きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2005.8.3
馬籠「藤村記念館」にて
 

2005.8.5(金)

 短い長野の旅も最終日。帰りの道すがら、欲張って「志賀山文庫」「豪雪の館」「無言館」を回りました。ついでに寄った「豪雪の館」は民族資料館ですから、豪農の家屋の立派さや什器の充実に圧倒されましたけど、お目当てはやっぱり「志賀山文庫」「無言館」ですね。

     050805-1.JPG     「志賀山文庫」は志賀高原を訪れたことのある文化人の筆蹟や著作を集めた資料館で、およそ16,000点が収蔵されているそうです。展示スペースの制約もあって、観られたものは1,000点ぐらいですかね。貴重な初版本は確かに多そうです。一番は竹久夢二の原画がウリかもしれません。付属の喫茶室で飲んだコーヒーが旨かったことが私には印象深いかな(^^;
     今回の小旅行で一番印象深く、来て良かったなと思ったのが、ここ、戦没画学生慰霊美術館「無言館」です。いずれ行かなくてはと思いながら機会がなく7年、ようやく思いが叶いました。
 戦死した画学生の絵は、かなり傷んでいて、それが彼らの傷心のようで、打たれました。若い画学生らしく、恋人や妹という若い女性を描いた作品が多く、しばらく見惚れていました。絵には確かに未熟なところが感じられましたけど、彼らの描いた質素で清純な女性の美を、現代では失われたものとして感じてしまいました。
 なかに「軍隊手牒」もあって、これは私が父親から譲り受けたものと同じですから、中に何が書いてあるか判っています。それを読んで彼らは戦地に赴き、そして死んだのかと思うと、感無量のものがありました。
 機会を作って、何度でも訪れたい美術館です。
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 これで私の夏休み・小旅行の部はオシマイ。残りの4日はひたすらいただいた本を読んで、HPの遅れ挽回に努めます。




季刊詩誌『新怪魚』96号
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2005.7.1
和歌山県和歌山市
くりすたきじ氏方・新怪魚の会 発行
500円
 

  <目次>
     福重正一 (2) 雲
     山田 博 (4) このうた
   佐々木佳容子 (6) スロ−モーション
     水間敦隆 (8) 遠望
     桃谷延子 (10) 介護日記 
うた
     寺中ゆり (11) ランボーの詩
     井本正彦 (12) 川原っ風
    中川たつ子 (14) 夏のひと
      AYA (16) 和風満高堂
   くりすたきじ (18) 風になる日
     岡本光明 (20) 失敗の時間
     上田 清 (22) 営為(三十三)
    曽我部昭美 (24) 生きる針
  福重正一追悼文 (26) 山田 博・くりすたきじ・上田 清

    表紙イラスト/くりす たきじ



    雲    福重正一

   雲が浮かぶ

   白い雲
   黒い雲
   灰色の雲
   輝く雲

   春には春の
   夏には夏の
   秋には秋の
   冬には冬の

   なつかしいのや
   悲しいのや
   美しいのや
   怖いのや

   雲が浮かぶ

            福重正一詩集「雲」より
               〔平成七年十月発行〕

 今号は福重正一氏の追悼特集になっていました。拙HPでお作を紹介させていただいたこともありますが、誠実なお人柄だったのではないかと思います。
 紹介した詩は10年前の詩集に収められていたようです。第4連が生きている作品です。「雲」への感情移入は一般的に行われることですが、通常は「なつかしい」とか「美しい」などひとつの感情に寄りかかるところですけど、ここでは四つ与えています。分析という即物性と、それを相対化した感情の組合せというおもしろい手法だと思います。
 ご冥福をお祈りいたします。




月刊詩誌『現代詩図鑑』第3巻8号
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2005.8.1
東京都大田区
ダニエル社 発行
300円
 

  <目次>
   川のうちそと      岡島 弘子 ……… 3
   日くらし        高木 護 ………… 7
   竹輪道         武田 健 ………… 9
   歩行者として      小野 耕一郎 …… 11
   湧き水スペイン     高澤 靜香 ……… 14
   ディスパラテスをわたる 高橋 渉二 ……… 17
   ウイスキー       倉田 良成 ……… 21
   真夜中の陸サーファー  山岡 遊 ………… 24
   白い花         春木 節子 ……… 27
   木の国 二       佐藤 すぎ子 …… 31
   朝焼けの道、丘の道…  枝川 里恵 ……… 35
   はじまりのために    山之内まつ子 …… 38
               表紙画 … 来原 貴美
                 『のうせんかずら』



    日くらし    高木 護(たかき まもる)

   たまにはね
   自慢させてもらいたくなってくるよ
   でもね
   自慢する何もなかったから
   わたしはね
   あなたよりも
   あなたよりも
   あなたよりも
   時間を自由に遣わせてもらったよ
   けちらず
   惜しまず
   何も考えずに
   その日の時間を遣わせてもらったよといいたいの
   遣われた時間もね
   ニコニコ顔で
   たのしそうに遣われて
   無駄遣いさん
   バイバイと消えて行ったよといいたいの

 こういう作品を見ると、私たちの「くらし」はどこかで間違っているのではないかと思ってしまいますね。いや、確実に間違っているのでしょう。「時間を自由に遣わせてもらった」のは子どもの頃だけで、成人してからは「けちらず/惜しまず/何も考えずに/その日の時間を遣わせてもらった」のは入院したときだけでしょうか。それさえも病院から管理されていましたけど…。
 この作品のおもしろいところは「遣われた時間」の側の視線があることです。重層的、複眼的にモノが見えるのは「時間を自由に遣わせてもらった」成果なのかもしれませんね。




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