きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.8.5 長野 | ||||
戦没画学生慰霊美術館「無言館」 | ||||
2005.9.22(木)
環境ISOの本審査が11月に予定されていて、その予備段階とも云える内部監査が行われました。社員同士の相互指摘のようなものですが、内部事情を良く知っているだけに外部による本審査よりも厳しいかもしれませんね。昨年の内部監査で私の担当部署が指摘されていますから、今回はその後の状況説明を求められました。もちろん指摘されたところはちゃんと対処していますので、問題なしの判定をいただきました。やれやれ、です。
結局、朝の9時半から午後3時半まで付き合わされて、本来の仕事はそれが終ってからというありさま。世の中では、ISOは本当に必要なのかという意見も出始め、認定を返上する企業まで現れています。実際にISOに関わってみると、確かにその気持は判ります。でも、認定返上した企業はISO以上のことをやっているから出来るわけで、当社はそこまで行っているかな? 私個人としてはISOによって考え方を教えてもらっているというのが現状です。無駄にはしないつもりです。
○詩誌『複眼系』37号 | ||||
2005.9.25 | ||||
札幌市南区 | ||||
ねぐんど詩社・佐藤 孝氏 発行 | ||||
500円 | ||||
<目次>
涼 …………………………… 米谷 文佳 ………… 2
朔月 ………………………… 米谷 文佳 ………… 3
夏の日 ……………………… 本庄 英雄 ………… 4
薄野点景 …………………… 佐藤 道子 ………… 6
夏の周辺 …………………… 渡辺 宗子 ………… 8
損・得 ……………………… 鈴木たかし ………… 10
守るために ………………… 鈴木たかし ………… 12
鱗粉 ………………………… 常田 淑子 ………… 14
誰もいなくなった ………… 常田 淑子 ………… 15
羊蹄山 ……………………… 高橋 淳子 ………… 16
五月 ………………………… 高橋 淳子 ………… 18
はる ………………………… 高橋 淳子 ………… 19
旅にしあれば ……………… 金崎 貢 ………… 20
チョコレート ……………… 金崎 貢 ………… 22
風韻空し …………………… 金崎 貢 ………… 23
帰路 ………………………… 金崎 貢 ………… 24
里芋 ………………………… 金崎 貢 ………… 25
問答 ………………………… 水谷 ………… 26
朝の挨拶 …………………… 水谷 ………… 28
簡易トイレ ………………… 佐藤 孝 ………… 30
敵前逃亡 …………………… 佐藤 孝 ………… 32
君子ラン …………………… 佐藤 孝 ………… 34
月下美人 …………………… 佐藤 孝 ………… 36
裂けるいっしゅん ………… 佐藤 孝 ………… 38
名簿 ……………………………………………………… 39
表紙写真「白樺のある道」佐藤 孝
敵前逃亡 佐藤 孝
国道を横断中
途中の分離帯で信号が赤になった
仕方がないので 街路樹のある島に立っていると
突然、グァンと頭に衝撃を感じた
すわッ 脳卒中か と思った瞬間
勝ち誇った 黒い都市生活者が
グワワァ グワワァ と
街路樹のなかに身をかくし
目だけらんらんと光らせている
先ほどの攻撃で奪われた 帽子が
国道のアスファルトに放りだされ
車が容赦なく ひき潰していく
畜生!と歯軋りしたが
敵は無法者
信号なんか 赤であろうが黒であろうが関係ない
動きのとれないこっちの弱みにつけこんで
再攻撃を仕掛けてきそうだ
進むもできず、退くもできず
<われ進退窮す>
サイパン島の声を聞いた
そのとき グワワァ グワワァ と突撃の声
ぼくは頭をかかえてしゃがみ込むと
頭上を 風を切って過ぎる黒い飛行体
<ああ われ進退窮す>
天皇陛下万歳か オカアサン! かと
心中 決断しがたく前方を見れば まだ赤!
人間は不自由だ
法は傲慢だと地団太ふんでも
ごうごうと車は通るが
<不運にかかわれば不幸を呼ぶ>
<気付かなかったと逃れ思想の日本>
一切 救援の望みはなし
グワワァ グワワァ と再々攻撃の鬨の声
すわッ と頭をかかえれば
やっと 青
無残に虐げられた帽子を拾うと
いっさんに逃亡した
何が「敵前逃亡」なのかと思ったら鴉の攻撃からの逃亡だったのですね。「分離帯」の「街路樹」に巣作りしているようです。そんな「無法者」に対して「法」に縛られる「人間は不自由だ」とするところが面白い視点です。「
<われ進退窮す> サイパン島の声を聞いた」とは、さすがに戦争体験世代、私などでは考えもつきません。そこで「敵前逃亡」という言葉になるのかと納得しました。
○結城 文氏共著対詠歌集『空の白い花』 | ||||
英語・対詠歌集 | ||||
2005.8.23 | ||||
東京都千代田区 | ||||
万来舎刊 | ||||
1700円+税 | ||||
<目次>
緒言 成城大学名誉教授 松浦 暢 5
Time 時 9
Mood Indigo 青の感じ 21
Spirit
of Water 水の精霊 33
Season of
Love 愛の季節 45
Path
of Wind 風の道 57
Autumn Journey 思秋期の旅 69
Parallel Memories パラレル・メモリーズ 91
in Childhood 子供時代 92
in Youth 青春時代 102
in Maturity 熟年時代 108
Island Songs 島の歌 115
Things Great and Small 大きな生き物・小さな生き物 127
Animal Tales 動物物語 128
Insect Voices 虫たちの声 138
Time
for Cicadas 蝉の季節 144
Heavens Above 天球 151
読者の方々へ 結城 文 159
what is the color
of loneliness?
Pine mountain
in gathering dusk
as rain starts to fall*
Anna
寂しさの色とし問はば夕闇の迫る松山に雨の降るとき
*inspired by priest Jakuren’s famous tanka
a lonely color is
rain on roofs reflecting
evening twilight
this train
has a destination
Aya
寂しさは夕ベの雨の屋根の色この電車には行く先がある
英語と日本語による対詠歌集です。日本語のタイトルは『空の白い花』ですが、英語では『White Flower in the Sky』となります。米国テキサス州ダラス在住のアンナ・ホーリー女史と航空便で短歌の遣り取りをしたことから空の白い花≠ニいうイメージがあったようです。日本語による短歌はもちろん定型ですが、英語で書かれても定型になるのだという理論的な裏付けのもとに編まれた歌集です。
紹介したのは「Time 時」にある、歌集冒頭の作品です。このアンナの作品について結城さんは次のように述べています。
この歌がこの本の発端、いわば源流の一滴と
もなる一首であった。注にあるように、これ
は僧の寂連の歌に想を得てできたとアンナは
いっているが、おそらく百人一首の「むら雨
の露もまだひぬ真木の葉に霧たちのぼる秋の
ゆふぐれ」の英訳を読んだのであろう。寂連
の歌は、端正な叙景歌だが、アソナはそれに
寂蓼の色を重ねた。寂連は俊成の甥である。
短歌にはまったくの門外漢ですが、こうやって英語と日本語で並べられると、人間の感性に与える言語の違いは、思っているよりも少ないのではないかと感じます。「what is the color/of loneliness?」、寂しさの色とは何色だろう? と問われるとき、そこには日本人も米国人もなく、同じ人間としての感覚で考えるのだということに改めて気付かされます。「this train/has a destination」と転調する感性にも人種差はありませんね。この転調が判る、判らないは人種差ではなく文化の度合い差だけなのだと云えましょう。面白く勉強させてもらった歌集です。
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