外と知られていないのですが、憲法は「『国家権力者』の側に向けられたもの」なのです。その国家権力者が憲法を守るどころかないがしろにして改悪しようとしているのですから、これはまさに憲法違反。そんな基本的なところが学べる本で、資料として付けられた「日本国憲法全文」とともに一度読んでほしいですね。




中井多賀宏氏著「表現の自由」ってなんだい?
      hyougen no jiyutte nandai.JPG     
 
 
 
 
2005.7.15
東京都新宿区
文芸社刊
1200円+税
 

  <目次>
   はじめに 3
   本書のスタンス 5
   「表現の自由」ってなんだい? 9
    1、憲法の体系 10
    2、憲法を守るべきなのはだれ? 13
    3、「表現の自由」の持つ「価値」とは? 16
    4、「知る権利」ってなんだい? 22
    5、「表現の自由」と「プライバシー権」との関係 31
    6、「表現の自由」を規制する法律などに対する違憲性判断基準 37
    7、「報道の自由」は「表現の自由」の内容として認められるか? 45
    8、「取材の自由」は「表現の自由」の内容として認められるか? 47
    9、パブリック・フォーラム論 49
   終わりに 52
   日本国憲法全文 59



    今まで見てきた通り、「表現の自由」は非常に重要な権利です。
    しかし、だからといって、無制限に認められるものではありません。つまり、
   人権が生まれながらに有している一定の規制には服さざるを得ないのです。それ
   が「公共の福祉」という概念です。
    注意して欲しいのが、ここでいう「公共」というのは、「お国のため」「公衆の
   利益のため」という意味ではなく、「他の人の人権と衝突した場合」のことを指
   しているということです。つまり、「『公共の福祉』とは、人権と人権の衝突・矛
   盾を調整する概念だ」と、考えてください。

 こちらは前出『
憲法ってなんだい?』の姉妹編です。「表現の自由」に絞って解説しています。紹介したのは「6、『表現の自由』を規制する法律などに対する違憲性判断基準」の中の「『表現の自由』の限界」の部分です。よく間違いやすいのですが「『公共』というのは、『お国のため』『公衆の利益のため』という意味ではなく、『他の人の人権と衝突した場合』のことを指している」という処が重要です。
 インターネット時代になって、一方的な受け手ではなく誰もが発信できる「表現の自由」を得るようになりました。拙HPももちろんそれを享受しています。「しかし、だからといって、無制限に認められるものではありません」ね。これからも個人情報、プライバシー権などに注意して運営していきます。




中井多賀宏氏詩集beの世界
      be no sekai.JPG     
 
 
 
 
2005.8.15
東京都新宿区
文芸社刊
1200円+税
 

  <目次>
   圧倒的な存在の坩堝
    圧倒的な存在の坩堝  8
    コンクリートで固められた俺の言葉  10
    在る物と無い物  12
    季節は秋  14
    ラットレース  16
    beの世界  19
    腕時計  20
    冷や汗と悪寒の夜に  22
    事の始まり  25
    二つの月が交差する夜  28
    飯にしようぜ  31
    十字架が俺を撲殺する  32
    俺なんだ  34
    逃げられるもんなら  38
    デジタルな感情  41
    明日は晴れ、所によって一時雨が降るでしょう  42
    雨上がりの匂い  44
    透明な血  46
    人の命  47
    カレーうどんのしみ  48
    行けるところまで  49
    人間の墓から  50
    beの世界 その二  52
    石畳の道  54
    beの世界 その三  56
    真冬の日溜り  58
    俺の世界  59

   オリオンに吸い込まれて
    謝ることすらできやしねえ  62
    リリーの面影  65
    人生が進んで行く  68
    全部想い出か? 70
    オリオンに吸い込まれて  72
    崩して、崩して、崩して  74
    酒浸りの俺ができる事  76
    街灯り  78
    お前の笑顔を  79

   存在と無の狭間で
    仕方の無いこと  82
    十六時半のサラリーマン  84
    居る、ということ  86
    虹を見る為に、天に向かって雨を乞う  88
    生きて居たい  90
    存在に対する限りなき欲望  92
    存在の季節  94
    居ないじゃないですか!?  98
    繁華街の隅っこで  100
    存在と無の狭間で  101

