きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
夕焼け 2005.1.2 神奈川県南足柄市 |
2006.1.3(火)
いただいた年賀状の返信もようやく峠を越しました。ここのところ毎年、年末に年賀状を書く時間が取れず、いただいた賀状に返信するだけというテイタラク。律儀に1日に届けられる度、申し訳ない思いでいっぱいです。皆さん、ありがとうございました。
年賀状は年末に書いて、お正月に届くようにする、という普通の生活に早く戻りたいものです。
○季刊二人詩誌『夢ゝ』24号 |
2006.1 埼玉県所沢市 山本萠氏方・書肆夢ゝ発行 200円 |
<目次>
(すべてに日晒し)/R 赤木三郎
晩秋に/残照 山本 萠
あとがき
(すべてに日晒し)/赤木三郎
建築のように
誦えよ わたしのことばを 詩句を
即興こそが すべて
(存在と声)
いまわたしは生きることに溺れて
(簡素で単純)
苦い秋にも…
(また 思いつくべき言葉を 失った)
「建築のように」「わたしのことばを 詩句を」「誦えよ」というのは、すごい発想だと思います。言葉も詩句も構築≠ニ謂いますから「建築」も無理のない表現ですが、構築よりも具体的なイメージが浮かびます。
( )の中の言葉は、本来( )でくくられる程度のものではなく、それ自体で詩句になっていくべきものでしょう。それをあえてくくるところに潔さを感じました。勉強させていただきました。
○隔月刊詩誌『サロン・デ・ポエート』259号 |
2005.12.25 名古屋市名東区 滝澤和枝氏方・中部詩人サロン編集 300円 |
<目次>
作品
とびら…伊藤康子…4 秋海棠の押し花から…小林 聖…5
まつむし すずむし
きりぎりす…みくちけんすけ…6
期待…足立すみ子…7 約束…阿部堅磐…8
葉っぱの午後…古賀大助…12 森の伝言…野老比左子…13
醜女の日記…甲斐久子…14 習作…三尾みつ子…15
ある戦慄…阿部堅磐…16 翼をひろげ…高橋芳美…18
夢を見ながら…横井光枝…19 クリスマス…荒井幸子…20
売れない本…稲葉忠行…21 口承…滝澤和枝…22
風となる時…及川 純…24
散文
愛しき短歌(三)…阿部堅磐…25 コトバ・レンジャー(4)絶望からはじまる希望…古賀大助…26
同人閑話…諸家…28 詩話会レポート……31
受胎誌・詩集、サロン消息、編集後記 表紙・目次カット…甲斐久子
口承/滝澤和枝
むかしむかし 混沌とした中で 偶然に出会ったごきとぶり 愛し
あって生まれたのがゴキブリ われわれの祖先 生まれて死んでい
く ただそれだけで十分だったとき 幸せだった時代 人間という
とてつもない生物がはびこって すっかりかわってしまった
天井の特等席から テレビを見る 新聞も面白い 連載小説は欠か
せない 特にエロ小説 マンネリ化した生活に はげみが出る
食事は夜中 そこにあるものを食う ないものを探してはならない
われわれに出くわした時の 人間のパニックに見とれて 命を落と
した仲間がいることを 忘れてはならない
われわれは悪役なのだ 理由などどうでもよい 悪はいつか滅びる
と信じているバカな人間に乾杯 無知な人間に乾杯 共に のんび
りと 平和に共存していればいい
さて これからが大切なこと
進化してはいけない これが人間から学んだ大切なこと 進化し始
めたら もう止められない 世の中すべて 人間いろに染めつくす
まで 侵攻 攻撃 争い もう止められない 神様にもお出まし願っ
て 祈っても 捧げても どうしたって もう止められない
人間は落ちぶれ果てた
もっとも個人的トラブルは いつの時代 どこの種にもあること
ゴキブリAが猫に食われそうになって 猫を食ってしまった これ
はいたし方のない事件
われわれゴキブリの苦悩
始まるのは 人間が滅びてしまった後のこと 悪しき手本のいなく
なった後 進化を拒み続けていかねばならないのは至難のわざ も
うすぐ一万年もしたら 始まる苦悩
伝えていこう 人間の進化の皮肉な結末を
確か「ゴキブリ」の方が人間より先に出現していたはずだと思います。「人間が滅びてしまった後」も生き残るだろうと言われています。そんなゴキブリの視点で人間を見た作品ですが、耳が痛いですね。「そこにあるものを食う ないものを探してはならない」も「進化してはいけない これが人間から学んだ大切なこと」も、人間の堕落の始まりだったのかもしれません。「人間の進化の皮肉な結末を」考えさせられた作品です。
(1月の部屋へ戻る)