きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
2005.12.23 群馬県安中市 | ||||
新島襄旧宅 | ||||
2005.12.15(木)
休暇を取って県立病院へ行ってきました。紹介された肺の専門医の診察を受けましたけど、問診だけでは何も判りようはずもなく、今後の予定を決めるだけでした。この年末にMRIを撮って、年始早々にそれを見て判断するというものです。ここのところ調子が良いので、このまま何もせずに、とも思いましたが、トシもトシですからね、ちゃんと診てもらうことに同意しました。会社を辞める前に、治すところは治しておくかぁ、とも思っています。
○隔月刊詩誌『鰐組』213号 | ||||
2005.12.10 | ||||
茨城県龍ヶ崎市 | ||||
ワニ・プロダクション 発行 | ||||
300円 | ||||
<目次>
〔連載〕
愛敬浩一●詩のふちで/『生き事』と『凶會日』の創刊5
村嶋正浩●詩のホスピス/志としての身体の崩壊17
〔作品〕
服部たく●イトーヨーカドー東久留米店−62
村嶋正浩●なんてたってあいどる4
福原恒雄●あきの花6
弓田弓子●ヨシノリサンの消息8
平田好輝●或る排掴12
利岡正人●前夜14
小林尹夫●棲息−2116
〔詩集評〕
愛敬浩一●利岡正人『早起きの人々』18
今号の執筆者/作品募集20
あきの花 福原恒雄
藪をつくるいきおいの繁茂に
花がついた
風が盗んでいく日もあるが
きょうは
持ってきたよと
二三本欲しいと言っておいたのに
十本も新聞紙に包んできた
欝陶しいね これだけあると
ヤな奴だ 好意は受けろと 友の顔から
真っ赤な舌がとんがる
林の中の野生のコスモスだから
元気いいぞ
馬頭観音と刻まれた石の塚の近くでな
まといつくやぶ蚊を叩きながら見つけた
むかしこの塚の近くで
首吊りもあった
長い茎 細い葉
きょうび伸び放題
疲れている奴にはぴったり
化身かもしれないがだいじに活けろ
さらっと ふるえる
夜目にも花は可憐であるが
眠りたい
眠い 眠いの
霧中に
聞こえるつぶやきは 何だ
ふるめかしい妖怪の足おとのように
膝関節を割る疼痛がたまっているおれへ
元気づけか からかいか
どこかで飲んだくれている友の 生きているって
いいねと 花よりも濃く
大口裂ける真っ赤な笑いが枕元に座り込んで
「コスモス」を見る一般の人の眼は、かわいいとか可憐とかいうものでしょうか。しかし詩人は違うようです。昨日は倒れこんでまで咲き続ける太々しさ≠ニいう詩句に出会いました。紹介した作品では「藪をつくるいきおいの繁茂」であり、「十本も新聞紙に包」むと「欝陶しい」存在として扱われています。さらに「首吊り」の「化身かもしれない」と謂うのですから凄まじいばかりです。
その「コスモス」と等質なのが「友」でしょう。「生きているって/いいね」という言葉が不気味ですね。その不気味な「コスモス」と「友」は挟まれた「おれ」の位置が微妙で、ここが作品として屹立させていると思います。
こういう「あきの花」もあるのかと楽しんだ作品です。
○『千葉県詩人クラブ会報』192号 | ||||
2005.12.15 | ||||
千葉市花見川区 | ||||
中谷順子氏 発行 | ||||
非売品 | ||||
<目次>
'05ちば秋の詩祭は大盛会
第1部 県内主要同人詩誌発表会 1
第2部 記念講演「私の詩的体験」伊藤桂一 2
第3部 会員の出演 3
第4部 詩劇 ミュージカル風 3
第5部 第18回詩画展・第14回詩書展 3
我孫子への文学散歩 金子 仁 4
会員の近刊詩集から40 鈴木文子詩集『夢』 4
41 庄司進詩集『教師』 5
42 水崎野里子詩集『あなたと夜』 5
43 水崎野里子詩集『二十歳の詩集』 6
44・45 佐野千穂子詩集『ゆきのよの虹』『消えて候』 6
庄司進詩集『教師』を読む 諫川正臣 5
深い森のなかへ 佐野千穂子詩集『ゆきのよの虹』『消えて候』 池山吉彬 6
特集 40周年記念号 千葉県詩集第38集感想T 7 東西南北6 7
新会員紹介 8 会員活動 8 受贈御礼 8 編集後記 8
遺産 鈴木文子
カンナ ノコギリ ノミ
道具にゃ いやってほどしごかれたもんだ
青竹割ってると血が噴き出して
あわてて指くわえたこと
数えきれねぇ
鉄の輪っかに
杉の側(がわ)ならべ
両足で押さえながら組み立てていく
形が整ったら溝きりして
底ぶたと上の鏡をはめ込んで
口輪 重ね輪 腰輪
順番に竹のタガで びしっと締める
――醤油樽いっちょう上がり
下一品 いい女だ
ぽん! 尻ひっぱたいて嫁に出す
両手の肉刺(まめ)も 切り傷も
絆創膏だらけの指も
職人にとっちゃあ誇りだった
職人は 腕一本 裸一貫
丈夫な身体 それだけが財産
病気知らずで働けた
何よりの満足
九十年と半年
親から貰った寿命目いっぱい生きた
俺の財産すっからかん
職人は
深呼吸で生命(いのち)の糸を切り
しずかに逝った
「会員の近刊詩集から」の中の作品です。天寿を全うした父上をうたったようです。第4連の「九十年と半年/親から貰った寿命目いっぱい生きた/俺の財産すっからかん」というフレーズが佳いですね。「寿命」という「財産」が「すっからかん」になっても、子供にとってはその生き方が「遺産」なんですね。そこをタイトルと上手く結び付けていると思いました。
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