きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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2005.10.9 栃木県
道の駅「もてぎ」にて
 

2005.10.14(金)

 今日はもともと休暇予定でした。脳梗塞で入院していた親父をリハビリ専門の病院に転院させるつもりで取っていたものです。しかし、私の体調が優れず一日中寝ていました。親父の方は妹に頼んで転院させてもらいました。
 この3日間会社を休んでしまいましたが、なかなか復調しません。困ったものです。




○野村良雄氏詩集通いなれた道で
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2005.10.1
北海道函館市
雨彦の会刊
1500円
 

  <目次>
   影絵 8       夕日の土手 10
   物干し竿 12     もはや夏が来て 15
   あなたの雲 18    通行人 21
   通いなれた道で 24  やがて雪がくる 27
   沼の霧には 30    押し葉 32
   橋 T 34      橋 U 36
   ぶらんこ 38     暑い日に 40
   眠れない夜 42    滑り台 45
   道端 48       そう思うことで 51
   ぼくのくじゃく 54  静かな夜に 57
   夕凪 60       羊雲 63
   教室の窓 65     土用波 68
   電車 70       夕かげ 73
   花 76        小雨の橋 79

    あとがき 83    装丁 安田梨恵子



    通いなれた道で

   通いなれた道で
   ふと 道が分からなくなる

   川向こうの
   とおくの空がとてもおそろしい

   道はすっかりなくなっていて
   とおくの空がひっそり呼吸していて

   小鳥だけが鳴いている

   通いなれた道なのに
   だから行き迷うのかも知れない

   おそらく小鳥だけが気づいているのだ

   そこからは動かないほうがいいというように

   どこか見知らぬ遠い道のような午後は
   だまりこくっている

   やがてぼくのところに立っているこえのない誰かが
   しきりに話しかけてくる

   道がなくとも歩きつづけろ
   そんなふうにも聞こえてくる

   このまま歩きつづけることで
   何が始まるかはわからない

   わからないままに歩きつづける

 タイトルポエムを紹介してみました。「通いなれた道なのに/だから行き迷うのかも知れない」という視点はおもしろいと思います。こういう感覚に私も襲われることがあって、巧く詩にしたなぁと感心しています。そうやって私たちは「わからないままに歩きつづける」だけなのかもしれませんね。
 2行、1行という組み合せですが、ほとんどの作品がその様です。これが著者の呼吸なのでしょう。心地好い呼吸に惹きこまれた詩集です。




総合文芸誌『葦』23号
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2005.11.1
三重県度会郡玉城町
村井一朗氏 発行
非売品
 

  <目次>
   □詩  失題         滝川 勇吉…2
       蝉          砧  公司…4
       すくすくさん     武藤ゆかり…14
       メッセージ      佐野みゆき…18
       土の声        岡田千香代…26
       His t o r y  伍東 ちか…28
       おもい        池田 みち…36
       失われた都市     松沢  桃…38
       ふくろう/骨の声   村井 一朗…44
   □俳句 赤とんぼ       辻本  正…12
       父憶ふ        辻本久美子…13
   □短歌(遺作)発足      東  季彦…24
   □川柳 寿の羊彙       東川 和子…8
   □評論 メタモルフォーゼ   佐伯  晋…30
   □エッセイ
    峠の向こうへの手紙(5)   中田 重顕…10
    詩人の恋(29)「谷川俊太郎」 清水  信…20
    清水信・人と作品(14)    麻生  俊…22
    ここだけの話(21)      松嶋  節…41



    
マチュピチュ
    失われた都市    松沢 桃

   百年に一度
   雄叫びをあげ
   ゆれうごめく地
   あとは
   ものいわぬねむり
   インカ時代をはさむ
   前後の二千年以上
   石積みは
   一分の狂いもない
   元のしずけさ

   
アンデネス
   段々畑
   暮らしをささえた
   ジャガイモ
   トウモロコシ
   ユカ
   キノア
   コカの葉などを
   栽培
   いまは
   アルパカとリャマが
   草をはむ

   四百年も
   空中の孤児だった
   翼をひろげた
   死せる
   石造
(いし)のコンドル
   みどりの風
   あおい峰々
   すんだ天空
(そら)
   に
   まもられた
   要塞都市

   遺跡に
   兵器は発見されていない

   黄金伝説
   インディヘナ文明
   インカ道
   ウルバンバ川がめぐる

   マチュピチュ
   二二八○メートル

   
ざわめき
   観光客が消え
   わたしの現し身も
   影と蒸発

   さまようは夢のつづき

 おそらく実際に「観光客」として「マチュピチュ」に行ったのだと思います。この、消えた文明については色々と文献も出ていますし映像でも流されていますが「遺跡に/兵器は発見されていない」というフレーズに改めて注目しますね。争いを避けた果ての「二二八○メートル」だったのかなと思います。
 そんな古代都市と現代人である「わたしの現し身」が「影と蒸発」する、としたところは見事です。最終連の「さまようは夢のつづき」というフレーズも生きています。並の紀行詩ではない作品と云えましょう。




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