きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり
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満天星 2005.1.8 自宅庭にて

2006.2.22(水)

 休暇を取りました。4月末の退職までに残っている休暇は80日! そのうちの60日は毎年残った休暇を集めたストック休暇と称するもので、病気入院など以外では取れません。実質取れるのは20日ということになりますけど、それにしても多いので週に1回ぐらいは休むようにしています。それでも余っちゃいますけどね。
 終日いただいた本を読んで過ごしました。会社の仕事も大事だけど、もっと早くから自分のための休暇を取っておけば良かったかなと今ごろになって反省しています。



前田孝一氏詩集『ばねとピン』
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2006.2.18 千葉市中央区 千葉日報社刊 1500円

<目次>
ばねとピン…6    便便人生…8
夕日のカケラ…10   白砂…12
陽光…14       ゆうすげの花…16
地球崩壊…18     打撃…20
時の流れ…22     ぎぼうし…24
水に浮かぶ手袋…26  新しい芽…28
地変を待つ石…30   くもの巣…32
日本の年輪…34    尺八…36
しおどき…38     定め…40
音…42        刈り込む…44
月下美人…46     傷ついた樋(とい)…48
消えゆく郷愁…50   車中にて…52
黄落(こうらく)…54  延命利生(えんめいりしょう)…56
宿命…58       おためごかし…60
めぐりあわせ…62   大いなる歯車…64
三時の休息…66    とげ…68
ゆずり葉…70     さまよう性(さが)…72
カマキリ…74     月下を歩く…76
孤高…78       不安…80
老いらく…82     高年のつぶやき…84



 ばねとピン

内臓している ひげぜんまいとピン
小さな歯車にしっかりと付いている
巨大な物体を動かす秘めた力を持つ

つまみ出すと
飛び出した時
どうにもならない代物と変わる
一見 こわれやすいが
どうして心底 くせものだ

張り巡らされたピン
それぞれ位置に固定している
始動する一分の狂いもなく
巨大な世相を動かす力がある

やたらピンが抜け出した
正常化する道具がほしい
かみあわない歯車と
我武者羅に走っていく歯車と
止めるには
きめ細かいピンセットが必要だ

 タイトルポエムで、かつ巻頭作品です。「ピン」の持っている「巨大な物体を動かす秘めた力」が「巨大な世相を動かす力」になると展開するところが見事だと思います。しかしその反面、現代の「かみあわない歯車と/我武者羅に走っていく歯車」は、どうすれば「止める」ことができるのか、読者に大きな設問を与えた作品と云えましょう。「きめ細かいピンセット」になれ、とも言われていると思います。考えさせられた作品であり、詩集全体からもさまざまなことを問われているように思いました。



隔月刊会誌Scramble80号
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2006.6.26 群馬県高崎市
高崎現代詩の会・平方秀夫氏発行 非売品

<目次>
○民衆に愛されたふたり…鈴木 豊 1
○私の好きな詩 秋吉久紀夫「おしまひ」ほか…宮崎 清 2
 唸りのように響いてくる胸音…金井裕実子 3
○会員の詩…江黒幸枝/吉田幸恵/長井 基/平方秀夫/田口三舩/福田 誠 4
○会員詩集・書評 新延拳詩集『雲を飼う』
○総会・現代詩ゼミ/あすなろ忌・ほか…8
○編集後記 …………………………………8



 はだし/長井 基

テレビにコマーシャルがながれる
アフリカのある国の子供たちが
枯れ枝を拾いながら登枚する姿が
それで給食を炊くという
帽子もかぶらずはだしで
明るい笑顔で歩いている

小学校時代の体繰の時間は
はだしで枚庭を駆けめぐっていた
田植え時期になれば苗とりから田植えまで
すべてはだしの作業だった

進学した学枚でも体育の時間ははだし
毎月一回課せられた六千米の徒競走は
はだしで砂利道の県道を懸命に走った
誰も足が痛かったとか
けがをした者もいなかった

あれは何だったのだろう
地球がまだやさしかったからか

校庭のはだしは禁止され
砂利道もなくなってしまい
そこはかとなき春の息吹きも
迫ってくる冬の厳しさも
足裏からはもう伝わってこない

枯れ枝で炊飯する
あたたかくやわらかい炎の色も
もう見ることはできない

熱くなってゆく地球が
厚い靴底のしたで喘ぐ

 「会員の詩」の中の1編です。戦後生まれの私には「はだし」の経験はほとんどありません。わずかに小学生の頃、農家の同級生が「田植え」の「はだしの作業」を見たことがある程度です。ただし海は別でした。焼けた砂浜を裸足で走って海に飛び込んだことは毎夏の思い出です。それもいつの頃からかビーチサンダルが主流になってしまいましたが…。
 そんな僅かな体験ながら「あれは何だったのだろう」と私も思います。地球と人間がまだ共存できていた時代だったのかもしれません。「熱くなってゆく地球が/厚い靴底のしたで喘ぐ」ことに耳を傾ける作者に敬服した作品です。



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