   誰か笑ってくれませんかね?
    深夜四時  104
    屋根の上の猫  106
    実験的な人生  108
    家に帰れねえ  110
    しくじるなよ、ルーディー  111
    布団の中  114
    私が中井です  115
    誰か笑ってくれませんかね?  118
    詩  121
    生きて行くには  124
    正味の話を  126
    ひとりぼっちに  129

    おわりに  130



    beの世界

   「おい! そこに在る俺のギターを取ってくれないか!?」
   なんて、言ってみる
   でもギターなんて一生かかっても俺の手元には届かないんだ
   だって、そこには俺のギターなんて無いんだもん
   無いものを在るなんて言ってみただけなんだもの
   ふざけただけなんだもの
   真剣にふざけただけなんだもの
   圧倒的にふざけてみただけなんだもの

   beの世界で俺は
   このようにふらふらと浮遊している

 タイトルポエムの「beの世界」は「その三」までありますが、ここでは最初の作品を紹介してみました。これにはちょっと説明が必要でしょうね。「おわりに」では次のように書かれています。

    僕は本書に「beの世界」というタイトルをつけた。「be」という「存在」
   を表す動詞をタイトルに使った。「be」という動詞の原型の中に、僕は存在
   を見つける。「be」という動詞が持つ尋常ならざる威圧感の前で、僕はただ
   しりごみをする他にできることなどない。
    結局、僕は、自分の存在に耐えられるし、また、耐えることができるのだ。
          
・・・・・・
   これは即ち僕が成熟しすぎたという事を意味する。
   「beの世界」はあくまで「beの世界」なのであって、決して「is」の世
   界でもなければ「are」の世界ではないからである。

 これでもかなり難しいのですが存在論だと考えれば良いのかもしれません。「『be』という動詞が持つ尋常ならざる威圧感」をどう感じるかが鍵のように思います。「決して『is』の世界でもなければ『are』の世界ではない」という説明と合せて考える必要があると思いました。




中井多賀宏氏詩集うつむき羅漢
      utsumuku rakan.JPG     
 
 
 
 
2005.8.15
東京都新宿区
文芸社刊
1100円+税
 

  <目次>
   うつむき羅漢
    うつむき羅漢  8
    ケ  11
    俺たちのご機嫌  12
    寒い夜  14
    土砂降りの真夜中に  16
    別離  18
    理解の本質  20
    まどろみ  21
    監獄ごっこ  22
    自分の為に生きろ  24
    どつかれ続けて  26
    ジェットコースター  28
    レゲエの効能  30
    本当の幸せ  32
    慰安  34
    一月十七日  35
    うつむき羅漠 その二  36
    魂のスパーク  38
    カナリヤ野郎の物忘れ  40
    争いの果ての生温い葡萄酒  42
    できる仕事とできん仕事  44
    やる気の問題  46
    いつだって  48
    うつむき羅漢 その三  49

   大阪に住んでまんねん
    大阪に住んでまんねん  54
    何ひとつ  56
    アンダーグラウンド  58
    恍惚  59
    つながったぜ、おい!  60
    慰安のあと  62
    寒い寒い空気の中  64
    銀紙に包まれた慰安  65
    渋滞でございまして  66
    極上の嫌気  68

   風に舞うビラ
    風に舞うビラ  70
    ずぼらの神  72
    フリーズドライ  73
    すまんのう  74
    ずぼらの神頼み  76
    ずぼらのスピーチ  78
    ずぼらの祈り  81
    叱ってくれませんかね?  82
    寝酒の一杯  84
    いい夜だ  86
    ずぼら売り  88
    オン・バザラ  89
    四天王寺の亀  90
    神の扉に伝え聞く  92
    半裸坊主とずぼら観音  94
    酒浸りでルーズでライトな俺のラストシーン  96

    おわりに  97



    いつだって

   「何を言っても分かってもらえないの」
    なんて、お前、ぽつり

   でもな
   何を言っても分かってもらえる、ってのも気持ち悪いもんだぞ

 これはおもしろいですね。「何を言っても分かってもらえる、っての」は、まったく経験がありませんけど、本当にそうなったら「気持ち悪い」でしょう。思わず笑ってしまいました。短い詩ですが力のある作品だと思います。




   back(7月の部屋へ戻る)

   
home