きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.6.12 | ||||
宮崎「西都原古墳群」にて | ||||
2005.7.15(金)
久しぶりの金曜呑み会。酒はともかく料理が旨いという店に行きましたけど、やっぱりお酒にこだわってしまいました。選んだのは広島の「賀茂鶴」上撰。すっきりした喉越しの、私好みの味でした。そういえば何度か呑んでいるような…。
ところで上撰≠ヘパソコンの辞書に入っていないんですね。さっそく登録。意外に多く使われている字ですが、私のパソコンでは初めてだったのかと変なところで感心しています。これで次回から安心(^^;
○詩誌『ハガキ詩集』222号 | ||||
2005.7.14 | ||||
埼玉県所沢市 | ||||
伊藤雄一郎氏方 ポスト・ポエムの会 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
伊藤雄一郎 <一人芝居> 特集
ニュース・コラージユ 2
深夜の無音電話 4
一日の始まりと終りの物語 6
朝の使者
真昼の巡礼者 8
−或いは“石持て追われた男”−
夜の旅人 10
PRのページ 11
後書き 12
百足(むかで)
頼むから変な気を起こさないでくれよ
お前が靴屋に行き
それぞれの足に合う靴を注文したら
どうなると思う パニックだぜ!
THE CENTIPEDE
I beg you please, don't try anything stupid
If you went to a shoe store
And ordered a shoe that fits every foot
What do you think will happen; there will a panic !
紹介した作品は「PRのページ」に四行詩として「蟻」「蟋蟀」とともに収められていました。昨年秋に出版した詩集『いのちの耀き』に入っています。美術出版社が企画した短詩アンソロジーに収録され、ヨーロッパの図書館に寄贈するため英訳を付けたそうですが、日本語もおもしろいけど英訳も判り易くて佳いですね。「頼むから」は「I
beg you please」と云うのかと変なところで感心しています。日本語も英語も、このくらい肩が凝らないと楽なんですけどね。
○詩誌『二行詩』13号 | ||||
2005.6.28 | ||||
埼玉県所沢市 | ||||
伊藤雄一郎氏方・編集連絡先 二行詩の会 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
六月の誕生日 岸田せつ子 1
坂道の変奏曲 大瀬孝和 2
暮らしの妖怪(団塊) 高木秋尾 2
ノアザミ 他 濱條智里 3
続々・ハングルぐるぐる抄 全 美恵 3
お便りコーナー 4
後書き 4
暮らしの妖怪(団塊) 高木秋尾
しこり
しんたいのあちこちが人面瘡
父も母もしんたいのあちこちを軋ませて
おでき
できましたんですわ色めいて
食さがしの栄養事情の羽化なんです
にらめっこ
増えて増えて増えて芋洗い
教室じゅうがあっぷっぷ
しゅうだん
まるで召集列車ですね
おとなたちのひそひそ話
しゃくし
猫とはりあうまでもなく家にひとつは
線がひけないのでこぞって捨てました
高木さんも私も「(団塊)」の世代です。今の子ではあまり見掛けないんですが、私らの子どもの頃は、よく「おでき」が「できましたんですわ」。学校もいっぱいで「教室じゅうがあっぷっぷ」していました。今の少子化が信じられないぐらいですね。「(団塊)」ですから当然ですが、何をやっても「しゅうだん」で動いていましたから「まるで召集列車ですね」という「おとなたちのひそひそ話」もあったでしょうね。でも「しゃくし」定規にはなっていません。そんなものは「こぞって捨て」た世代でもあります。そんな私たちの「暮らしの妖怪」を描いた作品です。
○加藤幹二朗氏詩集『焦げた玉葱』 | ||||
2005.7.20 | ||||
東京都北区 | ||||
視点社刊 | ||||
2000円+税 | ||||
