きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.8.3 | ||||
馬籠「藤村記念館」にて | ||||
2005.8.1(月)
今日から8月。私の夏休みは8月3日からですから、8月になるのが待ち遠しかったですね。8月の声を聞いて、ようやく夏休みが近づいたという実感が出てきました。
と、8月22日に書いている、このそらぞらしさ(^^; 実感は、ようやく8月の日記に突入できたぞ! です。遅れをだいぶ挽回しましたけど、まだまだですね。早く1週間遅れ程度にしたいとがんばってます。
○詩誌『ひを』4号 | ||||
2005.7 | ||||
大阪市北区 | ||||
三室 翔氏 発行 | ||||
286円+税 | ||||
<目次>
古藤俊子 不意打ちの光 2
花のためのメモ 4
七夕 6
滝 悦子 署名 8
薔薇の実 10
三室 翔 転居 14
写生 16
後記 20
署名 滝 悦子
それは
気づいたときには ぽっかりあって
こっそりのぞいては
猫撫で声で呼びかけてもみたが
うんともすんとも、で
家に帰りたくない病と
買物依存症
一日三十本のタバコをやめていたら
いくら貯まっていたか、のような
不毛な計算も飲みこんで
そこにあり
オーイと言えば オーイ
さようならと言えば さようなら
ナンデヤネンと言えば ナンデヤネンのまま
ぴったりあって
西風が吹く日など
探していたはずの
抜け穴かもしれないと思ってもみるが
深さ、質感とも依然不明
静かな夜
すでにあった名称以外に意味を持たない
そのところへ
シュールにサインをした
どこで「署名」が出てくるのかと思っていたら、最終連にありました。問題は「それ」は何か?でしょう。いろいろ考えてみましたが詩≠たりが無難かなと思います。あるいは詩精神≠ナも可かな? 請求書≠ナは即物的過ぎますね(^^; 正直なところ、よく判りません。種明かしをすれば、なーんだ、そんなことか、となるかもしれませんね。おもしろいんですけど悩みます。
○詩誌『黒豹』109号 | ||||
2005.7.30 | ||||
千葉県館山市 | ||||
諌川正臣氏方・黒豹社 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
諌川 正臣 湾をめぐる風景 2
一初夏一
早春の風 3
西田 繁 風 4
梅雨期 5
よしだおさむ ト ゲ 6
初 夏 7
こ おもて
前 原 武 小 面 8
女の能面 9
山口 静雄 山法師 10
ホーストラム
富田 和夫 マン島の鉄道馬車 11
杉浦 将江 神戸にて 12
松の葉 13
編集後記 14
梅雨期 西田 繁
湿った空気が 首すじをなめ
こころの芯まで じっとりまつわる梅雨どき
縁側で 膝抱いて 外をながめている
畑いじりは 今日も無理
暇にまかせ アルバムなど持ちだして
フィルム巻きもどす気持で 古いものから順に見る
姉・妹・弟 そろって日なたで 笑っていたり
風邪ひいたとき 蚊帳ごしに
うちわで風送ってくれた おばさんの顔など
どれもこれも 止った時間の中で なつかしい
中に たったいち枚だけある
両掌を 前でかるく交叉させ
首かしげ 立ちすがたで 頬笑んでいるあの人
十年ひと昔を いくたび重ねたか
どこかで 達者にくらしているだろうか
「いまも ここにいます」と こちら向いている
誰もが 若くわたしの前に現れる
思い出のぎつしりつまった一冊ずつと
無言の会話かわすのも 梅雨期なればこそ
商売絡みの感想で申し訳ありませんが、この作品には救われます。私の生業は写真フイルム会社勤務です。デジカメの影響で銀塩写真の落ち込みがひどくて、現在、生産規模の縮小に入っています。会社としては他に儲かる分野が出てきましたので、黒字の確保に問題はありませんが、私も長く銀塩写真の分野に関わっていましたから、精神的に辛いものがあります。それでも、写真の良さは絶対残ると思っていますので、こういう作品に出会うと嬉しいですね。まったく私的なことで、すみません。
作品としては「『いまも ここにいます』と こちら向いている」というフレーズに魅かれます。「誰もが 若くわたしの前に現れる」のは写真の他にビデオもありますが、被写体が何も言わず、こちらの想像力が試される写真に勝るものはないかもしれません…すみません、また商売の感覚が出たようです。感想にもなっていなくて恐縮です。
○湧彩詩誌『彩工房』16号 | ||||
2005.5.5 | ||||
栃木県茂木町 | ||||
湧太、釉彩氏 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
湧太 釉彩
ゆうた ゆうあい
普通の夜 月兎 冒涜と神聖の迫間で
あかあの 蛍火 炎
裸木 つゆ草 能面
春光 鳳仙花 あともどりできない
回廊 水の器
まんだら 杭
風の音に 剥落
目覚め ぜんまい仕掛けの
佐助 日傘
那珂川 能仁寺
帰途 藤の野
恐竜 報国守
羽虫 化粧坂
残暑 たまゆら
秋分点 花の迷路
縁結び 大壺
彼岸 雨だれ
春雨 二月の風
時雨 小鹿田の唐臼水車
失踪
月の花
月光
いの字
このように
冒涜と神聖の迫間で (釉彩)
赤い鳥居が目にしみる
男と女の暗い影が
冒涜と神聖のへ迫間を
踏みはずしていく
誰も犯すことのできない
佐助神社の薄暗い本殿裏
背後から挿しこまれる大輪の葉先は
嫉妬にもえる炎か
裸身の奥に澱む
おとこの影を打ち砕くように
強く 烈しく しめあげる
境内から かすかに聞こえてくる
鈴の音色 合掌の音
熱い唾液で溶かされた
夢のうちそと
蜉蝣のように
ゆらゆら ゆれている
明月院で手折れた
一輪の紫陽花
あでやかな
青紫色の染めぬかれて
赤い鳥居の参道を
からころ
からころ
ころげ堕ちていく
「湧彩詩誌NOl 堕ちる」一九九六年九月一六日
今号は1996年9月の「堕ちる」から2004年9月の「三十一文字」まで32誌を発行した記念として、抜粋した作品を載せているそうです。ここでは、その記念すべき第1号の作品を紹介してみました。まさに「冒涜」であり「神聖」である湧太氏、釉彩氏の出発をうたった作品と云えましょう。世間的にはいろいろあるのかもしれませんが「誰も犯すことのできない」決意が描かれていると思います。
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