きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.10.9 栃木県 | ||||
「ツインリンクルもてぎ」にて | ||||
HONDA CB250 | ||||
2005.11.9(水)
定例の環境推進委員会は、いつも通り14時から17時の3時間が予定されていて、終わったのは17時半。さすがに3時間半の会議は長いと思いますね。現場の報告を聞くだけで2時間を越えていますから、どうしても長くなってしまいます。かと言って現場報告を聞かないで方針を決めるわけにもいきません。それに、やはり現場のナマの声が聞けるというのは良いものだと思います。本当は一緒に現場を見て一緒に考えたいんですが、それをやっていたら他の仕事が出来なくなるし現場担当者の力も付きません。ここはグッとこらえて2時間を耐えています。
要は報告が下手で、ダラダラしていることが問題だな。報告者は約10名。一人当たり6分にしてもらえれば1時間で済む計算です。6分で済むための指導をすると、、、、一人当たり1時間は掛かるなぁ、ダメだ、これは(^^;
○詩誌『海嶺』25号 | ||||
2005.10.20 | ||||
さいたま市南区 | ||||
発行人代表・杜みち子氏 海嶺の会 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
扉詩 河村 靖子 キセキレイ 1
詩 杜 みち子 遠い山・アデリアの木の下で 4
河村 靖子 黒姫T・黒姫U 8
桜井さざえ くらはしビーフ・はらから 11
植村 秋江 朝のベンチ・絵日記 16
散歩道 <身体>
桜井さざえ ゴンジイとノノさま 20
杜 みち子 私のコンプレックス 21
河村 靖子 身体からことば 23
植村 秋江 ゴッホ終焉の地で 24
雑記帳 26
編集後記 28
表紙絵・カット 杜 みち子
キセキレイ 河村靖子
張り出した六階のテラスを
キセキレイが 三羽
歩くように飛び
飛ぶように歩いている
低くても
空
「三羽」の「キセキレイ」の様子が見事に描かれています。「歩くように飛び/飛ぶように歩いている」という第2連がよく効いています。最終連は視線が「キセキレイ」のものに変わったとも受け止められ、ここがこの作品の魅力ですね。「六階のテラス」という「低」い「空」ながら「歩くように飛び/飛ぶように歩いている」「キセキレイ」が絵のように迫ってきます。扉詩としては申し分のない作品だと思いました。
○中原茶津菜氏詩集『時鐘』 | ||||
2005.11.5 | ||||
東京都港区 | ||||
新風舎刊 | ||||
550円+税 | ||||
<目次>
かげろう 4 時鐘 7
船乗り 10 中庭 12
田舎芝居 14 窓 17
誰が負けたのですか 20 カノポスのつぼ 23
結婚しない理由 26 黄水仙 30
雨 32 やっこ凧 34
縁日 36 残雪 38
港 40 沼 42
微笑みの貴公子が…… 45 貴公子 47
南十字星と乙女 48 心配なさるな 50
暮らし 52 山羊とえりまき 54
大学祭 57 画家志望 59
小言 62 らくだ 63
潮騒 64
あとがき 67
時鐘
誰が時鐘を鳴らすやら
ひとっこ一人いないのに
昼下がりの喫茶店
コーヒーの香りが
厨房からたちこめる
獅子(しし)門模様のつぼの
ほこりはふきとられ
窓の外ではトロイアの兵士たちが
疲れた顔で行き来する
ああ エルネスト・チェ・ゲバラ
いやいや似ても似つかぬお坊ちゃま
読んでいるのは おきまりの
経済学書エンゲルス
学生運動五年という本を出すとかのたまわく
プッと吹きだすのは
ローザ・ルクセンブルクではないのだった
信州信濃の名門息子
学生運動埋没し放校されて東京に来た
ああ おしまいだ なんまいだ
毎日ちちはは嘆くので
開くに忍びず東京にやって来たのさ
よっ お坊ちゃま
よもや 捨て身の青二才
ここぞと 捨てるエネルギー
あれはなんだかだれが知ろう
かくして 空きっ腹を煮干しを焼いて
しのぐにいたる大都会の暮らし
絶句した仲間が買い走った
パンドラという朝陽のあたるケーキ屋の
あんずのケーキを無粋な顔で食べていた
材木問屋のエンゲルス
信濃の田舎に帰ったか
デモの際中
いなくなったという話しは聞いた
その後うわさは聞かない
なんにも聞かない
誰が時鐘を鳴らすやら
ひとっこ 一人いないのに
コーヒーカップは温かく
読みさしの経済学書に
ガラス越しの午後の光が射していた
タイトルポエムを紹介してみました。著者のことはまったく知らないのですが「学生運動」などの言葉から私と同年代かなと想像しています。「時鐘」は、あの時代と現代をつなぐ喩として捉えてみました。新しい時代を切り開く合図の「時鐘」は見事に頓挫したわけですが、それをもう一度鳴らすのか? 第1連の「誰が時鐘を鳴らすやら」というフレーズと、最終連のそれとの間には30年という時間が流れているのだと受け止めました。著者の意図とは違うかもしれませんが、そんな読みをした次第です。日本の現代史という時代を意識させる作品が多い詩集と云えましょう。
○北原千代氏詩集『ローカル列車を待ちながら』 |
2005.11.1 | ||||
東京都新宿区 | ||||
土曜美術社出版販売刊 | ||||
2000円+税 | ||||
<目次>
T
引越し 8 素描 10
ベルリン発特急 14 外国人アパートの夏 18
検査室 22 異郷の橋 26
入眠儀式 30 蒼ざめた午後 32
いただきます 36 氷点下の街 40
オルガニストの指 44 ローカル列車を待ちながら 46
U
居場所 54 掬う 58
奏楽の朝 60 かたち 64
離陸 68 眠る 70
風と抱擁 74 樹のひと 78
夕暮れビストロ 80 通奏低音(コンティヌオ) 84
絵描きの窓辺 88 軍手 90
薔薇はここに 92 日々の糧を 96
海とオルガン 100
解説 森 哲弥 106 おわりに 112
引越し
海沿いの街に
ビルの林があった
その街にわたしは
四年とひと月暮らした
街路樹の欅をゆすって
潮風が鳴っていた
樹木の根には
白亜紀の化石が住んでいた
梢にそよぐ欅の葉裏には
ミノムシの抜け殻がぶら下がり
地には貝塚があり苔があった
鳥とネコが
空と地とを往来していた
画廊の脇に紫の花が咲き
ブリキのじょうろから
朝の水をもらっていた
海沿いのその街に
わたしはもういない
そうしていつか地球上の
どの街からもいなくなる
著者の第一詩集です。ご出版おめでとうございます。
紹介した作品は巻頭詩で、「四年とひと月暮らした」「海沿いの街」は、あとがきによるとドイツ・マールブルクのようです。「樹木の根には/白亜紀の化石」、「地には貝塚があり苔があった」などのフレーズからその地を想像することが出来、凝縮された表現に驚かされます。「ブリキのじょうろから/朝の水をもらっていた」というフレーズも佳いですね。先入観かもしれませんが「ブリキのじょうろ」にヨーロッパを感じます。
この作品の魅力は、何と言っても最終連です。いずれ居なくなる私たちですが、この最終連にはそれを淡々と受け入れようという意志が感じられます。好ましい語り口です。
今後の益々のご活躍を祈念しています。
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