きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.10.9 栃木県 | ||||
「ツインリンクルもてぎ」にて | ||||
HONDA CB250 | ||||
2005.11.24(木)
休暇を取って県立病院に行きました。胸部のCTを撮ってもらっただけで診察は無し。結果は12月7日に聞くことなっています。CTは午前中で終るので、本当なら午前休暇にして午後は出勤すべきなのでしょうが、ここは一日休暇にしました。そうやって今まで会社中心に考えてきましたけど、こういう時は一日休む、という風に変わってきています。トシもトシなんだから少しは身体を労わらないと…。ようやく、その辺のコツが判ってきたようです。
○季刊詩誌『新・現代詩』19号 | ||||
2005.12.1 | ||||
横浜市港南区 | ||||
知加書房 発行 | ||||
850円 | ||||
<目次> 表紙絵「布団挟みとドアガードが演じる、受精の瞬間」=出海渓也
《特集》性の表現 表紙デザイン=佐藤俊男
評論 詩におけるエロス表現 松本恭輔 …6
エロスは時代の産物とみた 富永たか子 …9
サドが描いた理想の女性 細野豊 …12
江戸文学にみる多彩なエロス 出海渓也 …16
アンケート 「性について」 まとめ 西村啓子 …44
《特集詩》
火祭 水崎野里子 …20 無音の鼓動 三雲わたる …21
天皇の性 矢口以文 …22 ひと夏の体験 出海渓也 …23
おだ じろう 流れは止まらない …24 種馬 新井翠翹 …25
湯 草倉哲夫 …26 男と女 工藤富貴子 …27
アングルの月 轟 俊 …28 封蝋の愛 川原よしひさ …29
喪のアルカディアに聖なる行為 砂村洋 …30 業の花 斎藤彰吾 …31
夜なれば 相良蒼生夫 …32 呼吸 真田かずこ …33
キスのフライ 武西良和 …34 お地蔵様 西村啓子 …35
エロスの残像 野口忠男 …36 吠吼 藤寿々夢 …37
麦秋期 藤森重紀 …38 花に顔を 細野豊 …39
エロい話の大好きOL 松本恭輔 …41
〔訳詩〕ラグーナの女 レスリー・マーモン・シルコー 水崎野里子訳 …42
《詩作品T》
【遺稿】ある予感 南川比呂史 …56 カレンダー 三宅遠子 …57
片隅 丸本明子 …58 栗ひろい ゆきなかすみお …59
夏の幻影でなく 横田英子 …60 庭のなか 榎田弘二 …61
寄生虫 大田修 …62 想 紀ノ国屋千 …63
嘔吐 木村淳子 …64 <希望>
の不良債権化 黒川純 …65
三人姉妹 黒羽英二 …66 青春とともにあった海 小島禄琅 …67
水のかたちエスキス 鏡たね …68 花信 2 片岡美沙保 …69
万両 川端進 …70 峠 川端律子 …72
詩集 川村慶子 …73
〔時評・エッセイ〕★「不平等社会」に目を向けた市民力 黒川純…50/あかるく非情な〈見世物〉国家
若松丈太郎…51/残虐な良心―あるいは空想的平和主義 篠塚達徳…52/現実を踏まえ、第九条を堅持する
細野豊…53★自由に書けるということ 永井ますみ…54/しぶとく生き残る一九四〇年戦時体制 松本恭輔…55
《詩作品U》
神仙が棲んでいた渓谷 直原弘道 …84 指指幻想 宗美津子 …85
孤斟酔後作 斉藤宣廣 …86 宴のさなか 千葉龍 …87
働く人 津金充 …88 小春日和 富永たか子 …90
再世記 永井ますみ …91 独身はきら星 中原茶津菜 …92
窓・博物誌 七 中川敏 …93 あなたに恋して 南條世子 …94
熱帯夜 平岡けいこ …95 南鮮に七年住んで(二年目)福中都生子 …96
人体デッサン 働 淳 …97 コイズミお化け屋敷 マルヤマ・トシロウ …98
不眠 しま・ようこ …99
詩的前衛の新たな挑戦 中村不二夫 …74
■エッセイ・言葉の軽さ、暴力性 津坂治男…80/啄木を慕い続けた口語歌人川崎むつを 南條世子…81
『ナホコ種』とダライ・ラマの言葉と 宗美津子…82
