きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.6.12 | ||||
宮崎「西都原古墳群」にて | ||||
2005.7.29(金)
関連会社から新たな不始末があったので報告したいと連絡があり、午後から来てもらいました。内容は事前にFaxで受けていましたから、おおよその状況は掴んでいました。軽微な不始末なので、そのことをあまり迫るつもりはありません。むしろ、度重なる不始末の原因は何か、それを報告してもらえると思っていましたが、ちょっと外れてしまいました。どうしても表面的になってしまうんでしょうね。相手の会社も一部上場の大企業ですが、一連の大企業の不始末と根底には同じものがあると思っています。従業員のモラルや無責任な社風などにメスを入れない限り不始末は減らないでしょう。それは申し伝えましたけど、どこまで理解してもらえたか、どこまでやってもらえるか、逆に私が試されそうな気がした会議でした。
○個人文芸誌『一軒家』9号 | ||||
2005.8.15 | ||||
香川県木田郡三木町 | ||||
丸山全友氏 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
お客様の作品
随筆作品
老いの上り坂 人それぞれ 平井賢一 (1)
生かされて生きて 宮脇欣子 (2)
ともだち 吉原たまき(5)
気持ちの良い一日 伊東美好 (5)
畑の賑わい 池田みち (6)
文芸同人誌「法螺」のあれこれ 西向 聡 (6)
童話作品
てっちゃん 森ミズエ (7)
鳩 星野歌子 (9)
詩作品
『春…というミュージアムの中で』友里ゆり (11)
出会い 戸田厚子 (12)
あんよ(小さな息子へ) 山上草花 (12)
ほら春風が… 小島寿美子(12)
枯 野 能登金作 (13)
闇にいま 内藤ヒロ (13)
蝉時雨 上田哲司 (13)
朝のスケッチ 宇賀谷妙 (14)
鹿の世界 深野久江 (14)
憂 国 吉村悟一 (15)
稲 穂 丹治計二 (16)
一粒の苺 角田 博 (16)
広場で 沢野 啓 (17)
例えば夜の 鶴若寿夫 (17)
糸 車 佐藤暁美 (18)
夏の花 大山久子 (19)
麦のうた 田島伸夫 (19)
俳句作品 徳間育男 (19)
紅 雀 (19)
草 花 (19)
回文作品 中村 漠 (20)
短歌作品 友里ゆり (20)
能登金作 (20)
家人(全友)の作品
短編小説 あの山 (21)
詩作品 交通マナー (26)
いたわり (27)
親 子 (27)
見舞い (27)
小さな乗客 (27)
黄昏て (27)
みちずれ? (28)
雑 文 時 効 (28)
七夕 (30)
後書き (32)
小さな乗客 丸山全友
電車に乗る
乗客は男の子と母親らしき女性
老人が二人に自分と車掌に運転手
駅に着く
母親らしき女性は
子どもを抱き上げるでもなく
子どもの手をひき
子どもはよちよちと歩いて降りて行く
車掌は笑顔でドアを閉め
運転手は笑顔で発車する
都会の方で僅かな遅れを取り戻すため
速度を増して百名もの死者を出す脱線事
故があったばかりだというのに…
乗客もなければ
終点までに他の電車やバスの接続してい
る駅もない
今号の「家人(全友)の作品」は「一軒家お出かけ編」となっており、外出時の作品集です。その中から「小さな乗客」を紹介してみました。「男の子と母親らしき女性」ののんびりとした様子、「車掌」と「運転手」の「笑顔」での対応など「乗客もなければ/終点までに他の電車やバスの接続してい/る駅もない」ローカル線の良さが表出しています。その対極としての「都会」の「脱線事故」。何が人間にとって本当の幸せなのかを考えさせる作品ですね。
○季刊詩誌『詩と創造』52号 | ||||
2005.7.25 | ||||
東京都東村山市 | ||||
書肆青樹社・丸地 守氏 発行 | ||||
750円 | ||||
<目次>
巻頭言 〔詩と環境〕 辻井 喬 4
詩篇 窓辺 山本沖子 6
魚と界 鎗田清太郎 8
マンモスを聴きながら 内川吉男 11
浮 力 嶋岡 晨 14
肉の告発 納富教雄 16
緑を苦しみ悩む草が 原子 修 19
暫く休演 溝水 茂 24