<目次>
序詩 2 詩篇42篇によるエチュード
T 斧の痕
10 ウラジヴォストーク
13 市場では騒然とババ抜きをやっていた
16 コンパートメントの旅
19 斧の痕
22 エンス・ボート
25 灯台の巨柱
U カレーズの井戸
30 カレーズの井戸
33 葡萄の来た道
36 交河故城
39 戦闘象
42 ホークンの石
45 天に近い湖
V 火の柱
王墓の谷 50
タニス 53
火の柱 56
エジプトの肉鍋 59
戯れ歌・燃える柴 62
砂漠の隠者 64
埋もれた道 67
W 約束の地
浮上した漁船 72
十字架の道 75
サバトの掟 78
戦線 82
約束の地 85
ロシア生れのメイド 88
X エフェソの微風
92 死者の街
95 コンヤの旋舞
98
エフエソの微風
101 サタンの座
104 パルテノン
107 コリント運河
Y 焦げた玉葱
112 面接
116 同行二人
120 焦げた玉葱
124 沖縄の空
128 ガマ
跋 葵生川玲 131
著者略歴 134
焦げた玉葱
あと半年で定年という秋晴れの日に長女の結婚式があり
私は教会のヴアージンロードで奇妙な不意討ちを食った
どうせ父はいつもドジ踏むんだからと気を遣って
娘の方から積極的に腕を組んで来たのだが その彼女が
微妙に大人に感じられた。何の事は無い かかとのある
ヒールを履いた娘が初めてで 背が高く思えたのだ
式の後 両家お近づきの宴の会場に皆で向かう途中
安樹子の妹さんが 突然 定年後はもうお決まり?と
尋ねてきた。今日式服を着てる格好を見てたら素敵で
牧師さんになればいいのに と思ったものだから と
突拍子も無い事を言い 私はおいおい、と笑い出した
すまし顔で説教してる私など考えられなかったからである
その夕方 家族と別れて高円寺の教会を訪問した
牧師は病まれ 血液透析しながら心臓手術という荒業をやり
回復は未だで しかも私は五年以上会っていなかった
先生はいつもと変らぬ温顔で迎えたが 私は愕然とした
心臓手術の術後の皮膚の色を 知らない訳では無かったが
もう後戻りの利かぬ やっと生きてる蒼い顔をされていた
新潟に帰って数日後 茨城から年賀欠礼状が届いた
同い年で 学生時代以来の友 井戸垣さんの
一歳ご自分より若い 夫君逝去の通知であった
大蔵省本庁勤めを振って牧師になり 自力で会堂を建て
その時古材の釘を踏み抜いた それが肝炎の遠因になり
生き急ぐように戦い続け 遂に召されたのであった
それを見て暫く 私は机に向かっていた それは例えば
熟して急に鼓動が激しくなったり 逆に指先が痺れるほど
身体中が冷え込むようなパニックだった
やがて落ち着いて 安樹子に言わねば と気が付いた
台所で彼女は調理中で フライパンに油を敷き
輪切りにした玉葱を入れたところであった
願い事がある と私は切り出した
何も予定していなかった将来の事だけど 大学に入り
牧師になろうと 今決心した 理解して欲しい
それが貴方のやりたいことなのですね
そうだ 言い出す機会を探っていたのではなく 本当に
たった今その気が起きたのだ
貴方の決めた事です 私は賛成ですよ
一瞬の間に 決意を決めたような返答だった
私はそう受け取り 彼女もそんな意識であった
次の瞬間 二人はフライパンの中で 油を吸った玉葱が
真っ黒に焦げているのに気付いて驚いた
二分か ひょっとしたらもっと 時間が抜けてしまっていた
多分安樹子は随分考え 私は答を待っていたのだが
その間の時間は 二人ともぽっかり欠落したままだった
著者は牧師です。タイトルポエムでもある詩を紹介しましたが、その牧師になろうと「決心した」瞬間を描いた作品です。もうすでに会社は「あと半年で定年」という時期であったにせよ、その後の長い人生の方向を決める瞬間ですから「二分か ひょっとしたらもっと 時間が抜けてしまっていた」という、時間の観念が抜けるほどの心境がよく伝わってきます。信仰への思いの深さが「焦げた玉葱」に見事に表出した作品と云えましょう。
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