◆メキシコ詩人を囲む会の報告 細野豊…103
●スピーチ・シケイロス―岡本太郎、ブルトン―メキシコ・シュールの女神たち 出海渓也…104
■書評・石川逸子『千鳥ケ淵へ行きましたか』斎藤彰吾…49/水崎野里子『二十歳の詩集』濱本久子…106
◆新・現代詩賞選考 中村不二夫…101/詩誌を読む 工藤富貴子…100/受贈詩誌・詩書…102/メル友通信…107
●扉…5/表紙のことば…102/合評会記 工藤富貴子…78/合評会案内…108/INFORM…102/編集後記…108
業の花 斎藤彰吾
中学校では教えない
お袋にも聞けない
「あそこはどこにあるの」
友達には女学校の姉さんがいた
「う−ん」 暫く考えていたが
思いついたらしく
友達はにんまりと頬をゆるめた
「探してみる 明日の帰り家においで」
姉の部屋から無断持ち出しの雑誌を一冊
秘密めく風呂敷に包み
ペダルを踏んだ
青い空の下
息せき切って自転車を走らせる
川の堤でおそるおそる女性誌を開く
図を見詰める 少年の指が
発情期を染めてふるえ続ける
おしっこをするところと
うんちをするところとの あいだに
それは ある
ぼくらはコロンブスの卵がやっと立ったので相好を崩した
谷間の草茂る付け根
ピンク色のつやがしばたく
ひとふさの業の花――
ぼくらの熱いペニスがそこで傘さして歌えば
いやというほど乳色の雨に濡れそぼり
奥の宮にまします卵子の同志と
六千万分の一の精子が愛しく出逢い
やがて赤ちゃんが生まれてくる出口だ
おお!そこは。
「《特集》性の表現」の中の一作です。「女学校」とありますから私(1949年生)よりもちょっと上の世代かもしれません。しかし、やっていることは同じですね(^^; 中学生の頃が一番興味津々で、悪ガキが集まってよく研究したものです(^^;; その成果があって、同級の女生徒から質問があったときは、放課後の教室で数人を相手に黒板に図解して説明しました(^^;;; 今は懐かして思い出です。
そうやって性を冷静に見られるようにならないとこういう作品は書けないかもしれませんね。おもしろい試みですが、文学まで高めるのはなかなか難しいと思います。その意味では紹介した作品はタイトルの「業の花」からして、良く書けていると言えるでしょう。私にはまだ書けそうもありませんが、いずれ書きたいものだと思った特集です。
○文芸誌『獣神』29号 | ||||
2005.11.21 | ||||
埼玉県所沢市 | ||||
伊藤雄一郎氏 編集 | ||||
1000円 | ||||
<目次>
十谷の山々 剛子・ページ ――4
二〇〇五・夏−中国 野田 悦基 ―――11
北京の想い出(二) 澤田 よし子 ――17
中秋の名月 桑原 正男 ―――30
銀次郎の日記 青江 由紀夫 ――33
詩 小さな母 他二篇 安倍 慶悦 ―――43
タブロー 阿部 克則 ―――44
ライン紀行 久 清美 ―――52
断絶(前編) 伊藤 雄一郎 ――70
老残は永遠なり(四) 通 雅彦 ―――118
後書き ―――――――――――――――144
カット●白石 陽子
母 安倍慶悦
限りない静かさの中に眠る母
絶望的な寂しさを湛えた瞳のきれいな母
力のない力で苦しみを耐えた母
必死でわたしにしがみついた母
貧しさと規則がわたしから母を突き離した
頬笑みを湛えた小さな母
もう振り返ることも話すこともない母
小さな母はひとり旅立っていった
母はやはり母だった!
後書によると作者の母上は94歳で亡くなったそうで、それを描いています。「必死でわたしにしがみついた母」などのフレーズは私も体験しており、共感しました。全ての行に出てくる「母」という言葉に作者の思いの深さが現れていると思います。
伊藤雄一郎氏の小説「断絶(前編)」は定年を迎えた男ともうすぐ子を産めない年齢になる女の、お互いの思惑が絡んだ不思議な恋愛¥ャ説です。前編≠ナあるから当然ですが、良いところで打ち切られて、残念。早く続きを読みたい!
