きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.8.5 長野 | ||||
戦没画学生慰霊美術館「無言館」 | ||||
2005.9.28(水)
終日、会議。最後の会議は17時から19時半まで。朝7時半から出勤していますから、正真正銘の12時間勤務ですね。ま、それだけのことです。
○詩誌『燦α』臨時別冊 | ||||
2005.10.16 | ||||
さいたま市北区 | ||||
燦詩文会・二瓶 徹氏 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
長谷川清一郎 母の処に 2
肺ガン検査 1 2
肺ガン検査 2 3
肺ガン検査 3 4
死 4
寿命 5
二瓶 徹 あの時と 5
しなやかに 7
どこへ 7
ひもん 8
希求 9
振り返る 11
花嫁は魔女 11
堀井 裕子 ゴスロリ 14
金子万里子 雨音 15
堀田 郁子 わさび田 15
つばめが帰る日 16
花占い 17
大潮の日 18
二瓶 徹 老いを控えて 生きる意味 19
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後記
雨の夜 金子万里子
雨の音が聞きたくて ラジオを消す
青空が少し疲れてきて
二週間ぶりで降った
夏の気まぐれな雨
サラサラと降って野を潤す
その自然の奏でる夜想曲
やさしい雨音に
私も書きそびれていた手紙を書こう
夏の夜の「やさしい雨」。その雨は「青空が少し疲れてきて」降ったのだ、とするところが見事ですね。その「雨の音が聞きた」いという気持がよく伝わってきます。最後の「書きそびれていた手紙を書こう」も佳いと思います。自然現象に促されて、人間の心がやさしくなっていくことに納得させられます。短い詩ですが、精神の拡がりを感じさせる佳品だと思いました。
○季刊詩誌『竜骨』58号 | ||||
2005.9.25 | ||||
さいたま市桜区 | ||||
高橋次夫氏方・竜骨の会 発行 | ||||
600円 | ||||
<目次>
<作品>
右と左 小野川俊二 4 木洩れ日 今川 洋 14
蝶の幻想 内藤喜美子 6 真夏の夜の夢 西藤 昭 16
死ノ夢 松崎 粲 8 一九四五年 横田恵津 18
飯(いひ)をくひくひ ひだるさ 木暮克彦 10 錆 森 清 20
影たちの墓所 良津功三良 12 真夜中の紙芝居 島崎文緒 22
☆
痛棒(つうぼう) 松本建彦 24 さざ波立つ皮膚 高橋次夫 32
貴婦人の帽子 初沢澪子 26 視 差 高野保治 34
まやかし 庭野富吉 28 口中感覚 友枝 力 36
新しい眼鏡 河越潤子 30
<羅針儀>
『篠竹』をよむ 木暮克彦 38
友情は国境を越えたか 西藤 昭 42
日本橋室町あたり(U) 高野保治 47
<書 窓>
『岩佐なを詩集』 木暮克彦 53
千早秋一郎『いちゃりば ちょうでー』 木暮克彦 54
関富士子『音の梯子』 高橋次夫 55
海嘯 「従う」ことについて 友枝 力 1 題字 野島祥亭
編集後記 56
新しい眼鏡 河越潤子
昨日
新しい眼鏡を買った
世界地図をひろげて
殺戮の行われている国は 何処だろうか
飢餓で苦しんでいる国は 何処だろうか
伝染病で苦しんでいる国は 何処だろうか
もう一度 確かめる
新しい眼鏡は
今まで見えなかったものを 写し出した
だが困ったことに 部屋中の小さな埃まで見えはじめた
すると 突如
空から *星めぐりの歌が聞こえてきた そして
宇宙飛行士が 微笑みながら 語りはじめる
「地球は碧かった」
「息をのむ美しさだ」(夜目遠目笠のうち)
限りない夢を持った 類い稀な人材が 今
古い革袋に入って 地球の回りをまわっている
もし飛行士が 高性能のレンズで俯瞰すれば
累累たる無辜の民の屍 餓死者 病人
汚れた海に発生した奇怪な生き物を見るだろう
それは 息をのむ光景に違いない
地球上では 少年達が 無邪気に叫んでいる
「僕たちの灯した灯(あかり)は 見えましたか?」
間もなく 月旅行の切符が発売される
* 宮澤賢治童話集「銀河鉄道の夜」より
「新しい眼鏡」で「殺戮」「飢餓」「伝染病」が見えるという発想がユニークです。それを「宇宙飛行士」にまで拡げるところが現代と云えましょう。その宇宙船を「古い革袋」としているところは作者の見識の高さを示していると思います。新しい酒は新しい革袋に、と謂うのが本筋なのですが、「類い稀な人材」は古い酒なんですね。納得させられるところです。作者の柔軟な思考に敬服した作品です。
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