きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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満天星 2005.1.8 自宅庭にて

2006.2.6(月)

 2月の第一月曜日。特記事項なし!



横尾湖衣氏童謡詩集風にまかせて1集
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2004.9.30 愛知県知多郡東浦町 草珠庵刊 非売品

<目次>
雪うさぎ ・・・・・・・・ 6   そこに春がいるよ ・・・・ 8
あの子 ・・・・・・・・・ 10   夏 ・・・・・・・・・・・ 12
秋はあか色 あかね色 ・・ 14   雪幻想 ・・・・・・・・・ 16
空の世界 ・・・・・・・・ 18   花のワルツ ・・・・・・・ 20
心は自由 ・・・・・・・・ 22   夏の日の思い出を ・・・・ 25
かぜのゆうびん ・・・・・ 27   なぜなぜ雪はふる ・・・・ 29
春の舞姫 ・・・・・・・・ 32   夏の川岸 ・・・・・・・・ 34
ススキの穂花 ・・・・・・ 36   七草がゆ ・・・・・・・・ 38
さむいさむい 北の国 ・・ 40   あじさいの花 ・・・・・・ 42
どこまでも どこまでも ・ 44   あとがき ・・・・・・・・ 47



 さむいさむい 北の国

ふゆは 空までこおっている
晴れても にぶい青い色
さむい さむい 北の国
人の体は あたたかい
つめたい 北風が
肌をきるように 吹いている
春よこい はやくこい
みんな ずっと 待っている

ふゆは 雲までこおっている
なかなか おそく動かない
さむい さむい 北の国
人の心は あたたかい
雪なか 木々の芽は
肌をかたくしめ 耐えている
春よこい はやくこい
みんな きっと 願っている

 初出(童謡誌「花時計」第43号・1999年4月13日発行)

 第1連1行目の「ふゆは 空までこおっている」というフレーズにまず惹かれて、第2連では「ふゆは 雲までこおっている/なかなか おそく動かない」で瞠目しました。凍っているから動きが遅いんだ! 詩人はやはり現象の説明の仕方も違いますね。
 その反面、「人の体は あたたかい」「人の心は あたたかい」とあって、人間賛歌と言ってよいでしょう、童謡の基本を見た思いのする作品です。



横尾湖衣氏童謡詩集風にまかせて2集
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2006.2.22 愛知県知多郡東浦町 草珠庵刊 非売品

<目次>
ゆきだるま ・・・・・・・・・1      歌おうよ 風のなか 3
夏の夜のファンタジー ・・・・5      虹の橋をわたって ・7
南の国 ・・・・・・・・・・・9      空とぼく ・・・・・11
あめつぶのワルツ ・・・・・・13      冒険 ・・・・・・・15
雪のなかで ・・・・・・・・・17      すてられたこいぬ ・19
あおい夏 ・・・・・・・・・・21      あきは ・・・・・・23
はるかぜのおんぷ ・・・・・・25      お庭のばら ・・・・27
秋色世界 ・・・・・・・・・・29      雪 ・・・・・・・・32
たんぽぽ ぽん ・・・・・・・35      くも ・・・・・・・37
あきはあきっぽいぼくだけど ・39      蓮の花 ・・・・・・41
楽譜(「秋色憶界」「雪」)・・43      あとがき ・・・・・45



 冒険

冒険は 未来を
この胸に運んでくる
さあ ドアを開けて
遠い 遠い 場所へと
ぼくは 歩き出すよ

冒険は 心の
やさしさや強さわかる
さあ 勇気だして
遠い 遠い 場所へと
ぼくは 進んで行くよ

まだ誰も知らない
そんな場所があるはずだよ
未知という言葉が
ぼくを呼んでるよ

 初出(童謡誌「花時計」第53号・2001年10月10日発行)

 「冒険」は「未来」なんだと認識しましたね。「冒険」は「心の/やさしさや強さわかる」ものだということも再認識しています。この詩集は童謡詩集と銘打っていますから児童が対象なんでしょうが、大人が読んでも発見があります。著者の柔軟な思考の成果でしょう。楽しみました。



詩誌『梢』40号
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2006.2.20 東京都西東京市  300円
山岡和範氏方事務局 井上賢治氏発行