○月刊詩誌『柵』228号 | ||||
2005.11.20 | ||||
大阪府箕面市 | ||||
詩画工房・志賀英夫氏 発行 | ||||
572円+税 | ||||
<目次>
現代詩展望 現代詩の遺産と継承 西田彩子と黒田えみの方法 … 中村不二夫 86
〈自伝的戦後詩観(12)〉 時代を見極め、明日へ … 津坂 治男 90
吉本隆明論(10)「修辞的な現在」 … 森 徳治 94
流動する世界の中で日本の持とは(14)リトル・トーキョーヘの道 … 水崎野里子 100
「戦後詩誌の系譜」26昭和46年54誌追補1誌 … 中村不二夫 志賀英夫 112
風見鶏・増田幸太郎 志崎 純 暮尾 淳 霧林道義 壷阪輝代
小島 禄琅 宙に扇を舞わせた男 4 織田美沙子 しなやかに したたかに 28
進 一男 愛は要りませんか 6 立原 昌保 秋 30
川内 久栄 うら枯れてゆく村 8 小沢 千恵 ローマの幽霊へ 32
宗 昇 旅 10 小城江壮智 理不尽 34
大貫 裕司 日当たりのいい芝生を 12 檜山 三郎 昭和二十年代の九州一周と部隊解散 36
山南 律子 生命をつないで 14 水崎野里子 古い旅行鞄 38
南 邦和 晩夏抄 16 安森ソノ子 狐 へ 詩劇4 41
肌勢とみ子 借 景 18 北村 愛子 改 葬 44
中原 道夫 会津下郷大内宿 20 山尾 管惠 追悼・夢は限りなく 48
中井ひさ子 はっきり 22 山口 格郎 新病名「認知症」を拒む 50
山崎 森 ふうけもん考 24 松田 悦子 深夜の高速バス 52
前田 孝一 傷ついた樋 26 平野 秀哉 どっこいしょ考 54
岩本 健 石 56 鈴木 一成 もういいよ 72
伍東 ちか 未完成なチョコレート 58 門林 岩雄 晩 夏 他 74
小野 肇 本読む人びと 60 今泉 協子 日曜学校 76
清水 一郎 ワタの木だった 62 佐藤 勝太 小さな庭 78
名古きよえ 生ぬるい風 64 野老比左子 森のファンタジア 80
高橋サブローもう「結構」 66 若狭 雅裕 師 走 82
徐 柄 鎮 山茶花 68 尚火詩人賞受賞作 王秀英・訳
川端 律子 転 倒 70 李 茂 原 私の石と孫娘の石 84
続・遠いうた 55 マイノリティの詩学 兵士の帰還 −兵士の母たち … 石原 武 104
コクトオ覚書 203 コクトオ自画像[知られざる男]23 … 三木 英治 108
東日本・三冊の詩集 菊地貞三『蛇がゆくように』 … 中原 道夫 120
石川逸子『千鳥ケ淵へ行きましたか』 松下和夫『えんこ』
西日本・三冊の詩集 工藤恵美子『テエアン島』 … 佐藤 勝太 124
津田てるお『岬まで』 宮崎八代子『薄墨桜』
受贈図書 受贈詩誌 127 柵通信 128 身辺雑記 132
表紙絵 申 錫 弼 屏 絵 中島由夫 カット 野口 晋/申 錫 弼/中島由夫
ふうけもん考 山崎 森
子どもの頃は無心に神、仏を敬っていた。 *
また勉強より遊びの方が面白く、この「遊び人間」の傾向はいま
も変っていない。
長男の兄は勉強以外はそれこそ何もしなかった。たぶん何もして
はならない格式の中で生きていたのかもしれない。
住込みの女中は祖母と一緒でないと外出しないので、雑用、使い
走りはぼくの役目であった。自転車に乗り、小遣い銭も貰えたの
で、峠を越え、隣村まで遠出することもあった。
祖父は松茸、椎茸、しめじの生える秘所をこっそり教えてくれ
た。そこへ行くときは、別の山から入り、獲物は目立たぬようし
て、別の山から出るようにと訓した。
二四番の猟銃も小学生のとき撃たしてくれたし、かすみ綱、籠、
筒、梁などで 鮠、鰻、蟹をとる術も教えてくれた。
祖父は投網の修理の手をやめ、煙管できざみ煙草を吹かしなが
ら、そげん学校の成績ば気にすることはなか、うちにゃ小作が耕
しとる田畑、山林もあるけん、無理に嫌な勉強ばして、ふうけも
ん*になることはなかと他人事のように云った。愛犬のエミールも
蹲っていた。ぼくは煙草の烟りの中に、仮面の告白の主人公に似
た幻影を泛べ、県立中学校へ行かねばと心の転轍機のレバーをそ
っと握った。
少年期の操車場のレールは蜘蛛の巣のようにはりめぐらされ、憧
れの姿は、短剣を下げた兵学校生徒からサーカスのオートバイ乗
り。芝居小屋の河原もんまで多彩であった。
そろそろ、チャンバラ映画の活弁や暗いカフェー覗きの悪戯も終
りにしようと決意したことが今とどう結びつくのか、茫としてい
る。だが未だに詩や石に嵌っているのはふうけもんかも……
*遊び人間(Homo ludens) 瘋(呆)気者の訛った佐賀の方言
「無理に嫌な勉強ばして、ふうけも/んになることはなか」というのは良いですね。片や「長男の兄は勉強以外はそれこそ何もしなかった」という人間がいて、今より人生の選択肢が豊富だったのではないかと思います。良い大学を出て良い会社に就職する、という図式は崩れつつありますけど、それでも道は意外と狭いのが現実でしょう。
「未だに詩や石に嵌っているのはふうけもんかも」しれませんが、それはそれで結構なことだと思います。一定の期間、社会に奉仕してきちんと働いたら後は「ふうけもん」になる、それが理想の姿だと思っています。今まではそれが曲がりなりにも実現していましたけど、これから先の私たちには保障されませんね。そんな余計な心配までしてしまった作品です。
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