素ガラス 笹原常与 27
花と雲雀と鬱 尾花仙朔 30
電磁波が届かぬうちに 砂川公子 33
海と鎮魂 木津川昭夫 36
オン・ザ・ロック 若宮明彦 39
廊 下 石原 武 42
人格症候群(ペルソナシンドローム)−リリカルなapocalypseの青 内海康也 44
痛点まで 松岡政則 46
雪蓑返却 宮沢 肇 48
白いもの 山本十四尾 52
靴 音 丸地 守 54
詩論 <現代詩>の美 原子 修 58
現代詩時評 ボーダレスとコラボレーションの先に見えてくる未来 古賀博文 70
エッセイ 屹立する精神 シェイマス・ヒーニー (訳)水崎野里子 76
感想的エセー「海の風景」U 岡本勝人 82
シルヴィア・プラスとテッド・ヒューズ 野仲美弥子 85
写真家 ロバート・メイプルソープの負の魔術 橋本征子 89
Aροτησ(アロテース)――詩人であるということ(2) 森田 薫 94
口を閉ざす キム・リジャ 98
詩に支えられて うおずみ千尋 99
詩集評 自他合一の力学を考える――引用から掠奪まで―― 溝口 章 102
海外の詩 『アレス・ステナール』 イヴ・ボヌフォワ 清水茂訳 110
詩集『カラス』より テッド・ヒューズ 野伸美弥子訳 116
詩集『騎兵隊のボレロ』(一九八五)より ペドロ・シモセ 細野豊訳 120
水の上に書いた詩/別れの歌他 チョン・ホスン(鄭浩承)韓成禮訳 126
『エミリィ・ディキンスン詩集』より(九) 岡隆夫訳 130
詩集『日常生活の興奮』(第五〜七章)より ドニーズ・ジャレ 鈴木孝訳 134
推薦作品 「詩と創造」2005夏季号推薦優秀作品
翼のないものたちに 渡辺めぐみ 144
なくしたもの 山本聖子 148
韓国新進詩人 推薦優秀作品
靴/木 チェ・チャンギュン(崔昌均) 韓成禮訳 151
研究会作品 廃墟巡礼 弘津亨/お鼻が落ちた 仙波枕/押入れ 仁田昭子 154
おなじようなひとがいる 清水弘子/恵比寿の日 岡山晴彦
二月の風は、うた 高橋憲三/視ていたものたち 高橋玖未子
チーズ 金屋敷文代/生前仮装 川原よしひさ/追跡者 大原勝人
行き違い おしだとしこ/回る 吹野幸子/蕾を 坂田トヨ子
選・評 今辻和典・山本十四尾
全国同人詩誌評 評 古賀博文 168
青春青樹社の本 中桐美和子詩集『燦・さんと』/相場栄子詩集『かくし色』 172
書評 河上鴨詩集『海辺の僧侶』/チェ・ヨンミ(崔泳美)詩集(韓成禮訳)
評 こたきこなみ
白いもの 山本十四尾
明日は父母のところに戻れるという疎開先での夜 少年は高熱
を出した 胸がむかつき腹に蚯蚓が這う悪寒がして 一気に吐
いた 白いうどんのようなものが三つ四つ洗面器のなかにあっ
た それはやがて動きだした 祖母が憎々しげに回虫を吐いて
と腰を砕いた すでに六十年余前の出来ごとである
明日は倒産だという夜 私は高血圧と高熱で半ば倒れるように
して横になっていた 胃がしぼられる痛みと喉の異常な渇きと
痙攣がひとつになって猛然と吐いた 便器の水のなかに白いも
のが沈んでいた 疎開先での演出物に似ていた しかしそれは
静止したままであった 連日のうどんの残骸であった
吐いたあとは清康な日日がすぎていった 生きていくための少
しばかりのお金と時間と自由があればよい という人生観に白
いものたちが変えてくれた さて次に吐くときはいつかと自問
する 下り坂なのにペダルを踏まなければ動かない自転車のよ
うな自分と気づいたとき 私はまちがいなく吐くであろう 終
の白いものである 私に残された白いもの それは静虚な精神
しかないと思わせて ななその朝がある
−「墓地」に発表一部改稿
「吐いたあとは清康な日日」はいつまで続くのか。それは「下り坂なのにペダルを踏まなければ動かない自転車のよ/うな自分と気づいたとき」だと謂っています。「私に残された白いもの それは静虚な精神」であると言えるまでにどれほどの時間が必要だったのかと思います。「ななその朝」ですから、やはりそこまで言えるようになるには70を過ぎるか迎えるか、それだけ必要なのでしょう。人生の大先輩が吐露≠オた作品に魅了されています。
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