きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.8.5 長野 | ||||
戦没画学生慰霊美術館「無言館」 | ||||
2005.9.1(木)
ようやく9月の日記に掛かれます。10月2日の深夜、あっ、もうすぐ3日(^^;
という時間です。
メモを見ながら9月1日を思い出しますと、工場再編がトピックスでしたね。10月1日付けで再編されると訓示がありました。弊社は国内に6工場、海外に3工場を持っていますが、海外は基本的には閉鎖の方向で、国内の主力工場も統合されます。私の勤務する神奈川県南足柄市の足柄工場と、小田原市の小田原工場が統合され神奈川工場になるということでした。直接の影響があるのは庶務分野で、まず、工場長がひとりになります(^^; これは大きいだろうなぁ。あとは事務部門の統合。生産現場は難しいので統合は先の話になるでしょう。
私が所属する部門は現在、弊社の屋台骨になっていますから、ここは聖域。でも、その中でも私の担当分野は弱小ですからどうなることやら…。とりあえず毎期の黒字を確保していますので、まあ、温存というところでしょうか。担当者間では分社も噂されていますので、実際のところはどうなるか判りません。ただ、個人的に言えることは、何処に行っても仕事は仕事。どうも私は基本的に仕事が好きなようで、仕事さえあれば何処でもいいやという気になっています。その強気がいつまで続くか判りませんけどね…。与えられた仕事、やりたい仕事を淡々とやるだけだと思っています。
○詩誌『プラットホーム』2番線 | ||||
2005.8.25 | ||||
東京都世田谷区 | ||||
宮本智子氏他・プラットホーム舎 編集 | ||||
300円 | ||||
<目次>
《詩》
チユーリッヒ空港ゲートE47 田中 聖子 4
米茄子の花は 田中 聖子 6
ネコとかつおぶし 宮本 智子 8
あなたの町を 宮本 智子 12
七夕 −織姫は語る− 近藤 明理 14
一人一人の山 近藤 明理 18
夏風邪 高梨 早苗 20
床柱 高梨 早苗 24
《エッセイ》
沈黙の花 田中 聖子 28
おっちょこちょいな樹下の二人 宮本 智子 30
幸せとはニャンぞや 近藤 明理 32
四つの音 高梨 早苗 34
七夕 −織姫は語る− 近藤明理
彦星に会いにいきました
だいぶ老けたなぁと思いました
むこうもそう思ったらしく
「あ、いらっしやい」と言ったあと
目をそらして
さっそくお茶の準備なんか始めました
きっと腹の中で
「もう俺にはピチピチした若い娘は訪ねてこないのか」
なんて思ったにちがいありません
だいたい若い頃から
一年間も女っ気なしで過ごしていたのかどうか
私は疑問に思っていたのです
でも、もうどうでもよくなりました
どうせ むこうも爺さんです
黙ってお茶でもいれさせましょう
それにしても
会いに行くまでの微かなときめきは
会ったとたんに ときめきでなくなるから不思議
若い頃は待ち遠しかった一年も
今では 「あら、もう一年たったの」
と面倒になってきました
なんとかロマンチックな気分をかきたてようと
「あの時はこうだったわね」と話かけても
彦じいが忘れていることも多くなってきました
昔は一緒にいたくて川を渡りました
今は早く家に帰ってくつろぎたいと思います
誰が悪いのでもありません
二人を隔てたのは時の流れ
天の川には失われた時が流れています
「織姫」と「彦星」という誰でも知っていることを素材にしていますが、お互いに「だいぶ老けた」状態にしたところがミソですね。この視点はユニークで面白い! それに、妙に俗人化させているところも成功していると思います。「一年間も女っ気なしで過ごしていたのかどうか/私は疑問に思っていた」とか「今は早く家に帰ってくつろぎたいと思います」というところは現実味があって佳いですね。「ロマンチックな」夢も「時の流れ」の中ではこうなるのだと、我が身にあてはめて読んだ作品です。
○詩と評論・隔月刊『漉林』127号 | ||||
2005.10.1 | ||||
東京都足立区 | ||||
漉林書房・田川紀久雄氏 発行 | ||||
800円+税 | ||||
<目次>
詩作品
原子野……………………………………………………池山吉彬 4
〈日常〉ヘ――12………………………………………坂井信夫 7
新著『野川物語』が家に届いて数日後………………遠丸 立 8
浜川崎の風……………………………………………坂井のぶこ 10
道化師(10)…………………………………………田川紀久雄 12
短歌
日本人民…………………………………………………保坂成夫 16
エッセイ
島村洋二郎のこと(14)…………………………………坂井信夫 18