<目次>
「笑い」他1編 牧葉りひろ……………2   「晩秋の夕映え」 宮崎由紀…………………4
「平和公園」他1編 山岡和範…………8   「戌年の初め」他1編 山田典子……………13
「四万十川」他1編 井上賢治…………16   「冬の青草」他1編 上原章三………………20
「顔」 江崎友香…………………………24   「九十二歳を迎える母」他1編 北村愛子…26
「りんご」他5編 日高のぼる…………30   「二人の姉のこと」藤田紀……………………42
井上賢治詩集「流木」感想紹介…………50   「梢」39号感想紹介……………………………54
事務局だより………………………………56    表紙 版画――上水の冬景色  井上賢治



 笑い/牧葉りひろ

けたたましく
刺すように
体中を弓なりにして笑う

一人が笑うと
また一人
輪をかけて
笑いの津波があたりを突き刺す

ちょっとした他人の失敗や
言い間違いや
服の乱れや
顔の善し悪しを笑う

その嘲りの笑い
テレビのお笑いの影響もあるのか
思いやりなど微塵もない

笑いは劣等感の裏返し
自分の無知と不幸を隠すため
他人の不幸を笑い飛ばす
つまらない自己をさらけだし
己と相手の人生を放棄する

あなたたちに
心の底から笑いあえる
笑いでお互い心地よくなる
そんな日々がきてほしい

 「テレビのお笑い」は馬鹿馬鹿しくて見たくない番組の筆頭ですが、なぜ見たくないのかがこの作品で判りました。「思いやりなど微塵もない」から見ていて不愉快になるんですね。そして「笑いは劣等感の裏返し/自分の無知と不幸を隠すため/他人の不幸を笑い飛ばす」のだと教えられ、納得しました。本当の笑いをテレビに求める気はありませんけど、それにしても「心の底から笑いあえる/笑いでお互い心地よくなる/そんな日々がきてほしい」ものだと思いました。



詩誌WHO'S102号
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2006.1.25 東京都八王子市
WHO'Sの会・樫村高氏発行 500円

<目次>

夜顔に/高橋優子…2            花ぬすびとは罪である(他一篇)/水谷 清…4
幽体の彼(他一篇)/小池輝子…6       二度と歌わない歌/中村不二夫…10
青空(他一篇)/高橋英司…12         誤診(他一篇)/森やすこ…14
掌/大岡恵美子…17             乗りかゝった舟/市川 愛…19
動詞百態/樫村 高…22                 
翻訳
失われた名前(他一篇)/クロード・ロワ〈訳〉水谷 清…25 
クロード・ロワに/ジャック・レダ〈訳〉水谷 清…28   
エッセイ
風呂談義/藤崎南海男…31          ドストエフスキー/樫村 高…33
あとがき
表紙/福田都基子  目次カット/網島常子



 花ぬすびとは罪である/水谷 清

数分おきに遮断機のおりる郊外電車の
踏切近くの小さな木造の家の玄関に
私はつぎのような掲示の紙片をみた
――ここに置いておいたカラデイウムの
 花を鉢ごと持って行った人に言います
 あの花には十日置きに水をやって下さい
 さもないと来年は咲きませんから

そしてきょう狭い道路を隔てた角の自転車屋
の店の硝子窓に次のような貼紙をみる
――昨夜 植木鉢を取って行った人に
 あれは亡くなった主人が大切に面倒みてい
 たものです どうか夜になったらもとの場
 所に戻して置いて下さい

花ぬすびとは罪ではない と言われているよ
うですが 盗まれたひとの心を傷つけるかぎ
り どうあっても罪です

 「花ぬすびとは罪ではない」はたくさん咲いている花の枝の一折りのことを言っているとばっかり思っていましたが、「カラデイウムの/花を鉢ごと持って行った」り、「植木鉢を取って行った」りすることもあるんですね。これでは「盗まれたひとの心を傷つける」ことになるでしょう。
 その盗まれた人が「あの花には十日置きに水をやって下さい/さもないと来年は咲きませんから」と掲示することに感動します。あくまでも花をいたわる態度に花盗人も良心の呵責を感じてもらいたいものです。



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