きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.10.9 栃木県 | ||||
道の駅「もてぎ」にて | ||||
2005.10.4(火)
珍しく研究所の実験室に行って、終日実験をやっていました。普通なら部下の女性にお願いするような内容なのですが、今回は70℃と80℃の熱水を使うことになって、これは自分でやらないとマズイなと判断した次第です。若い女性が火傷なんかしたら大変ですからね。その点、中年の男なら大丈夫(^^;
熱水の蒸気が天井の火災報知器に達すると、これまた大変。幸い、そんな事態も起こらず無事に終了しました。それにしても机にかじりついてパソコンに向かう仕事より、何と健全なことか! 実験をしている時が一番好きです。
○『関西詩人協会会報』39号 | ||||
2005.10.1 | ||||
大阪府交野市 | ||||
金堀則夫氏方・関西詩人協会事務局 杉山平一氏 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
1面 関西詩人協会総会ご案内
2面 第三回詩人協会賞選考経過と総評
3面 大阪中央図書館を訪ねて
規約改正
4面 会員の活動・イベント
俺とあいつ 佐山 啓
俺とあいつとはいろいろ違う。あいつ
は古くなった靴下や下着を洗ってか
ら捨てる。俺は古い靴下でもパンツで
も捨てる前にはく。はいてから捨てる。
あいつが捨てる前に洗うのは女らし
い感情があふれていていいものだ。た
だ洗うのは俺の仕事だが。
俺は捨てるつもりではくのだが捨て
る前になるとまた洗ってしまう。今度
こそは捨てようとはくのだがやはり
洗ってしまう。なんやかんやしている
うちについに捨てるときにはもうく
たくたにくたびれている。気に入りの
ものはさらにひどい。靴下は必ず穴が
開いている。下着は擦り切れてぼろぼ
ろに破れている。急ぎのときには破れ
た穴を使ったりする。
物持ちがいい点ではあいつも俺に似
ている。あいつは胸当てを二枚しか
持っていない。毎日欠かさず洗うのが
俺の愛情の印だ。ひたすらくたびれた
するめのような胸当てを干す。真新し
いものは小生意気な見知らぬ若い女
がいるようでどこかよそよそしいが
くたびれた胸当ては慣れ親しんでい
とおしい。俺への一途な思いすら感じ
る。あいつの俺への愛情を人目にさら
さないように俺のシャツの背中の影
に洗濯バサミでしっかりと止める。
穴あきパンツとするめの胸当てが人
目を忍んで物干し竿に並んでぶら下
がっている今日もいい天気だ。
紹介した詩は「第三回関西詩人協会賞」の最優秀作品です。佐山さんらしい生活に密着したユーモアが表出した作品で、散文詩も奏功していると云えるでしょう。特に「真新し/いものは小生意気な見知らぬ若い女/がいるようでどこかよそよそしいが/くたびれた胸当ては慣れ親しんでい/とおしい。」というフレーズが私は好きですね。「小生意気な見知らぬ若い女」とは、よくぞ言ってくれたと思います。最終連の「今日もいい天気だ」は佐山節と云えましょう。選考委員会の見識の高さに敬服した作品です。
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