雨は裸の花束 はしばみの実 マージナル(下)…酒井文麿 24
神と仏…………………………………………………坂井のぶこ 43
遠丸 立著『野川物語』に寄せて……………………………… 46
麻生知子の内的体験……………………………………青田 操 48
麻生知子との日々(2)……………………………羽田里加子 50
詩は感動だけがすべてではない……………………田川紀久雄 60
詩がもっと遠くなる…………………………………田川紀久雄 62
〈日常〉ヘ ――12 坂井信夫
……見知らぬ部屋に坐っていると、右から左
から犬のような猫のような動物がつぎつぎと
現れる。大小の差はあれ、ぼくの横をすりぬ
けざまに腕を噛んでは去ってゆく。痛みは、
ない。畳におかれた皿には餌が盛られ、かれ
らは一口だけ食べては、どこかへ消えてゆく。
すると背後から女の声が「あれは人工的につ
くられた動物だから牡でも牝でもないの。そ
れに食べなくても、ずっと生きているわ。あ
の餌は、たんなる儀式なのよ」と囁いてくる。
ふりむくが誰もいない。どうやらかれらは、
殖えもしなければ減りもしないようだ。排泄
もしないだろうから飼いやすいのかもしれな
い……朝がた、こんな夢をみた。寝酒を飲み
すぎて、そのあと真昼まで眠っていた。冥府
から戻ってもはや三年にもなるのに、まだこ
んな夢をみるとは――ぼくは雨戸のすきまか
ら漏れて来る光のなかで涙をながした。
「冥府から戻ってもはや三年にもなるのに、まだこんな夢をみる」「ぼく」が流した「涙」は「日常」というものの残酷さ、無常さを謂っているように思います。「犬のような猫のような動物」の解釈も難しいのですが、私には「ぼく」が見下したもの達の象徴と感じられ、その彼らに「腕を噛」まれていることは、「ぼく」の負い目の表出ではなかろうかと思われます。「雨戸のすきまから漏れて来る光」は希望の象徴かもしれませんね。それ故に「涙をながした」と採ることは無理があるでしょうか。今回は「12」ですが、一度「1」から通して読んでみる必要があると思った作品です。
○隔月刊詩誌『サロン・デ・ポエート』257号 | ||||
2005.8.25 | ||||
名古屋市名東区 | ||||
中部詩人サロン編集・滝澤和枝氏 発行 | ||||
300円 | ||||
<目次>
作 品
虹 ……………………………… 滝澤 和枝 …… 4
眼(ま)炎(かがや)く ……………………… 甲斐 久子 …… 6
へ デ ラ …………………………… 小林 聖 …… 7
いのちのおと ……………………………… 伊藤 康子 …… 8
ラ ベ ン ダー ………………………… 高橋 芳美 …… 9
Kさんの教訓 ……………………………… 阿部 堅磐 …… 10
親 指 ……………………………… 足立すみ子 …… 12
はなももの里便り ………………………… 三尾みつ子 …‥ 13
詩 人 の 炎 …………………………… 野老比左子 …… 14
引き算と足し算 …………………………… 荒井 幸子 …… 16
待 合 室 ………………………………… 横井 光枝 …… 17
わが魂のつぶやき ………………………… 阿部 堅磐 …… 18
約 束 手 形 …………………………… 稲葉 忠行 …… 22
二〇〇五年のサテエロス ………………… 古賀 大助 …… 23
散 文
コトバ・レンジャー(2)空と孤独と …… 古賀 大助 …… 24
同 人 閑 話 …………………………… 諸 家 …… 25
詩話会レポート……………………………………………………… 28
受噌誌・詩集、サロン消息、編集後記
表紙・目次カット ………………………… 甲斐 久子
引き算と足し算 荒井幸子
男は毎朝ひげを剃る
まるで路傍の雑草でも刈るように
そして わざわざ
素顔をむき出しに
女は毎朝鏡に向い
まるで手品師のように小物をとり出し
そして わざわざ
第二第三の顔を
男のひげ面と女のスッピン
不精という枠でくくられ
一方はあるものを剃り落し
一方はないものを上塗りする
引き算と足し算で生れる
男と女の面構え
素顔が一番美しい……と
言ったのは誰だったろうか
全てこの世は凹と凸でなければ
帳尻りが合わないのかも――
考えてみれば、確かに「男のひげ面と女のスッピン」は「不精という枠でくくられ」てしまいますね。「素顔が一番美しい」のかもしれませんが、髭を伸ばしている私でも伸ばしていない部分は剃らないと落ち着きません。それはそれとして「男と女の面構え」は「引き算と足し算で生れる」のだという発想はおもしろいと思います。「全てこの世は凹と凸で」「帳尻りが合」っているのだなと納得した作品です。
(9月の部屋へ戻る)